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イストリア  作者: ヨシハル
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6話 モンブラン王国 ②

 翌日


 マカデミア将軍に火急の知らせが飛び込む。

 マカデミア将軍はグラセ副隊長を連れて現場に行くと、見張りの兵は眠らされているだけだが、牢にいる囚人はでかい針の様な物で頭を一撃で穿かれて死んでいた。


 すぐに理解した。


 口封じ、そしてどうやらこの国にはもう用が済んだらしい事を…


 もちろんフラン王妃の耳にも届いている。

 フラン王妃は最初に確認したのはフレス殿下の部屋、数人の近衛兵を連れて中に入る。


 やはりという顔でフレス殿下の捜索を命令した。


   ◇   ◇   ◇


 約3時間後、朝9時過ぎ、玉座の間ではフラン王妃が何事も無かったように座っていた。


 クリム王女、シフォン、アンの3人が呼ばれていた。


「おはようございます。お二人の身分証明書が出来ましたのでお渡ししますね。あと報奨金として1,000万ラテをご用意しました」


 前日に町を見て回る事を聞いていたフラン王妃はグラセ副隊長を護衛に付けてクリム王女に案内するように指示を出した。

 クリムは大喜びするが、アンは王宮の異変に感づいていた。


「クリム、あなたもゆっくり楽しんできなさい」


「ありがとうございます!」


「グラセ、あとは頼みましたよ」


「お任せ下さい」


 軽く支度をして一行は馬車を使い町まで行った。


 その頃、宮廷付近ではフレス殿下の捜索が続いて、用具室の奥の方で人が倒れている影が見えた。


「お、おい!こっちだ。誰か倒れている」


 近衛兵が他の兵を呼び、恐る恐る近づいてみると、奥で縛られて寝ているフレス殿下を発見した。


「で、殿下!フレス殿下だ。急いで報告を」


 深い眠りについているフレス殿下を急いで部屋へと運ぶと、フラン王妃とマカデミア将軍、専属医師が既に待機していた。


 医師が診断すると、薬により深い眠りについているだけで外傷などはなく、しばらくすれば目が覚めるので無理に起こさないほうがいいと診断された。


 医師の言うとおり、およそ2時間後にフレス殿下は目を覚ました。


 話を聞く、


 どうやらガーナ宰相が連行された日から記憶がなく、約1日眠っていたみたいだ。

 クリム王女達が王宮に着く少し前にすり替わっていたと考えられる。

 フラン王妃だけが違和感を感じていたのは間違えではなかったが、見張りに付かれた兵からは行動に問題が無かった様なので厳重には見張っていなかった。


 これでさらに2つわかったことがある。


 今、国で起きている事件とは別件ということと、ガーナを殺害したグループはこの国と今は事を構えたくないことの2点だ。


「フラン様、今回の件ぁどうするおつもりじゃ」


「マカデミアよ、今回の件は相手に合わせましょう」


「といいますと」


「無かったことにする、ということです」


「ガババババァーーー」


 マカデミア将軍が大きな笑い声をあげた。


「さすがフラン様じゃ」


 普通の王ならほっとけない案件だが、今と先を考えての決断の早さに思わず笑ってしまう将軍だった。

 実際には暗躍していた者以外に被害はなく、殿下と牢の番をしていた兵が眠らされていただけで被害はない。


 実はクリム王女を行かせた訳も事件とフレス殿下の心配をしなくていいよう配慮しただけでなく、本命はグラセ副隊長を自然に町に出すのが目的である。


「あとはグラセの報告を待つとしましょう」


「ガババババァーーー」


   ◇   ◇   ◇


 モンブラン王国は王宮を中心に貴族の居住区、そこから商業組合と冒険者組合と教育施設に娯楽施設、続いて中小商業区域、最後に一般居住区域に入り、正面正門や港付近には店を持てない露店などが並んでいる。


 商業組合とは、世界政府公認の商業施設で、商業許可や価格の基準、更に通貨の交換から預かりや引出しなどもここで管理している。


 また冒険者組合も世界政府公認の組合で、世界政府の仕事の一部や国から直接の依頼を受ける事が出来る。

 更に世界政府に加盟している国は身分証明書を手配しなくてもハンターライセンスは全ての証明書として使える事が出来る。

 ただしハンターライセンスを獲得するには難しく、年に一度ある試験に合格しなければならない。

 その合格率は0.0001%と言われている。


 この2つの組合は世界政府に加盟している国の首都に必ず存在する施設である。


 馬車に乗った一行は貴族の居住区を抜けて、商業組合、冒険者組合、教育施設も通り過ぎる。

 クリム王女は娯楽施設を楽しみたい所だが、先ずは二人が一番興味のある食事、クリム王女も行ったことのない露店を楽しむ事にした。


 正門入口付近に到着した馬車は周りから注目を浴びる。


 王家の馬車は目立つ!


 最初に降りてきたのは一般人の服を着たグラセ副隊長、続いてシフォンとアン、最後に少し変装したクリム王女だがグラセも品が良くカッコイイ、シフォンは少しヤンチャに見えるが元が美形、アンに限っては誰もが振り向く美少女でクリムもカワイイ姫様という感じなので服装を変えても目立つ!のである。


 とりあえず一旦馬車から離れてあまり目を向けられなくなった所で食べ歩きスタートした。

 いろいろな露店に立ち寄り、徐々に商業区域に入ると飲食店だけでなく、いろんなお店が並んでいた。

 グラセは少し離れた所で護衛をしている。

 基本3人が自由気ままに動き回っていた。


 気付けば6時間が経っていた。


 既に迎えの馬車を呼んでいたグラセは3人を呼びに行き、馬車に乗せて王宮へと走らせた。

 もちろん戻れば夕食が待っていて就寝、翌日もグラセ副隊長が同行、行きの馬車だけは一般の馬車を依頼して使用することにした。



   ◇   ◇   ◇


 繰り返すこと3日目の夕食後、シフォンの希望で近衛隊との手合わせをすることになった。

 

 夜は使うことのない修練場に集まる。


 マカデミア将軍をはじめ、副隊長のグラセに手の空いている近衛兵、更にはクリムだけでなく王妃と殿下まで観戦しにきていた。


「さあ、やろうぜ」


「では、私が相手になりましょう」


 相手として出てきたのはグラセ副隊長、グラセは天才と言われた剣士で学校を主席で卒業、入隊後は最速で1番隊そして近衛対、そして副隊長に駆け上った。

 そして周囲からは【無敗の天才】と呼ばれている。


 周りからは歓声が湧く。


「俺はあんたとやりてぇー」


 グラセが相手をするだけで驚きの声と歓声が湧くのに、マカデミア将軍に指を差して指名をした。

 少し周りからはブーイングが飛び交うとアンが前に出る。


「シフォン、あんた失礼よ。ったく、ホント馬鹿正直に一番強い相手ばかり選ぶんだから」


「アンさん、それは私では相手にならないと言いたいのですか?」


「いえグラセさん、あなたは私やシフォンよりも強いわ。シフォンはただ馬鹿なだけ。シフォンの代わりに私が相手になるわ。それでいいかしら」


「私はそれでも良いですが、マカデミアさんがシフォン君を相手にするかはわかりませんよ」


 大きな笑い声がする。


「がババババァーーー、ワシァいいぞ」


「よっしゃーーー!」


 アンとグラセ、シフォンとマカデミアが模擬戦をすることになった。

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

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