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鈴木と佐藤  作者: 優木 
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鈴木と……

 ……あれ? 俺は何をしているんだ? ……少し頭を整理する。それでもなにもわからない。記憶はある。だが、重要な記憶がない。俺の、学校でも生活に関する記憶に違和感がある。なにかが、足りない。俺の学校での生活は、普通に授業を受けて、普通に友達と会話して、たまに後輩の木村と会話して、放課後は生徒会に行って本田と二人だけで作業をして、その後は部活もやっていないし家に帰る。ソコまでの記憶がはっきりしているのに、おれはまだどこか違和感を抱いている。どこに、どこに違和感があるんだというんだ? こんなに、普通なのに。……いや、俺の生活は普通なんかじゃない。普通なんかよりもはるかに上。忘れるはずがないほどに楽しい日々だったはずだ。なのに覚えていない。この違和感は、夢だとでも言うのか?


 俺は、違和感の正体をつかめずに、もやもやしながら学校に来た。登校の様子。教室の様子。どこも変わったところはない。ここらへんは違和感も感じない。

 もちろん、授業内容も。

 今日は生徒会のある日。生徒会室で違和感を探ってみよう。


「なあ、本田」

「はい、なんですか? 先輩」

 放課後、生徒会室。俺は早速聞いてみることにした。

「この生徒会、昔から二人だけだったか?」

「そうですよ。この学校問題とかもないんで二人で足りるんです。いきなりどうしたんですか?」

「……実は──」

 事情を話す。

「ふむ、なるほど。事情はわかりましたが、全くわかりません。私は違和感なんてまったく感じてませんから」

「そうか……」

「他の人にも聞いてみたらどうですか? ほら、茜さんとか。そういうのわかりそうじゃないですか」

「あ、そうか! ありがとう本田!」

「ほめられるほどのことはしてないです」

 俺は本田の意見を聞き、茜を探す。


「鈴木、どうしたの?」

 茜を見つける。

「なあ、実は──」

 事情を説明する。

「へー、奇遇だね。私も感じてたのよ、違和感」

「そ、そうなのか!」

「よしっ、この違和感の正体探しに行こう!」

 茜はもうやる気マンマンのようだ。こいつの無邪気な笑顔を見ると断れなくなる。


 俺と茜は、違和感の正体を探っているとき、とある部屋の前を通った。俺はその部屋の前で立ち止まる。

「どうしたの?」

 茜が聞く。

「この部屋……部室だ!」

 俺は、大きな発見を。違和感の正体に近づく発見をした。

「あれ? 鈴木ってなにか部活やってたっけ」

「いや、やっていない。今の記憶ではな」

「ふーん」

 ……もうすこし、なにか情報が欲しい。もうすこし、もうすこし……

 そこで俺は一つ閃く。そうだ。俺は日記をつけていたじゃないか!

「日記だ! 日記がある! 日記を見ればいいんだ!」


 俺は、茜を連れて自分の家に行く。自分の家に女の子を連れて行くのは初めてだったがいまはそんなことどうでもいい。日記を見る。

 日記の中身は、今の俺が覚えていない、だけど、忘れるはずのないような楽しそうな内容。

「……」

 無意識に、俺の目から涙がこぼれる。

「ねえ、鈴木」

「ん?」

「佐藤、って人を探しに行こう」

「……ああ、わかってる!」 

 俺と茜は立ち上がる。そして、家の外へと。

 家の外、家の前。そこには見知らぬ男が立っている。

「キミタチは、真実を見つけ始めたようだね」

「あんたは?」

「僕は月下。でも覚えなくて良いよ。キミタチの人生にかかわってはいけないはずのものだから」

 月下。それはこの町の名前。偶然、おなじなのだろうか。

「キミタチ、佐藤を探すんだろう? 佐藤は、キミタチの、いや、キミにしかみつけられないだろう。僕にとってはどうでもいいことなんだけども、がんばってね」

「言われなくてもがんばるよ。佐藤は俺の人生の、俺の青春の一つだ! 絶対に、忘れはしない!」

 月下と名乗る男は姿を消す。

「茜……」

「……私はその、佐藤って人を見つけることはできない。佐藤さんはあんたにしか見つけられないのよ! 絶対、見つけて帰ってきなさいよね!」

「ああ、わかってる」


 俺は、佐藤を探し始めた。旅なんかはしない。家出の子供を探すような感覚だ。佐藤を見つけたとき、何かが起こる。そんな気がした。

はじめて、自分の書きたいものをかけた気がします。


鈴木が言ってる何かが起こる、って言うのは物語が終わるって事と、もう一つの意味です。

あと一、二話でこの話、終わるのかなあ。そうかんがえるとなんか、寂しくなってきた。

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