虚偽
私が目を覚ましたのは、保健室だった。
私が目を覚ますと共に、幸子ちゃんが泣いて抱きついてきた。苦しい。
「良かった!気がついて…!」
「く、苦しいよ…幸子ちゃん」
幸子ちゃんは、ハッとした顔で直ぐに腕を解き、そして、私の水枕を変えてくれた。
幸子ちゃんも、無事ではないのに、世話をしてくれる。
「あなた達、ゴミ捨て場の近くで倒れていたから心配したのよー?」
本気で心配しているのかわからない声で、保健室の先生が喋る。
私の隣のベットでは、相手の子が眠っている。
彼が起きたら、全てを洗いざらい聞くつもりだ。
え?警察に突き出さないのかって?
火を操る、なんて、あっても信じてくれないだろうし
まず、流星群の能力を聞くことが先決だと、私は感じた。
「ん…」
そう思っていた矢先、彼が起きた。
「ここは…頭が痛い…」
「さて、教えてもらうわよ」
私は、乱暴に彼の頭を掴み、問いかける。
そうすると、彼はキョトンとした顔で
「な、何をですか……?」
と、惚けた。
いや、この顔は……何もしらない顔だ。
もしかして…ショックで記憶が飛んだ…?
「そ、そんな、あなた、流星群の能力を話すって言ったじゃない!」
「!? なんで僕の能力知っているんですか…!?」
まるで、さっきまでの放火魔とは全然違う気迫で私に問い詰める。
問い詰めたいのはこっちだってのに…。
「と、とにかく能力のこと話なさいよ!」
「わ、わかりました……僕の能力は炎を生み出すことです、そして操ることです」
それはわかる
一番にこの子と戦った私は理解している。
「それは分かったから、なんでその能力を使えるようになったか教えて」
「それは…あの夜、流星群を見ていていんだんですけど……」
男の子がオドオドした声付きで話す。
そこまでは私と一緒だ、私は3ヶ月前に見たのにも関わらず今日能力が発動した。
この子が放火魔だとすると、この子は一ヶ月前くらいから発動しているはず。
「その時はなんとも無かったんです、でも、一ヶ月前から…」
やはり、一ヶ月前に発動したのね…
まだ、私と彼、2人しかいないけど、一ヶ月どこに能力が発動していくのかな…?
「一ヶ月前に、僕をいじめていた、いじめっ子の家の前でこんな家、燃えてしまえ…と思ったら、実際に…」
「それからです、この能力に気づいたのは、それからは僕はずっと復讐をしてました」
なるほど、この子が放火をしていた理由は、いじめっ子に対しての復讐だったのか…。
だからといって、放火が許される訳では無いけれど、理由があってやったことなんだね。
「私と、ゴミ捨て場で戦ったの覚えてる?」
「先輩とですか……?断片的には……なんとなくですが…」
「君、全然キャラ違うよね」
「あ…僕は、いじめから逃げていたら、新しい人格が生まれて…多分その子です…」
多重人格者なのね……。
「放火してたのは…もう1人の僕の方なんです。多分、ゴミ捨て場の時も…いじめられて、閉じ込められて…」
やっぱり、この子は訳ありみたいだ。
悪気があって放火をしている訳では無いみたいだし。
何度も言うけど、放火は悪いことだけれどもね!
その理由に、放火での死者は誰ひとりいなかったらしい。
自分でもセーブをかけていたんだと思う。