表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠いどこかで  作者: K
PR
1/1

宇宙

 遠いどこかで、二つの声が話し合っていた。

「ねえ、新しく作りたいものがあるんだけど」

「今度は何?」

「ジャンルは生物で……今までのどんな生物よりずっと賢くて、自由で、優しい生き物を作りたい」

「ちょっと注文が多くない? 生物はただでさえ難しいんだよ。この前だってどれだけ時間がかかったか」

「お願い! これで終わりにするから。最高のものにしたい」

「……うーん。しょうがないなあ。じゃあ、次は私を手伝ってよね」

「ありがとう。もちろん手伝うよ! じゃあ、さっそく始めよう」

二つの声は消えた。


「えーっと、まずは……」

「まずは、『場』を作らないとね。定式通り」

「そう。『場』なんだけど……いつもより丁寧に作りたい」

「どうやって?」

「いつもはこの空間と別の仮想空間上に作ってるけど、この空間自体を『場』にしたい」

「え⁉ それじゃ私たちの空間は永遠に消えるよ?」

「うん。でも……もう『仮想』はいやなんだ。現実で作って、作ったものと一緒に過ごしたい」

「でもそれじゃ、私たちが生きていけるかも分からないよ」

「大丈夫、うまくやるから」

「本当に? なら私はいいけど、私達だけの問題じゃなくなるね」

「うん、ちょっと今から説得に行ってくる」

「了解。最後ってこういうことを言ってたんだね……」

一つの声は離れ、どこかへ漂っていった。


「お待たせ」

「どう? 説得できた?」

「うん。いろいろ条件は付けられたけど、なんとか」

「良かったね。で、どんな条件?」

「まず、この空間が消えた後、新しく作った空間での居場所を確保すること」

「それは自信があるんでしょ?」

「まあね。次に、『場』を作った後、全員の創造能力は保持しておくこと」

「これは難しそうね……」

「うん。まあ、何とかなるよ。で、最後に、途中で止めないこと」

「え? どういうこと?」

「いや、それが話してみたら結構受けは良くて、いいね、やってみろって感じだったんだよ。なんなら協力もしてくれるらしい」

「本当に? だとしたらすごく心強い!」

「本当だよ。もうすぐ集まってくるから、みんなで始めよう」

周囲がざわめきだした。


 ざわめきの中で、一つの声が話し出した。

「今から、『場』を作ります。この空間ごと作り替えるので、ご注意ください!」

「どんな『場』なんだ?」

「この空間を消すとすべてエネルギーに変換されますが、そのエネルギーで僕たちを再構築した後、余ったエネルギーで作られる『場』となります。従って、僕たちと適合した空間になります」

「分かった、やってくれ。力は貸そう」

「では『場』で会いましょう」

次の瞬間、全ての声は消え、光となった。


「おはよう!」

「うまくいったの?」

「『場』と僕らの再構築はうまくいった。みんなが力をくれたおかげだ」

「意外に広い『場』なんだね……。じゃあ、さっそく環境を整えていくの?」

「その前に、この『場』に名前を付けなくちゃ」

「もうここしか『場』は無いからいいのに……。で、決めてるの?」

「うん。『宇宙』にするよ」

「宇宙ね。まあ、呼びやすい名前ではあるね」

「よし、じゃあ環境を作っていこう。まずは『力』の整理を……」

「ちょっと待って、私の創造能力が消えてる」

「え? そんなはずはないよ。再構築の時、何もいじってなかったんだから」

「いや、確かになくなってる。ほら、『波』さえ起こせない」

「本当だ……。でも、僕は……消えてない」

「どういうこと?」

「僕も分からないよ!」

「このぶんじゃ、消えてるのは私だけじゃないと思うよ。どうするの、約束だったんでしょ?」

「どうしよう。一つでも約束を破れば、全て無かったことにされるんだ」

「でも……ちゃんと『場』はあるよ?」

「あれ、本当だ。なんでだろう。能力はきえてないのかな……」

「ねえ、待って! 私がさっき『波』を作ろうとした場所、エネルギーが分散して『場』が崩壊してる」

「あれは……どういうことだろう?」

「つまり、構築を打ち消す力……いわば破壊の力ってとこかな」

「創造能力が破壊能力に変換されたってこと?」

「そうみたいね」

「だから能力が『消えた』わけじゃなくて、プログラムが動かなかったのか」

「多分、みんな怒ってるよ。こんな力、何に使うの? というか、今どこにいるの?」

「分からない。宇宙を少し広くしすぎた。君と僕はたまたま近くにいたけど」

「……君、この力で消されるよ」

「しょうがない。失敗した僕が悪い。でも……」

声は途方に暮れ、ひりひりとした危機感に襲われていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ