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僕たちは
何のためにここまで来たんだろう。
何でこんなところに来てるんだろう。
色んな人たちに助けられて来たのに、もう僕達しかいない。
何で僕達より立派に生きているあの人達がーー
僕たちは森の中を歩いていた。
やっと見つけたものは、嘘のようなもので、何の変哲も無い場所に転がっていた。
想像とは違う、ただの草の上にだらしなく。
それでも命からがら、やっとの思いで見つけたからか、二人は無我夢中で飛びついた。
そしてそれぞれが形の見えない何かに向かって願いを唱えた。
噂では3回までと聞いていたから、一人一回だ、彼と彼女と僕のーーそうだと思っていた。
けれど二人は一つの願いを口にした。
正しくは彼が在り来たり過ぎる程在り来たり過ぎる祈りを唱えた。
二人はそれで満足していくら考えても出ないから時間が無くなってしまうと、僕に二つを譲ってくれた。
前に叶えた願いは消せない、心は読ませてもらうが口に出して願いは伝えろ。
それだけが示されたルールだった。
それまでにどれだけの人が居たのか知らないが噂に聞くという事はきっと相当な願いを聞き入れて居るはずだ。
世の中はどれだけがんじがらめなのだろうか。
僕はそんな事を思いつつ、ここに来るまでの道のりを思い出して、つい口に出してしまった。
「世界を終わらせる力がこの世界にあればいいのにーー」