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16.終章

1年の婚約期間を経て、わたしは今日、ランスの妻になった。

王宮のテラスから国民に向かって手を振るとうねりのような歓声が起こった。

ついひるんでしまうとランスがそっと腰を抱いてくれる。

「大丈夫?」

「平気よ」

彼の優しい瞳にほっとして微笑むと、キスが降ってきた。その行為にまたうねりが起こった。


披露宴にはたくさんのひとがお祝いに駆けつけてくれた。

タリザリスの王太子夫婦もおいでくださったし、リタ子爵と妹のアンナさんもいる。

あれから何度かランスとともにリタ子爵の家に行っていた。アンナさんのことを思ったら残酷だと反対したが、当の本人はケロッとしていた。

アンナさんはウィルへの想いはただの憧れだったと言い、

「わたしが考えなしだったせいでご迷惑をおかけしました」

と謝罪した。

「誰かを好きになるってことがようやくわかりました」

そういって笑う彼女の傍らには青年がいる。彼と微笑みあうアンナさんはとても可愛らしかった。


リタ子爵家は相変わらずランスの息抜きの場所で、そこにわたしも加わった。一日なんの用事もなくダラダラと過ごす楽しさも覚えてしまった。

「たまには【国一番の淑女】の看板を外すのもいいものだろ?」

「ほんとね、日常に戻りたくなくなるわ」

遠慮なくランスの胸板に頭を乗せ、目を閉じる。彼が髪をなで、すいてくれる。それがまた心地よい。

そうやってわたしたちはときどきリタ子爵家で過ごした。


わたしの提案した装飾品の販売戦略はうまくいっている。

タリザリスとグレームの装飾品は特徴が違うため、戦略行事が被ることもなくお互いが尊重しあっている。

わたしは宣伝塔として最新のアクセサリーを身に着け、夜会やお茶会に積極的に参加した。

もちろんランスが確約してくれた警備の力が貢献している。アリィ兄様方は双方の警備を管轄する要職に就いた。

エディ兄様は予定通りヴァンナム伯爵家を継ぐための準備に入った。驚いたことにお父様はさっさとエディ兄様に丸投げして引退しようとしている。

「カリナと領地でゆっくり過ごすのが長年の夢だった」

狡猾な策略家と言われていたお父様が実はのんびりしたがっていたなんて知らなかった。

「ランスとの婚約はお父様がもぎ取ってきたのだと思っていたわ」

「陛下に頼まれたんだ。お前の商才で社交界を賑わしてほしいと」

そんな密約があったとは知らなかった。結果として陛下の思惑通りになっていることにあの方の恐ろしさを感じる。



披露宴もそこそこにわたしたちは離宮へと入った。

「リザ、口をあけて」

「っ…」

ランスに横抱きにされ寝室へと運ばれながら、人目もはばからずに深い口づけをしあう。

婚儀から3日間はメイドも含め誰一人として離宮には近づかない。ランスとふたり、文字通りの蜜月を過ごす。


ランスの熱が余すことなくわたしに注がれた。

「愛してるよ、リザ」

「わたしも、愛してるわ」

そうして再び口づけをかわす。

わたしたちの蜜月はまだ始まったばかり。

これで終わりです

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!


いろいろ反省点もありますが、ただいま作成中の次作に活かしたいと思います。

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