鈴木と佐藤と生徒会
俺は、生徒会室に来ていた。呼び出されたわけじゃない。俺が生徒会役員だからだ。というか会長だからだ。
この学校の生徒会は特に仕事もないので人数が少ない。今年は三人だ。佐藤も入っている。
今日は一週間に一度ある生徒会の日。この生徒会は、美少女も、少女もいない。全員男だ。むさくるしい。
今日の活動は、生徒にとった悩みアンケートの集計だ。お悩みアンケートとは、ちょうどいい時期だな。
「さて、はじめるか!」
佐藤が意気込んでいた。生徒会室には俺と佐藤しかいない。もう一人は遅れて来るそうだ。でもこの量だと来る前に終わりそうだな……
「んじゃあ、俺が読んでくからお前どんどん答えて言ってくれ」
「おっけぇい!」
とりあえず、どんどん読んでいこう。こいつもたまにマトモなこというから、うん、大丈夫。
「じゃあいくぞ、最近何をやるにもやる気が起こりません」
「ガンバレ!」
「この前でたゲームで詰まってしまいました」
「ラストダンジョン手前のダンジョンはかぎが必要だ! カギは賢者が持っている!」
「この学校って男女交際ありですか?」
「わたしはいっこうにかまわん!」
「この学校って同姓交際ありですか?」
「わたしはいっこうにかまわん! 詳細よろしく!」
「がんばってもがんばっても成績がよくなりません」
「がんばっていると思ったらそこでやめてしまうからこれからはまだ足りないと思って勉強をしろ!」
「のどかわいたー」
「水でも飲め!」
「うちの生徒会にも美少女が欲しい」
「こっちのセリフだ!」
「どこの大学に行こうか迷っています」
「くじで決めろ!」
「家から出るのが怖い。助けてください」
「こんな生徒会に言う勇気があるなら家から出る勇気もある!」
「幽霊って存在しますか?」
「する!」
「昔は楽しかったのに、今は楽しくないです。昔に戻りたい」
「振り返るな前を見ろ! 楽しいことは自分で作れ!」
「好きな人がいるんだけど相手は私のことどう思ってるのかな?」
「好きという感情は実は伝わりやすい! その相手から感じないならなにも思われてない!」
はあ、つ、疲れた……とりあえず今のはボイスレコーダーに録っといたから、あとで聞きなおしながら質問への回答をかこう。
「ふう、今日も生徒会、したね!」
佐藤は満足しているようだ。
結局、もう一人は来なかった。佐藤は帰り、俺は少し整理をしていた。一枚、回答をわすれた紙があったようだ。一枚なら俺一人でできるだろう。そう思い、質問内容を見た。
【僕は生まれつき、障害があります。それがコンプレックスでいままで学校に行きませんでした。僕が学校にいっでも誰にも迷惑をかけることはありませんか?】
……もちろんだ。心の中でそうつぶやき、回答をかく。
【もちろん、誰も迷惑だ何ておもいはしない。だが、あえていうなら学校に来ないほうが迷惑だ。欠席者の管理も俺ら、生徒会がやってる。お前が学校にきたら迷惑になるどころか、俺らは助けられる。絶対、こいよ】
今日の仕事はもう終わった。俺は、家に帰るしたくを始めた。