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おまけの後日談


~~ 後日談 ~~



 あの後、キャロルさんは学園を強制退学させられた。元々良い噂があまりなかった彼女のご実家の男爵家も傾き、お金のため彼女は義父より年上の男性の元へ嫁がされることになったらしいのだけど……結婚前夜に逃げ出しその後どうなったのかは誰にも分からないという。




 そしてあの中庭での騒動後、私とダレル様はというと。




 今ではお互いに都合をつけお昼休みや放課後にダレル様お気に入りの花園で野良猫と戯れたりのんびり過ごす二人の時間を作るようになっていた。


「まだ夢のようだ。お前と心を通わせられる日が来るなんて」

「はい、私も夢のようです……色んな意味で」

 本当に、あの白昼夢のような出来事や前世の記憶など、どこからが夢で現実なのか今でもさっぱり訳がわからない状態だわ。


「お前はオスカーを想っているものと思っていたが、違ったんだな」

「えっ!? 誤解です。オスカーとは何もありません」

 突然のダレル様の発言に驚かされた。

 私はずっとダレル様一筋だったし、オスカーはプレイボーイのくせに基本私のことは女の子扱いしてこないし、そんな二人のどこを見て勘違いをしていたのかしら?


「ダレル様こそ……本当に私で良いのですか?」

 なぜか私の手を取ってくれたダレル様。とても嬉しいけれど、これは私が読んでいた少女マンガの結末じゃないから……今でもたまに不安になる。


「何度でも伝えるが、俺はエリーザしか見ていない。出逢った時から、ずっとだ」

「出逢った時から?」

「ああ、覚えていないかもしれないが……初めて会った日、俺はお前の笑顔に救われたんだ」

 そんな幼い頃から想ってくださっていたなんて。ずっとダレル様のことを見てきたつもりだったけれど、まったく分からなかったわ。


「だが、この婚約はお前にとっては強制的に決められたもの。あまり自分の気持ちを押し付けるのは、重荷になってしまうのではないかと思っていた」

「ダレル様……」

 大きな手で優しく頬を撫でられ私は心地よくて目を細めた。


 私もずっと思ってた。私たちは家同士が決めた許嫁だから、私だけの一方的な想いをぶつけてはダレル様の迷惑になるんじゃないかって。


「ふふ……私たちって、実は似た者同士だったのかもしれませんね」

「俺たちが?」

「ええ、だってお互いを想いすぎるばかりに遠慮してすれ違ってしまっていたんですもの」


「ああ……しかし、もう我慢の必要はないんだな」

「はい、私もこれからはもっと気持ちを言葉で伝えっ!?」

 熱っぽい眼差しで見つめられ、ダレル様は私を自分の方へと引き寄せる。逃がさないと言わんばかりに。


「愛している、エリーザ」

 ダレル様の顔が近付いてきて、なにをされるのか察した私は咄嗟に俯いた。

「ダメです。こんな所で」

「誰も見ていない」

 言いながらダレル様は私の顎に手を添え上を向くよう持ち上げられる。

「ダメです」

「……どうしても、ダメなのか?」


 何ですかそのしょげた顔は。もう、ずるい。そんな目で見つめられたら拒めないわ。

 物語のダレル様はこんなキャラだったかしらとふと考えてしまったけれど、もうそんなことどうでも良いと思った。


 だって、私が好きになったのは、物語の王子様じゃない。今目の前にいるこの彼なのだから。

 

「私も……愛していますわ、ダレル様」


 そう伝えると彼はとても嬉しそうな笑みを浮かべ、優しくて甘い口付けを私にくれた。

ブックマークや評価をつけてくれた皆様、感謝の気持ちでいっぱいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました(*^^*)

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