第六話 ―相談―
*あらすじ*
渓人という少年の家にお邪魔したサクラ。
そこで渓人と渓人のお母さんで話し合った結果とは??
―――――――――――
渓人の部屋は古かった。
壁の色も日に焼けてきている。
「古いだろ?俺の部屋。」
サクラはおそるおそるうなずいた。
壁には色々なポスターが貼ってあった。そのデザインは野球選手の”ハチロー”
「…野球…好きなの?」
渓人はうなずいた。
「俺さ…野球選手になりたいんだ!ハチローみたいなカッコイイ奴になりたい」
(いいな・・・渓人って…。自分のちゃんとした夢があって。)
そして渓人はサクラの方を見て部屋を出ていってしまった。
辺りがシーンとしている。
サクラの地域でいうと、やっぱり夜になっても車の音も聞こえるし、
人の気配もする。
だけどここは違う。
夜になったら本当に夜って感じで・・・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
しばらくすると、渓人が入ってきた。
「コレ…妹のだけど、デカ目の貸してもらったから・・・着ろよ」
花柄のワンピースだった。
「あり…がとう。・・・・・どこで着替えればいい?」
「俺、出てくからここで着替えれよ。」
渓人は出ていった。
やっぱりシーンとしている。
…
…
…
「渓人…もういいよ」
渓人は入ってきた。
「ははっ、小さいだろ?妹の服だから」
サクラは焦って首を横に振った。
「・・・・・・・ねえそういえば・・・・・・・・」
「何?」
「渓人って・・・何歳なの?」
「15」
(同い年だ!!)
「アハハ・・・あたしも15歳・・・」
渓人は目を丸くした。
「本当に!!!!!?????」
サクラは座っていた椅子からすべり落ちた。
「なななななな??!!どうしたの??!!」
「あーごめん。俺さ、友達とかあんまいないし…15歳の友達いないから…」
(そっか…ここ、すごい田舎(?)だからあんまいないんだ・・・」
「ねぇ・・・あたしこれからどうしよう・・・」
渓人はサクラの顔を見た。
「・・・言いたくないなら言わなくていいんだけど・・・さっきまでドコがどうなってここまで来たのか。」
そしてサクラは片っ端から今までの事をすべて話した。
「お母さんが?ガスで?大変だねぇ…しかもブラックカプセルはもう解散してるはずなのに、まだ解散してなかったんだ・・・だからあんな服がビリビリに・・・」
サクラは思わず涙が出た。相談を乗ってくれる人がいるなんて。
「サクラ?どうしたの?怖かった?話さないほうがよかった?ごめんね!責めて!!」
サクラは首を横に振りながら渓人に抱きついた。
渓人は顔を赤くした。
「頑張ったね。」
渓人はサクラの頭をそっと撫でた。
「まず…んー…どうしよう」
渓人は悩んだ。
「渓人のお母さんに話してくる」
サクラは立ち上がった。
「え!?」
渓人は驚いていた。
「だって、大人に相談しないと解決しない話しだと思うから!!」
サクラは階段を1歩1歩降りて行った。
((ガチャ))リビングのドアを開ける。
「渓人のお母さん。ちょっとお話しがあるんです…ちょっといいですか?」
すると渓人のお母さんは妹を追い払った。
「ルミ。ちょっと部屋行きなさい。」
ルミはうなずいた。
「で、どうしたの?サクラちゃん?」
そしてサクラはまたすべて話した。
「っ・・・えぇ!?渓人の彼女じゃなかったの!?」
サクラはうなずいた。
そしてしばらく沈黙が続いた。
…
…
…
…
…
そしてお母さんが口を開いた。
「うちに暮らせば?」
サクラはびっくりした。
「えっ!?」
「だって、どこから来たのかどこに帰ればいいのかわからないんでしょ?だったらうちに暮らせばいいわ。学校は近くにあるし、サクラちゃんのお母さんとの連絡は携帯を買ってあげるわ」
サクラは嬉しいのかこの方向でいいのかわからない顔をした。
「あら。不安?」
そしてサクラは決めた。
「よろしくお願いします!!!!!!!!!!」
サクラとお母さんはハイタッチを華麗に決めた。
((ダンダンダンダンダン!!!))
サクラは階段を勢いよく駆け登った。
そして渓人の部屋のドアを思いっきり開けた。
「渓人!!!これからよろしくね!!!!」