第6話「真相~善~」(ひかり視点)
ひかり「う、うーん・・・。あれ・・・ここは?」
零花「ここはひかりの家だよ」
ひかり「えっ・・・零花、ちゃん?あれ?私、学校にいたはず・・・」
冷静になって周りを見渡した。知らない間に自室のベットに運ばれてたみたいだ。衣服も寝巻になっている。私は寝起きで回らない頭で記憶を遡った。
ひかり「あっ・・・そうだ、私・・・」
零花「うん。とりあえず熱も下がったっぽいね。よかった・・・」
ひかり「痛っ・・・」
頭痛がひどい。
零花「まだ安静にしてて。熱はなくても身体は万全じゃないんだから。」
ひかり「う、うん・・・」
何で零花がいるかもわからない中、とりあえず零花の言う通りベットで横になった。その後、10分ほど沈黙が続いた。零花はその間何も言わず、私の看病を続けていた。
ひかり「・・・零花ちゃん。」
零花「・・・何?」
零花は気まずそうに答える。私も少し怖かった。でも、今日の一件ではっきりと分かった。
ひかり「中学の時・・・私をいじめてた本当の理由。話してくれる?」
零花「・・・・・・」
ひかり「零花ちゃん・・・」
零花「・・・うん。分かってる。覚悟は出来てる。」
そう言うと、零花は部屋のドア前に立ち、こういった
「直哉さん、遥さん。入ってきてください。」
零花がそう言うと、私の部屋に二人が入ってくる。
ひかり「お父さん、お母さん・・・」
身体を起き上がらせようとゆっくりと顔を上げる。
直哉「大丈夫か?」
ひかり「うん。さっきよりは平気。・・・そっか。零花の言っていた意味が分かったよ。」
零花が言っていた意味。あれは“私の親は全てを知っている”ことを表していたんだと気づいた。
零花「ごめん。直哉さんと遥さんは真実を知ってる。今日ここで話すといったのも、私が直哉さんに呼ばれたからなの。」
ひかり「・・・うん。」
零花「・・・本当にごめんなさい。・・・中学の時、ひかりをいじめたのは、あなたにこれ以上傷ついてほしくなかったから・・・。私たちをいじめていた奴らからひかりを遠ざけるために私は自分からあなたと距離を置いた・・・。」
ひかり「うん。」
零花「私は・・・怖かったの。自分の大切な人が目の前で消えてしまうのが・・・」
零下はこっちを見て泣きそうになりながら少しずつ嗚咽交じりな声になりながらも私に真実を10分ほどかけ、すべて伝えてくれた。
ひかり「・・・そうだったんだ。」
零花「信じてもらえるとは思ってない。私は、私の行動でひかりの人生を壊しかけた・・・。一生償っても償いきれないことだと思う。ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
零花はその場で泣き出した。お父さんとお母さんは、何も言わずにただ見届けている。“お前次第だ”と言わんばかりに。
ひかり「ふぅーーー。夜霧零花!」
零花「は、はいっ・・・」
今出せる最大の声量で零花の名前を呼んだ。涙をぬぐいながら零花は返事をした。そんな零花に私は質問をした。
ひかり「私のこと、嫌い?」
零花「嫌いなわけない!だって、こんな私を受け入れてくれた・・・たった一人の・・・親友だったから!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔で嗚咽交じりの声で零花はそう答えた。
ひかり「・・・分かった。私はお父さんと違って鬼じゃないし、今までのことは水に流す。その代わりに条件!」
零花「条・・・件?」
泣きそうな顔で答える零花。そんな彼女に条件を告げる。
ひかり「私とまた親友になること!そして、もう二度と私の前から消えようだなんて思わないこと!」
零花「えっ・・・・・・」
予想外の発言だったのか、零花は何も言えなくなった。
ひかり「何?うれしくないの?残念だな~。せっかくここに戻ってきてまた親友ができたと思ったのに~。」
零花「っ/////」
零花の顔が赤くなっていくのが分かる。
ひかり「・・・零花。」
零花「・・・はい。」
真実を知った私は、零花に伝える。
ひかり「ありがとう!・・・私を守ろうとしてくれた気持ちに嘘偽りがないなら・・・私とまた、親友になってくれませんか?」
零花「///っ・・・はい!」
泣きながらにっこりと笑った零花はそう答えた。