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イストリア  作者: ヨシハル
22/30

22話 革命軍vs王国軍 ③

「おいおい、何だぁ今の雷は」


「さっきまでいた所じゃねぇか?」


「男のクセを雷ぐらいで何ビビってんのよぉ」


「うっせぇ!」


「早く行くわよ」


 シタバの後を追う3人、暫く進むと後ろから気配がする。

 足音が1つ、いや微かに聞こえる。

 足音は2つ、後ろを振り向くと走ってくる人が3人いた。


「お前が聞き違うとは珍しい」


「うっさいわね」


「ガキみたいだが、クロサが聞き違える相手なら油断ならねぇなぁ」


 進路を少し変えて走ってくる3人の進路を塞いだ。


   ◇   ◇   ◇


「おい、二人共速いってぇ」


 ラクトが一歩遅れて後ろを走っている。


「ラクト、あなた氣の流れが悪いのよ。ムダに氣を使いすぎよ」


「そんなこと言っても氣の使い方も流れも教わったことねぇし」


 と言われても教えて走っている余裕はないので、少しだけペースを落とすことにした。

 それでも一般人のダッシュと変わらないスピードではある。


「ちょっとぉ、前に変な奴らがいるんだけど」


「気にしねぇで行こうぜ」


「不味いなぁ〜、シフォン、アン、相手に合わせるぞ。嫌な予感がする」


 ラクトは下町育ちの元ヤクザ、この手の者を今まで多数見てきたので、感に近いものだろうがすぐに悪人と感じた。


「はぁ〜い、僕たちぃどこに行くのかな?お姉さんに教えてくれない」


 こういう時は役に立つラクト、前に立ち、上手く話を合わした。


「頼まれた物を届けに行く途中なんだ」


「そう。じゃあ〜それお姉さんに見せてくれるかなぁ?」


 ラクトが出したのは小さな指輪、それはこっそりとカヌレにプレゼントしようとしていた物だった。


「ふ〜〜〜ん、これはお姉さんが預かるから、君たちはおウチに帰りなさい」


「…はい」


 ラクトがシフォンとアンを連れて戻ろうとすると、クロサがダダチとズキンに目で合図すると、3人はクロサ達に囲まれた。


「お姉さん、素直な子は好きよ。でもなぁ、素直過ぎるんだよぉぉぉ!」


「持っている物全て出せや」


「俺たちはただのお使いを頼まれ…」


「おいおい、単なるガキが音を消して走れるわけねぇ〜だろうがあ!」


 ラクトがアンを見る。

 するとアンは頷き走り出した。


「おい!」


 クロサに右ストレートをブチかますが、簡単に防御された。


「女を殴るのは趣味じゃねぇが、悪党となると別だ」


 追おうとするダダチにはシフォンが立ち塞がり、ズキンがシフォンに突っ掛かってきた。


「ガキがナメやがって」


 シフォンのカウンターが炸裂!


 鼻血を出すが、すぐに立ち上がるズキンと、中腰になり魔力を出すダダチ、その二人に対してシフォンはニヤリと笑い構えた。


 ダダチが地面に手を付けると、土が固まり石に変わり上半身に付着する。

 それはどんどんと付いて岩の鎧と化した。


 岩亀ダダチ

 懸賞金 1,200万ラテ


 腰から取り出した二本の鎌を両手に持つと軽く振り、風斬り音が聞こえてくる。


 鎌切りズキン

 懸賞金 700万ラテ


 今度はクロサがラクトに平手打ち、左腕で防御するも物凄い高音が鳴り響いた。


 バチーーーーーーーーン、


 あまりの音の大きさにラクト片目を瞑り耳を塞ぐと、その隙にクロサは走り出しアンを追った。


「私から逃げられると思うなよ」


 狂音のクロサ

 懸賞金 1,100ラテ


「くっ!行かせるかよ」


「お前をな!」


 風斬り音と同時にラクトの頬が切れた。


「あっぶねぇ〜」


 ラクト、シフォン対ダダチ、ズキン


   ◇   ◇   ◇


 キュリが率いた隊、約200人が合流して現状を報告した。

 するとすぐに新しい報告が入る。


「ジャガー隊長、前方約1キロ地点に革命軍、およそ1,000程かと」


「失礼します。右翼よりおよそ1,500革命軍が進行中!」


 そして暫く様子を見ると左翼より2,500の革命軍の進行の報告を受ける。


「所詮は寄せ集め、人数集めりゃ勝てると本気で思ってんじゃなかろうな」


「じゃじゃじゃぁー、そういうなジャガー。それでもコレだけ集まりゃこっちも被害が出るわい」


「だったらお前が先頭に出ればいいだけよ。なあカーリーよ」


「わかっおるわ。後方支援は任せたぞニジン」


「オーケー、任せてよ」


 国王軍 総指揮官


 四聖騎士 剣のジャガー


 先陣


 四聖騎士 盾のカーリー


 後方支援


 四聖騎士 弓のニジン


 この3人だけでも革命軍の半分は倒せるであろう戦力である。


 一応はキュリが戻るまではカーリーの部隊を前に出し、防御の陣形を取り様子を見ることにしている。

 まさかキュリを倒す程の者がいるとも知らずに。


 一方で革命軍総指揮のケマは足並みを揃えてシタバが戻るのを待つ。

 その間に約1,400と約2,400の革命軍が集結すると左右に広く陣を取らす。

 一朝一夕で上手く指示通りに行くとは思っていないケマは、1つだけ策を伝達した。

 それはスペースを広く取り、4人1組で隊を組み、前後左右に対応出来るようにすることと、その1組を1つとして前後左右で4組16人の陣形を作ることだ。

 所詮は烏合の衆と理解しているケマは、難しい事は言わないで相手1人を4人で戦えと伝えた。

 それだけ個の力に差があることと、もう1つは少しでも戦力を削ぐこと、今回の戦で全てを終わらそうとはしていない。


「さて、あちらはやはり盾を前に…となると遠距離攻撃、まあ妥当なところですね」


「どうするんだ。ケマさん」


 幹部と言っても所詮はザコ、結局何も出来ずに私頼りですか。


「そうですねぇ。先ずはあの盾をこじ開けないことには話になりません。どなたかいけませんか?」


 3人はただ先陣を譲り合うばかりで話が進まない。


 はあ、コレだからただの古株さんは…

 レモネさんとトマさんも大変でしたねぇ〜。

 まっ、私は楽しめれば何でもいいですが…


「御三方が行かないのであれば少し時間を下さい。待機命令をお願いします」


 シタバさんに任せますか。

 こういうの好きですしね。


 既に後方に到着していたシタバは軍の動きを様子見していた。

 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!

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