鈴木と佐藤とギャルゲーム
俺の名は鈴木。そして俺の隣にいるのが佐藤。今日は俺の家で二人、ギャルゲをすることになった。理由はただしたいから。
ギャルゲ、つまり全年齢対象版。いたってシンプルな選択肢によって相手が替わるというようなタイプだ。
【主人公の名前を決めてください】
「おい、佐藤。お前決めて良いぞ」
「オッケーイ! 適当でいいよな?」
「ああ、なんでもいい」
「じゃあ……田中ミシェル、と」
「適当すぎないか?」
「いやいや、ギャクに面白いって」
ギャルゲってそういう面白さを求めるものなのか? 俺はギャルゲの経験がないからわからない。いや、経験がないのは佐藤も同じか。
「お、始まったぞ」
【俺の名前は田中ミシェル。高校二年生だ。今日から新学期が始まった。さて、どうする】
「ん、選択肢だ」
・教室に向かう ・校内を散歩する
「ん、どっちにする?」
「どっちでもいい。まあ、校内を散歩したほうが出会いがあるんじゃないか?」
「それもそうか、えいっ」
佐藤がコントローラーを操作し、《校内を散歩する》を選ぶ。
【俺が校内を散歩していると、一人の女生徒を見つけた。不良に絡まれている】
・助ける ・見なかったことにする
「助ける、でいいよな?」
「ああ、わたしはいっこうにかまわん」
【『おい、その子、困ってるじゃないか』『あ? うっせーな!』バキッ! 俺は殴られた。ショック。もう学校行きたくない…… THE END】
「「早すぎる!!!」」
二人で叫ぶほどの衝撃だった。いやだって、こんな終わりかたって……
「し、仕方がない。違う選択肢を選ぼうか」
そういって、さっきのとこまで進めた佐藤は《見なかったことにする》を選択した。
【『おいてめえ、シカトすんじゃねえよ!』バキッ! 殴られた。ショック。もう学校行きたくない…… THE END】
「「またかよ!!!」」
どんだけ打たれ弱いんだ田中ミシェル! まず校内を散歩するのが間違っているのかもしれん。
次は《教室に向かう》を選択する。
【教室に向かった。冒険心のない俺はそのまま、何もイベントも起きなく高校生活が終わった。 THE END】
「「どうすればいいんだよ!!!」」
完全にムリゲだった。
「このゲーム、フリーだからしょぼいとはおもってたけど、ココまでとは……」
「しょぼいのレベルじゃないな、これ」
「しかたがない」
「今日はお開きだな」
今日の雑談は、終了した。