15.side 王弟殿下
ウィルがエロいです
各地を回りながら国境へと移動してきた。長期にわたるタリザリスでの公務もこの夜会で最後だ。
リザとはずいぶん距離が近くなった。俺の与える熱に素直に反応してくれる。
今も熱を込めて蒼玉を見つめている。リザはほんのり頬を染め、そっと俺に体を預けてくれた。
そうやってリザを堪能していたのに邪魔者がやってきた。
「殿下は珍味がお好みと聞きしましたので」
そう言って一人の貴族が催し物のひとつであった踊り子を差し出してきた。その行為に俺の機嫌が氷点下に下がったことは言うまでもない。
国境近くではまだ俺が子爵令嬢に夢中だという噂が残っているようだ、珍味とはそういうことだろう。
よりによってリザの前でリザ以外の女を俺に勧めるなど、とりあえず死ね!
「たいへん素敵なお召し物だと思ってましたの。これはセルム織でしょうか?」
物騒な考えにとりつかれて返事をしない俺に代わってリザが答えてしまった。
「あ、はい。ここに来る前にあちらに寄りましたので」
踊り子も婚約者のほうが食いついてくるとは思わなかっただろうが、うまく話を合わせている。
「美しい生地だね、これでリザに衣装を仕立てようか」
薄く透けている生地でつくれる衣装なんて貴族令嬢なら夜着しかない、それもかなりきわどい方向の。
リザを覗き込むと彼女は俺の意図を正しく読み、途端に真っ赤になった。
しまった、こんな可愛いリザを他の奴らに見せてたまるか。
「少し疲れたかな?」
ひょいっとリザを横抱きにした。
「ランス!」
予想外のことだったのだろうか、リザは驚いて俺にしがみついてきた。彼女の柔らかい髪が頬に触れて心地よい。
「積極的なリザも可愛いね」
彼女の耳に唇を寄せささやきを与えてやると、ますます俺の腕の中で小さくなる。よし、これでリザの可愛い顔は誰にも見えなくなった。
そうして、先ほどの御仁に告げる。
「貴公がなにを勘違いしているか知らないが、わたしの唯一はリザだよ」
俺はわざと王族らしく悠々とした態度で与えられた部屋へリザを連れ去った。
王弟殿下はすでに婚約者を手折ったようだ。新たな噂は社交界を楽しませるだろう。
俺はリザを膝に乗せたままソファに座った。
「ランス?」
「なんだい?リザ」
片手でリザの腰を抱いて、もう片方の手はリザの髪をもてあそびながら応じる。
「おろしていただけないかしら?」
「なぜ?」
リザの言わんとすることはわかったが、俺たちはそろそろ次の段階に進んでもいい頃だ。
赤く染まった頬に手を添え、俺の熱を蒼玉に存分に注ぐ。これでもうリザは逃げられない。
「愛してるよ、リザ」
「ダメです」
深いキスの合間に消え入るような声で抵抗をしてみせるリザ。そんなもので俺を退けると思っているのか?
「心配しなくていい。最後まではしない。でも初夜には必要なことだ」
わざと初夜を印象付けた。今からするのはそういうこと、本当に嫌なら全力で拒否をしてみせろ。
その夜、俺はリザの嬌声を充分に楽しんだ。翌日、彼女の声は枯れており、侍女に白い目で見られた。




