鈴木と佐藤とリレー小説
俺は鈴木。俺と佐藤は同じ部活にいる。いや、部活というかサークルだ。佐藤が作った。このサークルのメンバーは俺と佐藤だけ。この学校はかなりユルいのでメンバーが少なくてもいい。このサークルは活動目標なんてものはありゃしない。ただ、ぐだぐだと適当なことをするだけ。そんで、今日の御代は……
「鈴木! 早く書けよ!」
リレー小説だ。
「ちょっと待て、考えてるんだよ。今」
「早く考えろよ!」
こうなったのはつい三十分前。
───三十分前
「最近ライトノベルがはやってるらしいよな!」
唐突に佐藤が話をふってくる。
「ああ、そうだな」
適当に返す。
「というわけで、書いてみようぜ! 俺からな!」
「!?」
───今に至る
ちなみに、佐藤が最初に書いたのは
【俺の名前はミシェル!! この世界を征服する男だ!! 今日は相撲大会にでてみよう!!】
……どこから突っ込めと。
だが、仕方がない。やることもないしこれで暇をつぶそう。
「ん、できたぞ」
「お! よし! 読むぞ!」
「ああ、勝手に読め」
【相撲大会の第一回戦。俺の相手として出てきたのは一人の少年。こんな子供がこの俺と戦うのか? 仕方がない、手加減をしてやろう。そう思い手加減をして少年に向かっていった。
しかし、その少年は……『何ッ!?』『ふふふ、僕を子供だと思って甘く見たらいけないよ』その少年はいつの間にか俺の背へとまわっていた。『い、いつの間に!』その一言を放つ前に少年は俺の真正面まで迫っていた】
「よし、俺が書こう!」
「そうだよ、お前以外の誰が書く」
そういって佐藤が続きを書き始めた。
「できた!」
「早い!」
一分たってないぞ。
俺は佐藤の書いた小説に目を通す。
【俺の究極奥義! ミシェルブレイクーーーー!!!!! ドゴオオォォォォォン! 少年は消滅した】
「消滅した!?」
謎の少年、強敵だったはずなんだが……一瞬で消滅してしまった。
次は、俺か。
─十分後─
「ほれ」
【第二回戦。次の敵は男。俺と同じ位の年だろうか。『お前がミシェル、か』その男は俺の名を口にした。『なんで俺の名をしっている』『いや、なに。お前がウチの四天王の一人を消滅させたらしいのでな。興味があっただけだ』四天王? まさか、さっきの少年か】
「よし、次俺だな」
いちいち言わなくても良いだろう。
「できた!」
「次も早かったな」
もう驚かない。
【究極奥義!!!!! ミシェルブレイク!!!!!!!!!!!!! 男も消滅した】
「またか!」
「ミシェルは最強の殺人兵器なんだぜ?」
「そんな奴が不良に殴られて不登校になるのか|(※前回参照)」
「さ、次はお前だぞ!」
─十分後─
【遂に決勝戦。次の相手は最強の男。コイツにはミシェルブレイクが効かない……】
「ミシェルブレイクが効かないだと!?」
佐藤が驚いている。最後まで消滅させられちゃおもしろくないのだ。
【ならば、ミシェルブレイク・Zだあああああああああああ!!!!!!!!!!! 最強の男も消滅した。 佐藤先生の次回作にご期待ください】
「終わった!?」
あっけなく終わった上に俺の名前省かれた。
「いやー、強い敵だったね」
「どこがだよ」
「お前、今度ミシェル主人公の書いてくれよ」
「やだよ。ミシェルブレイクで全部倒せるだろうが」
「そうだな……新設定が欲しいところだ」
「ミシェルについての妄想はお前の中だけにしてくれ」
「お、もう外も暗くなってきたな」
「本当だ。んじゃ、帰るか」
「そうだな。んじゃ、また明日!」
「ああ、また明日」
適当に手を振って家路に着く。
今日の活動、終了。