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人類は退屈な発展を遂げた。
高層ビルは想像通りに立ち並び、偶にアクシデントが発生しては時に互いに助け合い、時に足を引っ張り合い。
いつ今この瞬間がバランスを崩すのでは無いかとヒヤヒヤとしながら心配をよそに大切に守ろうとしているこの世の中の仕組みは維持されて、
いつか誰かが望んだ様な空飛ぶ車が透明なチューブ状の道路を通っている、腕時計を弄ればホログラムが浮き上がる、未来から白いポケットを持った狸が遊びに来る世界ではなく、
つまらない程実利を重視しては夢で描いた世界を冷笑し、現実の延長線上にある世界を大多数が描きつつ、
今を生きる人々は今を生きようとし過ぎて息がつまる様な気持ちを胸に毎日をやり過ごして生きている。
おかげさまで単純な成長は積み重なっている。
自分の過ごす国は土地こそ狭いがモノには不便する事もなく、飲み水にも困らず、様々な人が物珍しがってか人柄に触れてか遊びに来てくれる。
そんな世界で世の中を生きている。
自分は特に不自由は感じてないし、不自由を感じる人も文句は言いつつ生きることは出来る。
その点においては恵まれている。筈だ、
…と彼は心の奥底で感じている。
人類は退屈な発展を遂げた。
世界なんて滅びれば良いと思う。
何と無くそう思った。
何が嫌なわけでも無い、親に反抗する気持ちも無ければ、世の中の仕組みに不満を抱いた事はほぼ無い。
試験の成績は憂鬱になる程悪いとも感じないし、友達は多くはないが少なくはない、クラスでいじめが表沙汰になる事もない。
高校生の割には皆利口に、そしておとなしく穏便にやっている。
部活動やボランティアの様な授業の本筋とは違う課外活動はーー、まあやっていないが特段気が進む事も無いから、やらないと決めた。
そう、嫌では無いのだ。
ただ少し、渇きを感じている。
高校生という限られた特権を過ごしている割には物足りないのだ。
彼はそこから砂漠を感じている。
ーーーーーー。
「…ぃ……。-ぃ……。ぉーぃ。
…っかしいな〜瞳孔は
つまんない、退屈なんだ。
そっか、そうだよね。