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イストリア  作者: ヨシハル
25/30

25話 革命軍vs王国軍 ⑥

「キャーハッハァー」


 立ち上がったアンに今度は平手打ち、何とか躱すも前蹴りが腹部に当たる。


 今のアンには連続攻撃を躱し続けるのは困難、直感で平手打ちだけは喰らわない様にしているが、それも時間の問題、クロサが上手く平手打ちをフェイントで使う。


「ブスは這いつくばっているのが似合いだなぁ〜。キャーハッハァー、キャーハッハァー」


 高笑いが響くがアンには何も聞こえず、そのムカつく顔に苛立つ。


「はぁはぁ」


 何とか立っていられる状態、しかしクロサが急にあさっての方向を向くのでみてみるが誰もいない。


「おいおい、ダダチ達は何してんだよ」


 クロサには聞こえる馬の足音、徐々にその姿が見えてきた。


   ◇   ◇   ◇


 人がいる!


 二人が戦っていたのがわかった。


「頼む、もう少し頑張ってくれ」


 馬に話しかけると分かったかのようにスピードを上げて二人に近づく。

 そして目にした一人は自分と戦ったアンとわかると魔弾銃でクロサを攻撃して二人の間に割って入った。


 ダン、ダン、


「アン!大丈夫か」


 返事がない。

 目を凝らして見ると耳から血が流れている。


「キサマぁ〜〜〜」


 ダン、ダン、ダン、


 ダン、ダダン、


 たぶん私より強い。

 アンがここまで苦しむとは…

 私一人ではいずれ負ける。

 何とかしなくては…


 ダン、ダン、


 ダダダダダン、


「しつけぇ〜」


 ちっ!相性が悪い。

 これじゃあ近寄れないわ。


 ダダン、ダン、ダン、


 魔弾は一発も当たらないが、クロサは近寄る事が出来ずに離れていく。


 魔力切れを待つクロサ、そこにゆっくりとレモネに歩み寄るアンが1枚の手紙を託す。


「はぁはぁ、これを持ってって」


 レモネは馬上から受け取る。


「これは?」


 今のアンには何も聞こえない。


「はぁはぁ、これを王国軍に届けて!はぁはぁはぁ」


 この手紙には何とか戦争を止めたいキュリの気持ちが込められている。

 そんな思いのある手紙を革命軍のトップであるレモネに渡した理由はただひとつ、信用出来る人物だからである。

 敵味方関係無く正しいと思うことにまっすぐと向き合う事が出来る人、アンはレモネのことをそう思っている。


「早く!」


「…わかったわ。アンを信じる。負けんじゃないわよ」


 ヒヒィーーーン、パカパカ、


「行け!」


 馬を走られた。

 進路は少し変わる。

 革命軍の指揮官のもとに行く予定が、遠回りをして王国軍の指揮官へと向い走り出した。

 

「キャーハッハァー、馬鹿かお前は」


 警戒しながらゆっくりと近寄る。


 下半身に氣が集まる。

 上半身には最低限の氣のみ。

 残りあと3メートル。

 あと2メートル。

 1メートル。


「せいーーーーーっ!」


 アンの氣合いの入った足刀蹴り。


 ザン


 風邪を斬った音が鳴る。


「はい、ざんね〜ん」


 遂にアンの左耳に平手打ちが決まる。


「【響打】」


 脳が揺れ、両耳から出血、僅かに聞こえた耳鳴りさえも聞こえない。

 そのままうつ伏せに倒れる。


「キャーハッハァー、キャーハッハァー、キャーハッハァー」


 気を失っているアンの頭をグリグリと踏みつけ高笑いしている。


 ここは?

 何も視えない。

 何も聞こえない。

 私は何をしているの?

 動けない。

 でも…

 起きないと…

 そう、負けるわけにはいかない…


 気を失って約10秒、アンの左手が動き頭を踏んでいるクロサの右足首を掴む。


「しつけぇ〜だよ。ブス」


 顔を蹴られたアンは仰向けになるとゆっくりと立ち上がった。

 クロサは一瞬寒気を感じた。

 それは殺気になのかわからずに後方に飛び間合いをつくる。


 あんなにふらついているのに何が出来る。

 少し押せば倒れそうじゃないか。

 畏れる事は何もない。


「これで終いだあああ」


 左手で響打、今度はアンの右耳を狙った。


 すると、響打が当たった瞬間に神業と思えるようなスピードでクロサの左手首を掴んだ。


「つ〜かまえた」


 振動が右耳から脳に突き抜ける前に掴み抑えた。

 そして左拳をクロサの腹に当てる。


 ポスッ


「なんだそのパンチはぁ、全然効かねぇな〜」


 ニィ(笑)

 左拳を開き、手のひらを腹部に当てた。


「空震掌」


 普段の空氣掌の威力は半分だが防御力のないクロサには十分過ぎる威力だった。

 苦しむ暇もなく、呼吸すら出来ずに白目をむきながら吐血をして気を失った。


 アンも何も言わずにその場で仰向けに倒れ、大の字になり目を閉じる。


 アンvsクロサ


 勝者 アン


   ◇   ◇   ◇


 革命軍と王国軍の睨み合いが続いていた。


「さて、このまま待機も飽きてきましたね。シタバさんも動きづらそうですし、仕方ありませんねぇ〜」


 別で運ばせた馬車から水の入った樽を外に出させる。

 その数150樽以上、これは軍の水と食料とは別に用意していた物で、全ての蓋を開けると水は無くなり辺りに霧がかかる。


「さぁ今こそ好機ですよ。全軍突撃です」


 うぉーーーーーーーー!

 うぉーーーーーーーーーー!

 うぉーーーーーーーーーーーー!


 革命軍が勢いよく向かってくるのを見た四聖騎士カーリーが自分の隊を動かす。


「盾隊!1列目前進」


 5メートル程進むと、しゃがみ込み盾で体全体を隠して隣と隙間なく盾を繋ぎ合わせる。


「盾隊!2列目前進」


 2列目は前に進み、立ったまま前列の盾と繋ぎ合わせて高さを作る。


「盾隊!3列目前進」


 前に進むと盾を持ち上げて2列目の盾と繋ぎ合わせた。

 高さ2メートル弱の壁が出来ると硬化魔術で強度を上げる。


 盾隊の動きに合わせて四聖騎士ニジンは弓隊の指示に入る。


「火の隊、前へ!次、土の隊」


 前方に魔術で矢じりに火をつけた隊が盾の前に矢を一斉発射、そして盾と火に阻まれた革命軍を威力を上げた土の隊が矢を射る。


「両翼に水の隊、後方援護に風の隊」


 その指示を聞いた総司令官ジャガーは自分の部隊をやや半円に待機、預かっているキュリの槍隊を両翼に移動される。


 現時点での各軍の被害報告


 死傷者人数


 革命軍 約200人


 王国軍 0人

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

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