鈴木と佐藤と七不思議 一つ目 後編
俺と、茜は佐藤と本田を探している。あの二人、どこいったんだ?
「あっちの方向から霊力を感じる! いくわよ!」
「わかった!」
走る。霊力の方向へ。その向こうから……
「二人とも! どうしたんだあああ!!」
全力で走っているだろう二人が来た。
「もう、皆で学校から出るぞ! そうすればもう大丈夫だろう!?」
「あ、そうか! わかった!」
全員で走る。走る。走る!
「はあ、はあ……」
茜が疲れてきている。少し危ないな。
俺は、茜を抱える。
「ふえ!?」
茜は驚いている。そりゃそうだ。
「抱えたままで走れるか!?」
「ああ、大丈夫だ。俺、力にゃそれなりに自信がある」
学校を出る。
「はあ、危なかっ……たあああああ!!!」
まだ追いかけてきてるぞ! そうか、まだ学校の敷地内だからか!
「「「「ぬわーーーーー」」」」
敷地内から出た途端、男は姿を消した。助かった。
「いつまで抱えてんだ?」
「あ、すまん」
俺は茜を下ろす。
「べ、別にあやまんなくてもいいわよ! もうすこし抱えてくれててもよかったのに……」
「とりあえず、皆。もう深夜の学校にはこないようにしよう」
「「「賛成」」」
あわただしい一日が終わった。
──
「月下」
「なんだ?」
「あの幽霊、なんとかしといてくれないか?」
「めんどくさいな。だが、あんたの頼みは断ることができないな」
「あの幽霊、なかなか変わった奴だった」
「何が?」
「『存在』がさ。あいつの『存在』はマイナスの域だ」
「ふむ。マイナスはめずらしいな。まあ、マイナスだから七不思議として残っているのだろう」
「マイナスじゃなければここまではなかっただろうな」
「それでも、見えない奴はいるだろうさ。俺らみたいに」
「そうだな。あの少年、木村だったか? そいつには俺らが見えないようだしな」
「あの少年も厄介だが、違う、鈴木という男。あいつの『存在』はありえない。バケモノか」
「……」
──
俺は今日の出来事を日記につづった。そういえば前に、なにか思い出せなかったことがあったような……
まあ、たいしたことではないのだろう。
俺は、自分の周りに起こったことと、この町で起こったことを日記に書いている。俺はほとんどこの町からは出ないから、日記にはこの町のことしか書かれていない。だから、俺の日記の名は……
『月下町日記』
この町、月下町の出来事の日記だからその名前。
七不思議編は、もうやりません。
収集がつかなくなる。
そろそろ、終盤ですぞ。
でもその前に、次回は番外編!