鈴木と佐藤とあいうえお作文
今日も佐藤は俺の家に来ている。それと、本田も。
「今日は、あいうえお作文だ!」
佐藤が叫ぶ。なんでそれ?
「お題は、どんッ!」
スケッチブックを出す。スケッチブックにはマジックで『スイカ』とかかれている。
「スイカであいうえお作文ですか?」
本田がいう。
「そりゃそうだ。さあ、二人ともがんばって作ってくれ! そうだ、お手本として今俺が作ったぞ。ス、スカイツリーで イ、イカを食べたら カ、蟹もらった」
「「手本にならない!!」」
「さあ、作れ!」
佐藤、お前手本なんて作るのおかしいんだよ……
「できました」
数分後、口を開いたのは本田だった。
「よし、言ってみろ!」
「ス、すこしだけ イ、いい子にしたら カ、勝てました」
「何にっ!?」
突っ込んだのは俺。いや、突っ込みというのかもよくわからないが。
「うむ、なかなかいいじゃないか。鈴木、お前は?」
「ん、ああ。ス、スイスで イ、石を拾ったがそれは カ、貝殻だった」
「「うーん、いまいち」」
「お前らが言うなよ!!」
ひどいよ、二人とも。俺だって、俺だって考えたんだよ。
「では、気を取り直して次のお題は『カメラ』だ!」
「次はスケッチブック使わないのか」
「あ、忘れた」
「忘れんな!」
数分後。
「あ、お手本忘れてた。カ、彼らはね メ、メダカをとって ラ、拉致された」
「「なんでだよ!!」」
メダカを取って拉致されるってどういう状況だ。
「僕もできました。カ、怪人は メ、メソポタミアで ラ、拉致られた」
「また拉致られた! てか怪人なんでメソポタミア!?」
「気分です」
「気分かよ!」
「そこまで言うなら鈴木は、いいのできたんだよね?」
佐藤が言う。にやにやとしている。
「ふふ、無論。会心の出来さ。カ、カラカラで メ、メラメラな ラ、ライオンさ」
「「……」」
「無言になるなよ!!」
俺は、ダメなのか!? いや、そんなはずはない。きっと俺に嫉妬しているんだ。いやー、天才はつらいなー
「お前、友達居ないだろ?」
「いや、お前ら友達だろ!」
「「え?」」
「え? じゃねーよおおお!!!!」
もう、俺は気力をなくした。
「鈴木が部屋の隅で体育座りをしているので、もうすすめちゃいましょう」
「いえーい」
「次のお題は、『すずき』。お手本!す、鈴木君 ず、ずっと隅で き、聞いている」
「今の状況ですね」
ひどい……
「じゃ、できました。す、鈴木さん ず、ずいぶん皆に き、嫌われる」
「うまい!」
「うまい! じゃねえよ!!!」
さすがの俺も気を取り直す。
「あ、もう復活したのか鈴木。まだ静かにしてくれてかまわないのに」
「……俺ってそんなに嫌われてますか?」
「少なくとも俺は嫌ってないよ。うん、少なくとも俺は」
「お前以外は皆嫌ってるって事か!」
「はやく、言ってくださいよ鈴木さん」
「逝く!? お前ひどいこと言うな!」
「逝くじゃなくて言うです。あいうえお作文ですよ?」
「ああ、えと。す、すごく ず、ずっと前から き、キレている」
今の俺の本心である。
「「あ、キレていらっしゃったんですか」」
「(ニッコリ)」
「あ、機嫌なおった?」
「ん」
「よかった」
「なわけあるかアアァァァ!!!」
「「久しぶりの本気ギレだああぁぁぁ!」」
本日。俺にしては珍しい本気ギレの日でした。その後佐藤と本田がどうなったかは、俺の口からはとても言えない。