表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イストリア  作者: ヨシハル
26/30

26話 革命軍vs王国軍 ⑦

 馬を走らせようやく見えてきた王国軍、しかし一歩間に合わず、そこは既に戦場と化していた。


「遅かったか。いや、今ならまだ止められる」


 これ以上被害を出さないためにも一番危険な戦場の中央を突破しなければならない。


「いけぇぇぇ」


 革命軍の中に紛れて進むと霧が辺り一面にかかっていて前が見えない。

 上からはゆっくりと弧を描き火矢、紛れてスピードか乗った威力がある矢がいきなり現れる。

 霧がかかっている分、狙った矢ではないが、こっちもギリギリまで見えないので、盾を持たないほとんどの者が躱せずに倒れる。


 ヒヒィーーーン、ドン


「あと少し、くっ!」


 矢に打たれた馬が暴れてレモネは馬上から落下、急いでその場に落ちている盾を2つ両手に取り前へと歩を進める。

 爆発音が鳴り響いていた。

 おそらくは中心部、二人の人影が薄っすらと見えた後、どでかい爆発と共に土の塊と爆風に巻き込まれた。


   ◇   ◇   ◇


「爆ぜろ」


 バンバンバンバンバーーーン


 盾の防御と矢の攻撃を一度に破壊して突破する者がいた。


「カーリー隊長!中央半径3メートルの防御陣が破壊されました」


「破壊?だと」


「はい!被害はおよそ30名になります」


「相手の戦力は」


「1人です」


「たった1人だと!」


「申し訳ございません」


「いやいい。俺が前に出る」


 カーリーが最前線に出ると、ニヤリと笑っている1人の男が立っていた。


「面白い。ワシの名はカーリー、貴殿の名は何と申す」


「カーリー?四聖騎士ってやつか。ってことはキュリっザコと同レベルかぁ〜」


「キュリじゃと!」


「テメェはビビって逃げんなよ」


「じゃじゃじゃぁー、あまりワシらを甘くみんことじゃ」


 盾を前に出して地に付けると、盾に土が集まる。

 盾は倍の大きさへと変化した。

 その形は大きなドリルの様な形になり、盾というよりも武器に変わっていた。


「貴殿を倒して何をしたか洗いざらい吐いてもらおう。参の型【螺旋盾】」


「炎群」


 バンバンバンバンバーーーン


 カーリーの盾は少し崩れながらも形を残し、相手の腹部を掠る。


「ほう、少しはやるじゃねえか。今度はこっちから行くぜぇ〜」


「じゃじゃじゃぁー、ワシの盾はそう簡単には壊れんぞ!壱の型【鉄壁】」


 盾がまた変化する。

 今度は守り主体の形になり、強度が段違いになる。


「俺を楽しませてくれよぉ。さぁ指輪よ【紅蓮爆撃】」


 ドゴゴゴゴォーーーン


 シタバの指輪から紅蓮の炎が上がるとカーリーを襲い大爆発を起こした。


 辺り一帯爆風と土煙で見えなくなる。


「ほう、あれを喰らって立ってられるか」


 徐々に土煙が晴れてくるとカーリーの姿が見えてくる。

 しかしその姿はボロボロの盾を握りしめて構えたまま立って気を失ったカーリーだった。


「まあこんなもんか」


 崩れた王国軍の穴に革命軍が傾れ込む。

 そこを優雅にゆっくりと歩を進めるシタバ、形勢はゆっくりと変わっていた。


   ◇   ◇   ◇


 トマの直属の配下20人程の革命軍が馬を走らせて戦場に向かうと、気絶した男と座り込む男を発見した。

 事情を聞いて荷を乗せた最後尾の馬車に乗せる。

 ラクトのことは薄っすらと覚えていたので信用してレモネとトマを追う。

 やがて見えてきたのはトマの姿と他2人だった。


「トマさーーーん」


 ヒヒィーーーン、


「どうしてここにきた」


「状況が急加速しました。他で活動中の仲間が全員王国軍に向かっていったと報告を受けて、トマさんの後を追いかけてきました」


「わかった。俺を乗せて急いでくれ。レモネ様が危険だ」


「おい!それってアンも危ねえじゃねぇか。俺も連れてってくれ」


「ああ、もちろんだ。さぁ急いでくれ」


 トマとシフォンは捕まえたダダチを縛り、後ろの馬車に乗り込むと、既に縛られたズキンと寝ているラクトの姿があった。


「ラクトも無事だったか。だったらアンも無事だろう」


 口には出さないが一番弱いラクトが無事なら一番強いアンが負けるはずはないとシフォンは思っていた。


 だがしかし、


「おい!人が倒れているぞ!!」


「君!大丈夫か!」


「おい!二人とも重体だぞ!」


「どうする。ここから急いでも医者のいる町まで1日はかかるぞ」


「どうしたんだ?」


 後ろの荷台からトマが声をかけると、二人の女性が血を流して倒れている。

 そのうちの一人はレモネと戦ったアンだった。


「この娘は!下手に動かすなよ。危険な状態だ」


 シフォンとラクトも様子を見に外へ出ると、血を流し倒れているアンにびっくりして急いで駆け寄る。


「ラクトくん、シフォンくん、あまり動かすのは危ない。止まっている荷台にあまり揺らさずにゆっくりと運ぶぞ」


「くっ!…わかった」


 もう一人の女性、クロサは重体だが命や身体には問題は無さそうだが、目と耳から血を流しているアンは医者で無ければ容態はわからない。


 ゆっくりと荷台に運ぼうとすると、人とは思えないスピードで向かってくる光を帯びた人がこっちに向かってきた。


 それはラクトとシフォンに気付いたカヌレだった。


「アンちゃん!!!」


 運ばれているアンに驚く。


「ラクトくん、シフォンくん、何があったの!」


 姿や雰囲気が変わっているがカヌレと分かり、急いでアンを荷台に運んで寝かせてから事情を説明して。


「アンちゃん、ゴメンね。私の判断ミスだったわ」


「?カヌレさん」


「聞こえる。カヌレよ」


「ごめんなさい。何も聞こえなくて目も開けられない。でも氣で何となくわかるわ」


 アンの左手の小指に指輪をはめて、氣力と魔力をアンの体に流すと、濡れタオルで顔や体を拭き、常備してある飲み薬を飲ました。


 アンのいる荷台から出ると、カヌレの手のひらに雷が落ちる。


 ドゴーーーン、バチバチバチ、


「ラクトくん、シフォンくん、今から私の友人がここに来るから、事情を話して王都に行ってアンちゃんを医者の所へ」


「わかった」


 ラクトは返事するがシフォンは歯を食いしばり下を向く。


「私は私の仕事をしてくるわね」


「待ってくれ。俺も連れていってくれ」


 トマが頭を下げるが断られた。


「あなたが行って何が出来るの?この争いを収めることが出来る?はっきり言って足手まといになるだけで邪魔よ」


 混戦してる中に人が何人来ようが、ただ混戦が広がるだけ、それはトマも十分わかっているからこそ何も出来ないのが悔しい。


「レモネ姫の事は私に任せなさい」


 言われた通りこの場で待機することしか出来なかった。


 カヌレの体が光輝くと再び爆発が上がっている戦場に向い走り出した。

 怒りを抑えながら…


 現時点での各軍の被害報告


 死傷者人数 


 革命軍 約1,500人


 王国軍 約300人

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ