鈴木と佐藤と記憶喪失 前編
俺と佐藤は生徒会室にいる。今日は三人目もキタ。三人目の名前は本田。一年だ。
「鈴木、昨日からずっと休んでた……えっと、なんだっけ?」
「「木村」」
俺と本田の声がそろった。
「そうだ、本田だ。そいつが来始めたんだがなんかあったんかな?」
「さあ、なんだろうね」
適当に話をそらす。おそらくあのアンケートの件だろうが、別に俺のおかげではないのでいう必要もない。
「まあ、ともかく。今日はお悩み相談の紙を掲示板に張っといた」
「またか」
「今回は生徒会室に来るように書いといたから、きっとくる」
「どこからわいてくるんだその自信は」
こん、こん。ドアをノックする音が聞こえる。タイミングがいいな。
「失礼しまーす」
「失礼します」
入ってきたのは二人。さえない男と女だ。
「本日はどのようなご用件で?」
本田が聞く。
「きゃはは、一年がませたこと言ってる。チョーうけるんですけど」
「……(怒)」
本田、すごく怒っている。この女、むかつくな。
「佐藤」
「わかってる」
佐藤は女をつまみ出した。
俺と本田はすがすがしい表情を浮かべる。あ、男のほうどうしよう。
「あの、僕、記憶喪失になってしまって……」
「「「記憶喪失?」」」
全員で聞き返す。漫画やアニメでしか見たことのない話だからだ。いや、現実にもあるが俺らは始めてみたのだ。
「ど、どれくらいないんですか?」
「基本的なことは覚えているのですが、ほかの事はさっぱりで……」
「基本的なことって?」
「勉強の仕方や、生活の仕方などは覚えています。でも友人関係や自分のことは忘れてしまいました」
「いつから記憶が?」
「先週からです」
先週、先週と。この生徒の成績を見てみる。先週……あ、成績上がってる。記憶なくして成績あがるってすごいな。
「適当に町でも歩いてみましょう。なにか思い出すかもしれません」
本田が提案した。
「そうだな。自然に触れてわかることがあるかもしれん」
俺も同意した。
「初めての外での活動!」
「先週も神社いった」
「え? 神社いったんですか?」
「ああ、部活でな」
「部活ですか。あの何やってるかわからない部」
あ、そうだ。
「すいません、さっきの女性とはどんな関係で?」
「あ、それは覚えています。いじめっ子といじめられっ子です。僕がいじめられっ子です」
「そんな関係忘れてしまえばよかったのに」
さて、生徒会としては外での活動が始まる。
その記憶が、俺を大きく変えるのだった。
最近ギャグっぽくなくなってきた気がする。
ギャグ作家さんてすごいですな。なんでネタでてくるんだろ。