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第二十話 ギルドマスター対決

 黒曜石の玉座前。


 静寂は、一瞬で焼き払われた。


【ヴェルゼ】「焦るな」


 剣を水平に払う。


 次の瞬間、間合いの外から広範囲火炎が爆ぜた。

 床一面を覆う紅蓮。熱波。


【おじ武者】「……っ」


 横転、最短回避。

 だがヴェルゼは既に後退している。


 距離。


 常に、剣の間合いの外。

 おじ武者が踏み込めば鋭い受け。


 刃を滑らせ、即座にバックステップ。

 また火炎陣。


 魔法剣士。


 剣の間合いに入らせない。

 入られても、深追いしない。


【ヴェルゼ】「君の剣は重い」


 足元に魔法陣。


【ヴェルゼ】「だが、勝てる勝負しかしない主義でね」


 爆ぜる炎。


 おじ武者は悟る。

 ヴェルゼは、今までで一番強いと。


 技量差ではない。

 総合値でもない。


 勝ち筋を選ぶ力。


 ヴェルゼは、不利な勝負を一切しない。


 その時。


【システム】《カイル 撃破》


 遠くで爆炎。


 ティアマト。


 時間をかければ、こちらに来る。

 猶予はない。


【おじ武者】「ならば……押し切るのみ」


 宗光が唸る。高速連打。


 一閃、二閃、三閃、四閃。


 踏み込み、踏み込み、踏み込み。


 だがヴェルゼは冷静だ。


 防ぐべき斬撃。

 受け流せる斬撃。

 あえて受けて耐える斬撃。


 見極めている。

 刃と刃が噛み合う。

 金属音が連続する。


【ヴェルゼ】「速いな……!」


 その頬を、初めて切り裂く。


 血飛沫。だが浅い、深く入らない。

 急所へは届かない。

 逆に肩を焼かれる。

 HPが削れる。互いに赤ゲージへ。


 ヴェルゼのプレイヤースキルは、想像以上に高い。


 火炎の置き方。

 距離管理。

 被弾管理。


 すべてが洗練されている。

 王は、伊達ではない。


 その時。


【システム】《るき 撃破》


 胸が、僅かに重くなる。

 残るは、リルティとパニーニ。


 遠くから、重い足音。石畳が砕ける音。


【ヴェルゼ】「タイムリミットは近いぞ」


 おじ武者は、呼吸を整える。

 時間をかければ、braverは負ける。

 時間はない。だが、焦りは剣を鈍らせる。


【おじ武者】「……まだだ」


 宗光を、握り直す。

 次の一手が、この戦いのすべてを決める。


 火炎が床を這い、視界が歪む。


【システム】《リルティ 撃破》


 遠距離支援、消滅。


 残るは、パニーニのみ。


【ヴェルゼ】「……終わりだ」


【おじ武者】「まだだ」


 踏み込む。フルスロットル。

 宗光が、これまでで最速の軌跡を描く。


 一閃。

 二閃。

 三閃。


 防御を崩す。

 火炎を裂く。

 ヴェルゼのHPが、赤へ。


 王の外套が裂け、血が散る。


【ヴェルゼ】「……!」


 初めて、後退。

 その瞬間。


【システム】《パニーニ 撃破》


 支援、消滅。


 完全な一対一。


 遠くから、重い足音。


 だが、今なら届く。

 今なら斬れる。


【おじ武者】「これで決める!」


 踏み込み。宗光を振り上げる。


【おじ武者】「居抜きーー!!」


 全身全霊の一閃。

 ヴェルゼの胸元へ。


 その瞬間、視界が二つに割れた。


 背後から巨大な刃。

 ティアマトの剣が、おじ武者を両断していた。

 画面が、ゆっくりと傾く。


【ティアマト】「……通さない」


【システム】《おじ武者 撃破》


 宗光が手から離れる。

 ヴェルゼのHPは、わずかに残っている。


 あと一撃。

 本当に、あと一撃だった。

 視界が白に染まる。


【システム】《braver 全滅》


 静寂、そして。


【システム】《中央金大区画 勝者:BLACKSUN》


 黒曜石の城が、静かに光る。玉座前。


【ヴェルゼ】「……惜しかったな」

【ティアマト】「次は、斬る前に気づけ」


 画面はリスポーン地点へ。

 braverの面々が、無言で立っている。


【るき】「……くやしい」

【カイル】「あと、ちょっとだった」

【リルティ】「……読み切られてました」

【パニーニ】「私の回復が、間に合っていれば……」


 おじ武者は、静かに前を向く。


 完敗。


 策は読まれ。

 時間を使わされ。

 最後は、王を守る最強の刃に断たれた。


 中央金。王者は、強かった。


【おじ武者】「……皆の衆」


 声は、静か。


【おじ武者】「敗北ですな」


 誰も否定しない。だが。


【おじ武者】「だが、届きかけた」


 あと一撃。あれは幻想ではない。

 確実に、王の喉元まで刃は届いていた。


【斬鬼】「次は、斬る」


 短い言葉、るきが拳を握る。


【るき】「リベンジ、ですよね」

【おじ武者】「当然」


 braver、中央金初陣。


 結果は敗北。

 だが、挑戦者は王の首に刃を当てた。


 宗光は、まだ熱を帯びていた。

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