鈴木と佐藤のサバイバル
日曜日。俺は今、身を潜めている。どこに敵がいるかわからないからだ。俺がしとめたのは現在三人。く……これが戦争か……
全ての始まりはまたも、佐藤だった。
──数時間前
「全校生徒諸君! 休日なのによくぞ集まってくれた! 副会長の佐藤だ。私は戦争が大好きだ! だから今日は皆に戦争をしてもらう。教師の許可は得た。各自武器を持て。武器はこちらで用意した水鉄砲だけを使ってもらう。ルールは簡単。制限時間内とにかく敵をうつ。それだけだ。無論、撃たれたら脱落。最後まで残ったものには商品を差し上げよう。幸運を祈る!」
全校生徒を体育館に集め、佐藤が言った。周りの生徒は『また生徒会か』『おもしろそうじゃん』『俺の本気、見せてやる!』などと騒いでいる。教師もよく許可したな、これ。
「戦争の開始は五分後。それまでに各自準備をしてくれ。脱落者は体育館に集え。以上!」
──今に至る。
というわけだ。どうだ、おかしいだろうこの学校。生徒会は偉いんだぜ? 会長の意見無視して副会長がかってなことをするんだぜ? 副会長のむちゃくちゃな提案が教師に受け入れられるんだぜ?
「お、獲物見つけた!」
男の声が聞こえる。おそらく一年だろう。獲物は俺ではない。もう片方の道から来た少女。あれ? あの少女は……
「おらぁ!」
少年が水鉄砲を撃つ。少女は、いや微少女はかわさない。しかし……
「な、何!?」
微少女の前で水ははじかれた。あ、これはもしや……
「ありがとうお父様。私は無敵ですわ」
幽霊のお父さんキター。てかそんなキャラだったっけこの人。ずいぶん変わったな。あ、少年撃たれた。てか今の水鉄砲が出せる音じゃなかったぞ? ドバン! て感じのすごい音だったぞ? 少年大丈夫か?
「ウフフ。私の前に立つものは誰一人生き残れませんわ……」
後ろに座ってる俺は大丈夫でしょうか! 今出て行っても倒せないだろう。俺は微少女がいなくなるのをまち、いなくなってから隠れていた場所から出た。
さて、適当に校舎をうろつくか。
──佐藤視点。
俺は体育館にいる。脱落したのではない、管理役だ。提案者がさんかするというのも変だと思い自分から参加しないと決めた。でも、暇だ。管理といってもなにかあるわけではない。ただ座っているだけ。鈴木がいればもっと楽しくなるかもしれない。鈴木が脱落するのを待つか? いや、友の敗北を待つなんてとんでもない。俺は、俺はアイツがこないことを祈る!
その時、体育館のドアが開いた。
「はぁ……後ろからなんて対応できねえよ……」
鈴木キター。すぐ来てしまった。こいつ、実戦慣れしてないな? まあ皆そうだろう。実際戦争に出て戦闘になれている、て奴もこのなかには少ないだろう。いや、いないか? でも、いないとはいいきれない。
俺は暇をつぶすため、鈴木の所にいった。
──数分後。
「優勝者は、この方ー!」
優勝者は案の定、微少女だった。
「私は最強。私は無敵。私を超える自信のあるものよ。さあ、かかっておいでなさい」
完全に痛い人だ。ヤバい人だ。近寄ってはいけない人だ。……イベントは人を変えるのですね……
「第二回、校内水戦争はこれにて、終了!」
生徒は『うおおおおおおお!』と叫んでいる。心なしか体育館も震えている気がした。というか第二回? 一回目もあったのか。佐藤はなんでしってるんだ?
俺はそんな疑問を抱えながらも、家に帰った。
──
「佐藤」
「はい、なんですか先生」
「第三回は、お前も出たらどうだ? いや、お前が出たら優勝は決まってしまうか」
「はは、いや。そこまで腕はありませんよ」
「いや、お前は絶対にすごい。約束する」
「戦争に出た、ってだけで生き残ったわけじゃありませんよ」
「それでも経験があるってのは有利だぞ」
「いや、きっと次も、調子に乗って前に出て、撃たれて終わりですよ」
「そう思うんならそんなことはしないだろう」
「そうですね……でももうこれ以上死ぬことはありませんから」
佐藤の秘密もそろそろ明らかになるような、
まだぐだぐだひっぱるような……
とりあえず、佐藤は普通の人ではありません。いや、もうわかってますよね。