鈴木と佐藤と掃除時間
俺は鈴木。今掃除をしている。正直、マジメにやるのはめんどくさい。でもふざけるのは馬鹿っぽくてイヤだ。しかたがない。今俺がホウキでかき集めているほこりにセリフをつけていこう。
『オイ、ほこりん! コッチは危険だ! 逃げろ!』
『でも、それじゃあほこりーぬが!』
『大丈夫、俺も後でそっちに行くさ』
『ほこりーぬ!』
やって気づいた。コッチのほうが馬鹿っぽい。
「おい、鈴木。さっきからなにブツブツ言ってんだ?」
声をかけてきたのは同じ班の佐藤。まあ、友達だ。
「いや、何も」
「そうか、ほこりんは逃げ切れたか?」
聞こえてやがった。しかたがない……
「おい待て鈴木。なんでそんなにホウキを振り上げているんだ?」
「いや、叩けば記憶とぶかな、って」
「いやいや、落ち着け。忘れるようにするから」
必死、かはわからないが止めようとしているとでやめてやった。感謝しろ佐藤。
「んで、とにかくお前は掃除がめんどくさいんだな?」
「まあな。掃除が好きで好きでたまらない学生なんて少ないだろう」
「そうだな。じゃあホウキと雑巾で野球でもするか」
「小学生じゃねえか」
「えぇ!?」
佐藤は本気で驚いていた。こいつ、自分の年自覚しているのか?
「じゃあどうする?」
「どうするも何も掃除を終わらせるぞ、掃除を終わらせるぞ」
「なんで二回言った?」
「大事なことだから」
「ふーん?」
佐藤にはわからないネタのようだ。
「じゃあ軽く作り話でもしようぜ」
「はぁ?」
「じゃあ、俺からな。むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが───」
いきなり語りだした。桃太郎か?
「相撲をとっていました」
「ええッ!?」
「勝負はおじいさんの勝ちでした。おばあさんは謎の男に連れて行かれました。その後、おばあさんの姿を見たものはいない」
「ええッ!?」
予想だにしなかった展開。
「ついに決勝戦へと進んだおじいさん、残る敵はあと一人。その一人と対面し、おじいさんは驚きました」
「誰だよ」
「おじいさん『お前……ミシェルか!』」
「誰だよ!」
「おじいさんとミシェルの闘いが始まった。佐藤先生の次回作にご期待ください」
「終わった!?」
衝撃、の一言でこの物語を説明できるだろう。ミシェルって誰だったんだ。
「じゃ、次お前な」
「今の話を聞いた後で自分の話をするのは無理だ。斜め上を行く話しなんてできない」
「仕方ないなぁ。次も俺がいくぜ!」
ああ、勝手に行け。
「むかしむかしあるところに一人の男がいました。『遂に完成したぞ……こいつがいれば、こいつがいれば!』三十年後……一人の男が目を覚ました。その男の名はミシェル、最強の殺人兵器」
「ミシェルきた!」
「ミシェルの話はすぐに世界各地に伝わった。そして、ミシェルを倒すために立ち上がった男達の物語が今、始まる」
「宣伝?」
「『ミシェル、お前を止めてやる!』ミシェルを作り出したおじいさんはミシェルを止めるため、最強相撲大会へと向かった」
「さっきのと繋がってるのか?」
「おじいさんはおばあさんを倒し、決勝へと進んだ。決勝の相手はミシェル。どうなるのか! 佐藤先生の次回作にご期待ください」
「どうなるんだよ!」
またもや終わった。これはさすがに気になる。
「じゃあ、最後に一つ話をしよう」
「ああ、しろ」
「むかしむかし、あるところにほこりと会話することができる少年が───てちょっと待て! 落ち着け! 冗談! ホウキを振り上げないで! ぬわっ!」
記憶は、とんだかな?
とある事情で、七不思議シリーズ関係なくなってしまいました、もうしわけありません。
とあるサイトに投稿した、一話の前に書いた奴です。
ちょっとキャラなどがちがうかもしれませんが、まあ、楽しんでください(笑)。