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いさぎな・もん(者)  作者: 古武 清信
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裕二に、10店舗の総支配人と言うべき職が言い渡された。 しかしこれは裕二の実力を買われての事ではなく、人材がなかっただけの事だと知った 裕二だが、見事これを務め上げる。

第六章 ( 野犬の群れ)


「フーン、で、どうなったの?」

優子に裕二は今日の出来事を話して聞かせたが、優子はあまり興味が無い様子であった。

興味がないと言うより、この一連の出来事で、まさか裕二の首が飛ぶなど

あるはずがないとでも考えているかのような様子である。

優子のあまりにも無頓着ぶりに

「首にでもなったらどうする?」

と裕二が脅かすと

優子は、目を輝かせながら、

「もし、そうなったら帰ればいいじゃない?」

「日本にか?」

優子との話は脱線しがちである。

可能性を求めてはるばるやって来た裕二と、優子みたいに、

裕二が居るから(イギリスに)来た者との差なのだろう。

優子はさらに続けた。

「帰っても、実家もあるし、両親も両手を上げて歓迎してくれると思うワ」

と言う優子に、

「帰りたいのか優子は?」

と、意外とでも言う様な様子で聞くと、

「帰りたい訳ではないけど・・・

「どっちかと言うと私は日本かなー・・・」


「このカーテン素敵でしょう」

と、優子は急に話題を変えた。

優子が指し示した窓一面に、新しい、緑と木を連想させるデザインのカーテンが、

広がっていた。

「自分で縫ったのか?」

裕二は優子のセンスに感心しながら、

「やっぱり、優子に任せて正解だった」と言うと、

優子は、さも当然と言った様子で、

「貴方のセンスはちょっと違うからね」と笑った。

そして、

「全然気が付かないんだから・・・」

優子が必死で縫いあげたカーテンに裕二全然気が付かないと言って

優子は口をとがらせた。


「見えてたよ」

裕二は妙な答えを返した。

男の感覚は部屋に入るなり、新しいカーテンが目に入っても、気が付かない

のではなく、女性みたいな感嘆の心境にならないだけである。

「ネェー素敵でしょう?」

「この生地探すのに十か所くらい回ったんだから」

優子はどうしても裕二に褒めてもらいたいのか、カーテンの話を続けた。

裕二の頭の中はカーテンの事など、とっくに何処かへ、行ってしまており、

「ああ・・。」

と生返事ばかりを繰り返していた。


昨日の出来事も、どこ吹く風くらいにしか考えてないような

達磨の態度が、裕二は何となく可笑しかった。

「少しも気にならんのか?」

「何が?」

「アンタ自身の事だよ」

「この前の人事の事か・・・、大丈夫だよ、人もいないし」

と、達磨は答えた。

「俺も、首になるとは思わんが、アンタはあまり仕事せんからな・・・」

と裕二が達磨をからかうと、

「良く言うよ。その大事なスタッフを権限もないのに首切ったのは誰よ」

二人は、お互いをアンタは危ない・・・と言い合い、笑いあった。


「で、居座るの?」

と裕二が達磨に聞くと

「そんな積りはないが、首なら仕方がないかな」

「それより山崎、お前はどうするんだ」

「ついていくのか?」

と達磨には珍しく真剣な顔つきで裕二に聞いた。

「ついて行く?何で?」

「イヤ、随分可愛がってもらったんだろう?」

と意味深に笑った。

確かに前の社長はどこの馬の骨かも知れない祐二を拾ってくれ、

店長に取り立ててくれた。

のみならず、事務所に用事があるなら、用がある方が出向け!と、

逆らったり、勝手にスタッフを連れて、他の店で飲食し、

その代金を会社につけてまわしたり、更には、

調理長まで独断で首にした事もある。

せめて、裕二の店も、忙しいのであれば、裕二の言動や行動も

ある程度多大目に見てもらう事もあるかも知れないが、店は相変わらず暇の状態から

抜け出していなかった。

そんな裕二を、他の店長達は、同情しながらも

ただではすまないだろうと考えたのは当然である。

しかし、裕二は何事もなかったかの様に同じ業務をこなしていた。

違った事はキッチンの仕事が裕二に加わった事くらいである。


はたから見たらこんな事件を起こした裕二が無事?なのが信じられない。

どう考えても理解できない事を、

“気に入られている”から・・・と別の解釈で納得しようとしたのかも知れない。

達磨などは当初“社長の身内ではないか”と考えていたそうである。


「社長は男気もあるし、好きだが・・・」

「我々は店ごと売られたんだからな」

と裕二が返事をすると、何人か辞めて前社長の所について行く者がいるらしいと

達磨が言った。

「前社長について行ってどうするんだ?迷惑だろうに・・・」

「又新しいレストランでもやるんだろうなー」

と達磨は考えを漏らした。

「レストランを言い値で売却しておいて、又すぐ新しい店をやって(開店)もいいんか?」

「そりゃ、自由だろう」

「又すぐ競争相手になるじゃないか」

「なったって、ヤルと言うのに誰も止める事は出来んだろう・・・」

「・・・・・・・」

「まあ、そりゃそうだが・・・」

裕二は何となく複雑だった。


結果、十人程が辞めて、前社長について行ったようだった。

裕二は、残った。

そして相変わらずキッチンで働いていた。

裕二は、寿司も刺身も問題なく出来るようになり、例の一件以来、

裕二の働く富士レストランも、随分と平和になった。

今では裕二はキッチンでもみんなと仲良く、冗談をいい合いながら

仕事ができるようになっている。


十二月三十一日、大みそかの夜に、裕二は優子を伴ってトラファルガー広場に

やって来た。

この広場は英国海軍提督のネルソンの銅像がある所で、ロンドンのちょうど中心部にある。

ネルソン提督は、フランスとの海戦に勝利をもたらしたが、その戦争で死亡し、

その記念碑が建っているのである。

この日は、この広場にイギリス中の若者達が、集まって来る。

新年のカウントダウンをするためだが、この場所ではカウントダウンが終わると、

「ハピーニューイヤー(新年おめでとう」と、

お互い言葉をかけ、その後、誰とでもキスをしてもいい事になっている。

去年裕二も興味深々で、レストランのスタッフと一緒に来てみた。

いくら誰とでもキスしていいと言っても、裕二にも好みがある。

いい女を探し回っていたら、時間が経ち、集まった群衆も帰り始め、

結局は誰ともキスしないで帰った。

今回は優子を連れているので、ちょっと心配になったが、

彼氏を連れた女にはキスは出来ない・・・と、

一応、連れの男性に遠慮する決まりになっているらしい。

事実、多くのカップルも連れ立って歩いていた。

それより去年は、裕二はハント気分で、目もギラギラ感があったが、

今年は優子にカウントダウンを見せたいと言う意識に変化しており、

それなりの余裕さえ感じられた。

彼女がそばにいると いないのとの差は、男性は態度や目つきまで

変わってくるものだろうか・・・。


「日本のお祭りみたいね」

と言いながら優子は裕二の腕にぶら下がりながら歩いていた。

やはり男性が多い。そして外国人(東洋、中東、アフリカ)が多かった。

一番多かったのはインド系である。

近代、中東からアジアまで、多くの国はイギリスの植民地であり、

これらの国では、長い植民地支配の過程から、段々と教育からファッシヨン、

マナーにいたるまで、イギリス風に変わって来ており、その結果

我々日本人には考えられないようなイギリスへの“あこがれ”

みたいな物が強くなっている様子を裕二は感じた。

“あこがれ”は、言葉クイーンズイングリッシュをしゃべりたいだったり、

紳士的振る舞い、或いはイギリスに住みたいだったり、

金持ちになりたい、又イギリス人の彼女、彼氏を持ちたいだったりと、

人それぞれではあるが、

その情熱と言うか、彼らの“イギリスカブレ病”は、日本人が抱くアメリカや、

ヨーロッパのそれと比較にならない。

では、就労許可の申請でも繰り返したら、いつかは許可も、もらえてイギリスで

働く事もできると考えるが、インド等とは、そういう国同士の協定を結んでいない

とかで、その申請窓口すら彼らには開かれていないそうである。

ではどこからそのインド系は湧き出てくるのか・・・・

多くは“モグリ”だが、

その他に、植民地時代、現地インドに駐留した事のあるイギリス人家族の、

メイドであったり家政婦であったりした者を、イギリス人家族が帰国するとき、

連れて帰ったその子孫であると言う。

その話をイギリス人から聞いた裕二は、

「また、随分多くのインド人を連れて帰ったんだね」

と言うと、

「何、犬や猫の子と同じで、一匹でも連れてくると、数年もすると数十匹に

増えるのと同じ事だ」

とニガニガしく答えた。

裕二は大笑いした。

イギリス人がインド人を犬、猫に例えるなら、

日本人は、どう思っているんだろうと、

裕二は心配になったが、イギリス人と日本人の歴史的な接点はあまりなく、

第二次世界戦争の時だけは極地では戦ったが、

イギリスには、定まった日本人観と言うような物は未だ確立されていない。

又、日本人は、イギリスに赴任しても任期が終われば帰国するのがほとんどで、

裕二みたいにモグリで住み着くという事は殆どなく、

遠慮しながら滞在する日本人は、嫌われたりすることは

少ないのではないかと裕二は考えた。


そんなインド人にイギリス人の彼女や彼氏が出来る事は殆どなく、

イギリス人女性等は、いつまでも手が届かないマドンナ的な存在なんだろう。

しかし、十二月三十一日の夜だけは、違う。

遠慮なく抱きしめてキスが出来る。

裕二が目にしたものは、一体どこからこの人達は湧き出て来るのか・・・と

思うくらいの、色の浅黒い男達が白人の女に群がる光景である。

まるで、飢えた野犬の群れに、美女が投げ込まれたような感じである。

その様子を目の当たりにした裕二は、驚きと同時に不快感を感じた。

急に暗がりから現れた

(肌の色が浅黒く、その存在が保護色にでもなっているのか)

男達が次から次に現れて有無を言わさず、白人女性にキスする様子は、

決して女性が望んでいる姿とは程遠く、

次々に襲われる女性は息さえもまともに出来ない様子である。


「バカ共が良くやるよ」

と裕二は思ったが、

そんな裕二も去年は目をギラギラさせながら、チャンスを

物色していたはずである。

不思議なもので、人間は条件が変わると、客観的にも、物事が見えてくるようにも

なるらしい。

(人事)

年が変わって、新しい年になった。

裕二の富士レストランも何の変化も無く新年を迎えた。

そんな時、本店のマネジャーが辞めるらしいと噂が広がった。

この、本店のマネージャーの他に数人が前社長の身内であり、

次々に開店する店の為、前社長は身内を日本から呼び寄せた訳だが、

その、大元が会社を手放す事になり、そのまま居座る事も出来ず、

当然、その身内達も去っていくことになるであろう事は想像できた。

(人事も落ち着くまでしばらくかかるだろう・・・)

裕二は、そんな事を考えていたが、

新会社の経営陣は、各店舗の責任者を呼んで面接を始めた。

今さら、面接など・・・と考えるが、新しい会社の人たちは、各店の責任者の

顔も知らない訳だし、当然と言えば当然の事かも知れない。


その面接は案外早く実施された。

裕二はチーフのヤマさんを伴って出かけた。

その前に裕二は事務所に顔を出してみた。

事務所のイギリス人たちとは色々あったが、意見の相違だけで、

双方に、根に持つ問題があった訳でもなく、

今ではお互い声を掛け合い、ジョークを飛ばしたりする関係である。

今回も、事務員たちは裕二を見るなり、

「トラブルメーカー(問題を起こす人)が来た」と、裕二をからかった。

確かに裕二は、自分が正しいと思ったら、外人達にも主張した。

そんな事から、裕二の事を形容するのに事務所では、裕二とか、

富士レストランのマネージャーと呼ばずにいつしか“あのトラブルメーカー”

と、呼んでいるらしい。

裕二も裕二で、そんな呼び方されても、意にも介さない様子で、

「事務所の人達は新体制になるが、何の問題もないのか」

と聞いてみた。

幸い、全員が留まるらしい。

裕二は、事務所まで新しい人達に変わってしまうより、

このジョークを飛ばし合う人達のままで良かったと思った。



面接は、ヤマさんは直ぐ済むとかで、ヤマさんから始まった。

三十分もしないうちにヤマさんは終わって出て来た

「何を聞かれたの?」

と、裕二が興味津々で問いかけると、

「なーんも。ただの世間話よ」

と、ヤマさんは答えた。

(まさか・・・世間話で呼びつけたりしないだろう)

と、裕二は考えたが、興味の方が大きかった。


日本のエリート集団が、全く畑違いのレストランビジネスに手を染め始めた

訳であり、その手腕に裕二は大いに興味があった。


部屋に入ると新社長の佐藤大輔を始め左右に一人ずつの三人の商社マンが

裕二を迎えた。

いずれもスーツ姿であり、裕二は今までとは違った緊張感を感じた。

まず、各々の自己紹介から始まり、新社長は書類に目を通しながら、

「山崎君は随分若いね」

と口火を切った。

童顔の裕二はどうしても若く見られがちで、この時も第一印象が若いと

みられたのだろう。

「皆から言われますが、もう二十代の後半です」

「結婚もしており、妻も昨年末、英国に来ております」

(知っている)

と言う様子で皆がうなずいている。

「君は最初はバイトでの入社と記されてあるが、その君がどうして

店長に抜擢されたのですか?」

(前社長に仕事を評価され・・・)と答えようとしたが、

そんなイギリス人を相手にしたようなユーモアじみた会話は通じないのでは

ないかと裕二は考え、

「交渉しました」

と答えた。

「交渉?店長をやらせろって?」

驚きながら聞き返す新社長に、

裕二はテレながら、

「やらせろとは言っていませんが、店長なら仕事を受けると・・」

話しました。

「ほう・・・」

皆が顔を見合わせた。

面白い職歴の店長がいたもんだと言う表情である。

「そんな立場の危ういと言ったら失礼になるかも知れないが、

いわば抜擢された君が、どうして調理長の首を切ったり

出来たのですか?」

来た来た・・・と裕二は思った。

返事次第では、裕二はどうにでも評価され、以後特殊なレッテルを

張られたまま、日の目を見れない事も在り得る。

が、正直に答える以外に方法は無い。


「店はお客様あっての商売だと考えています。であれば、お客から要望があった

オニギリ位、作ってあげるべきです。

しかし当時の調理長は、やるには、時間外(手当)を出せと言います。

私も当然の要求で、不思議とは思いませんでしたが、出せません。

それは店の経営が赤字続きで、余計な経費は極力慎むようにと会社からの要請が

あったからです。

こんな場合、他の店はどんな対応をしているのか聞いてみましたが、

全部の店が(時間外は)お断りしていると。

私も断ってしまえば、その後の混乱は避けられたと思いますが、立場上、

売り上げが欲しく、結果調理長とぶっつかってしまいました。」


ここまで話して裕二は皆の反応を見た。

一連の粗筋はもう皆も知っているらしく、特別な突っ込みも無く、分かった

とでも言うように首を縦に振っていた。

するとその時、一番年の若そうな一人が、

「ぶっつかると言う事はどの業種にもあると思いますが、それが首を言い渡した

理由ですか?」

と、核心を突いて来た

裕二は裕二自身の気持ちを伝えるしかないと思った。

「私は一応富士レストランの責任者です。責任者には統率の任務も

加わると考えます。

その責任者の命令(この場合お願いではあるが)が聞けないと言うのであれば、

他の方法は考えられませんでした」


「もう少し良く話し合ってみたら・・とは思いませんでしたか?」

(全く分かっていない)

裕二がここまで至った理由、苦悩、・・・。

裕二も、首をかけて決断した事であった。

話し合って解決出来るような時期は過ぎたと裕二は判断して、一線を越えた。

会社も会社である。

出すものも出さないで、全てその責任を店長に押し付け、

「売り上げが少ない」と言う。

では、会社は富士レストランの集客の為の何かのイベントでもしましたか?

と問い詰めたい衝動に駆られたが、ここの人達はそんな事は全く知らない

ただ、前社長はそれを知っているから、裕二にも寛大だった。

要は、裕二が責任感一杯で会社と板挟みになった結果の出来事であり、

友人の達磨みたいに、余計な事と考え、全て断っていれば防げた事態である。

裕二のその、やる気は評価しないで、結果だけ見て、もう少し良く

話し合わなかったから・・・など、

(この経営陣は前社長以下だ)

と裕二は思ったが、ここでその話をしても意味がない。


「思いませんでした」と、

裕二はぶっきら棒に答えた。

「どうしてですか?」

(アホか・・・)

と思ったが、裕二を意図的に試しているのではないかと考え直し、

裕二の考えを述べた。

「指揮官は、音楽でも軍隊でも、兵にお願いして行動するものでは無く、

オーダー(命令)するものだと心得ます。

「「出来ない」」

と言われれば、他の方法はありません」

「出来ないと言った方(兵)の責任より、言われた指揮官の責任をどうこう問われたら、

対応の仕様が無くなります。」

と裕二は言い切った。

「たとえ、退職に追いやってもですか?」

(アンタは社会主義国の人間か?)

と、裕二は思った、が、さすがに口にはしなかった。

(話し合う様な人物ではない)

裕二はムッとして、返事をしないで、その若い男を凝視した。

「裁判かこれは・・・」

と裕二は嫌になって来た。

その空気を和らげたのが、社長の佐藤である。

「まあ、まあ、店長の山崎君も、売り上げを伸ばそうとしての結果だし、・・・」

と言って、話題を変えた。

裕二は、この社会主義思想の男との話が未だ決着ついていないし、会社自身も、

この件(時間外)をどうするとの最終的な話を聞いていない・・・と考えたが、

今日のこの場は、そんな場じゃないと考え直した。

「山崎君は今後もこの会社で頑張ってもらえますか」

裕二も当然その積りだったし、

「その積りです」

と簡単に答えた。

「所で、奥さんですが、何処かの店に働いていただける可能性は

ありませんか?」

と意外な事を聞かれた。

裕二の奥さんとなり、来英した優子には、裕二同様、労働が許される。

この新しい会社で、今までみたいに九十パーセント以上のスタッフを“モグリ”

のまま、使う訳には行かないであろう。

「機会がありましたら・・・」

と、裕二は曖昧に答えておいた。

最後に妙な事を聞かれた。

「本店の店長にはどんな人を望みますか」

裕二には、全く関係のない話で、興味もなかったが、

「幸い、新しい会社になった事ですし、誰かテトロンの会社から適当な人を・・・

と言うのはいかがですか?」

と意味深な返事を返しておいた。


この面接だが、・・・・もし、意図的な面接法であれば、と裕二は考えた。

一人がとことん追求し、追い詰め、本音を探る。

他の一人がまあ、まあとなだめる。

この飴と鞭、強弱をコントロールした捜査の方法は、世界の

捜査機関にある。


高等かつ、意図的面接をあの社長たちは図ったのだろうかと裕二は帰り道すがら考えた。

(まさか・・・)

糸屋(会社)が・・・と、

裕二は否定してみたもの、

(いずれにしても、結果は直ぐ分かる)

と考え、これ以上深く考えるのを止めた。

一月、ロンドンの冬は寒い。

裕二は急ぎ足で帰宅した。



(ニアミス)

優子も大分ロンドンに慣れ、近場の店には、一人ででも買い物が、

できるようになった。

裕二が働く店にも連れて行き、全員に紹介もした。

「あんな綺麗な奥さんがいるのに、日本に置いて来たなんて・・・」

と裕二の英国単身赴任?を全員が不思議がった。

裕二も、何もわざとやった訳ではない。状況がそれを許さなかった

と訴えたかったが、仮にそう訴えても、聞く耳を持っていそうもなく、

「それでも何か方法があったでしょう」くらい言われそうで、止めた。

事実、大きなサングラスを頭に、パンタロンスタイルで来た優子を、

裕二の奥さんとは誰も知らず、

「ムチャ美人のモデルの様な人が、裕二を訪ねて来ている」と裕二のいるキッチンへ

スタッフが飛び込んできた。


そんなある日の事である。

裕二は、休日にも仕事をしていた。

レストランが、ホテルの中にあるため、三百六十五日、休みなく営業している。

スタッフ達は、順番に休みを取ったが、裕二はホールも、キッチンも働いているため、

たまに休日曜出勤でもして、たまった書類など片ずけておかないと、

後々自分が困るからだ。

この日、裕二は昼過ぎに出店し、事務所で仕事をしている所に

ヘレンが突然やって来たのである。

ヘレンとは昨年末、優子が来英したこともあり、ここしばらく、

連絡を取っていなかった。

「久しぶり」

ヘレンは裕二を見るとそういった。

「ハーイ」

裕二は平静を装ってそう返事を返したが、内心大きく動揺していた。

瞬間、

(ヤバイ)

とも思った。

裕二はあせる気持ちを、隠しながら、

「この所、人員不足?で、キッチンまで入って仕事しているだろう

だから、忙しくて、今日は休みだったが、書類の整理に来ていたんだ」

と、さりげなく、聞かれてもいない事を話した。


「で、今日は?」

と裕二が問いかけると、

「最近、何の連絡もないし、どうしているかなと思って・・・」

と言ってヘレンは怪しげにほほ笑んだ。

「そうか、有難う、優しいネ」

英語とは不思議なもので、日本語では言った事もないような内容の

優しい言葉が、ポンポン飛び出す。

そして思ってもいない言葉を裕二はヘレンに言った。

「せっかく来たんだし、食事でもしていくかい?」


「せっかくだけど、どうしているかと様子を見に来ただけだし、急ぐから・・・」

との言葉を、期待した。

だが、ヘレンのその唇から発せられた言葉は、

「いいの?」

であった。

「勿論だよ」

裕二は未だ優子にすらしたことのないサービスを、裕二自らヘレンに

するハメになしまった。

(ヤバイ・・早く帰って欲しい・・・)

裕二はそう願っているが、成り行き上、仕方がなかった。

(・・・ったく・・・・。)

女性スタッフの白い目が気になる。


男とは勝手な物である。

裕二は当初、ヘレンと知り合った時、優子と付き合い始める頃より

エキサイトしていた。

初めての金髪の外人女性である、いわば未知との遭遇でもあり、クールでもあった。

それより、これで初めて語学に苦しまなくていいと考えた。

良く、バイト仲間達と英語が上達しなくて悩んでいた時、

イギリス人の彼女でも作らないと、なかなか上達する物でもないと

冗談を言ったりした事も在り、裕二もなかば、それを信じていた。

ヘレンと知り合いもう一年にもなるが、一年前より英語も

数段うまくなっているかと言えば、これがそうでもないと裕二は考えている。

これもまた不思議な事だが、二人の間に存在していた言葉の壁が

歳月と共に段々と取り除かれて行くのである。

いわゆる、男女間には言葉の必要が要らなくなって来るのである。

これは、英語が上手くなったと言うより、二者間だけに理解できる別の何かが

育って来ている訳で、

当然なことであるが、裕二は始めてこの国境を越えた男と女

と言うモノの不思議さに気付かされた

英語の上達は決して誰それの存在が上達を促すものではなく、

当人がいかに頑張ったかに寄るしかない。

そんな英語の上達の事より優子が来英した今、ヘレンに裕二の周りをウロついて

もらっては困るのである。


食事は振る舞ったが、裕二は忙しい振りをして、ヘレンの席から、

なるべく離れているように心がけた。

食事が終り、コーヒーを振る舞っているとき、

裕二も、やっとひと段落したと言う様子でヘレンのテーブルへ着いた。

ヘレンと他愛も無い雑談をしていると、

急に、表が騒がしくなった。

キャーキャーと普通聞かない騒がしさで、有名人でも現れたような

騒ぎようである。

裕二は腕時計を見た。

店は昼の三時で終わっているから、裕二が出ていく事もないだろう。

そこに、チーフのヤマさんが、ソワソワとした様子でやって来た。

そして、何食わぬ顔を装いながら、

小さなメモをそっと裕二に手渡した。

そこには乱暴な文字で、

「「奥さんが見えてます。」

との走り書きがあった。

(ヤバーヤバー ヤバー)

裕二は一瞬、血の気が引いて行く気がした。

耐えながら、必死にこの状況をどう切り抜けるかと

持ってるすべての知識と経験を総動員させ、思考をフル回転させた。

この成り行きをすべてのスタッフがかたずをのんで見守っているに違いない。

幸い、裕二達の席は奥の為、二人の姿を、まだ優子には知られていない。

裕二はヤマさんに訴えるような目を向け、

「何とかしばらく(優子を)止めといて」

と言った。

ヘレンは日本語はわからないが、何かあったのではないか・・・

との空気を読んだようだ。


「何かあったの?」

案の定、一連の動きにいぶかったヘレンが聞いた。

「イヤ、働きたいという人が面接に来たらしいんだ」

さすが、色男、答え方もクールである。


要は、これからどうするかが問題で、成り行きいかんでは、

修羅場とまでは行かなくても、裕二の人生さえも左右しかねない

ハプニングに見舞われる事さえ大ありである。

(帰って欲しい・・・)

裕二の願いが通じたのかどうか、

「忙しそうだし、食事も終わったから、私失礼するわ」

とヘレンが珍しく、気をきかした。

裕二は内心、助かったと思った。

裕二は多忙さを装い、

「送れないが、ここで失礼していいか?」

なかなかの紳士の言葉を発した。

裕二はヤマさんを呼んで、表まで見送るようにお願いした。

「何で私が・・・店長の彼女でしょう」

とは、さすが、ヤマさんは言わないのは年の功であろう。

ヘレンは小さく手を振り微笑みながら、

「チャオ」

と裕二に言い、ヤマさんに促され、去っていった。


引き続き優子がヤマさんに案内されて来た。

裕二は書類をかき分けながら、さも忙しいという、素振りをしていたが、

優子を見るなり、驚いたと言う表情で、声をかけた。

「良く一人で来られたね」

優子は裕二の質問には答えず、

「誰?今の人」

さすが、優子もなかなかの女性である。

こういう件に関しては女性は洋の東西を問わず、するどい感覚を発揮する。

「仕事の面接に来た人だよ」

と裕二は答えながら冷静さを装い、優子の反応を見た。

優子は、まさか裕二が経営者の社長さえやったことが無い、

自分の彼女を職場に呼んで食事を提供していた

とまでは考えられない。

純粋な田舎出身の娘なのである。

「そう」

優子は一瞬、曇った表情を見せたが、裕二の言葉に安心でもしたのか、

笑顔を取り戻し。そして、

「一緒に帰れる?」

(感ずかれていない)

裕二は優子の言葉に安心すると、

「帰りに、おいしい中華の店で食事をして帰ろうか」

と優しく、優子を誘った。


(人事)

「全く・・・」

「全く、信じられない」

「あんな綺麗な奥さんが居ながら・・・」

女性陣から裕二への非難の嵐である。

確かに・・・。

奥さんの目を盗み、休日出勤をして、他ならまだしも、

図らずも、自分の職場に彼女を呼んで食事を提供した事になってしまった。

裕二は、以前から事、女性に関しては、毎回ドジっている。

それは決して裕二が計画したものではなかったが、いざ、行動を起こそうと

すると、決まって何かの事件が持ち上がる。

今回の事も、裕二は純粋に仕事が溜まっていたため、仕方なく職場に

やって来ただけだった。

(女難の相がある)

裕二は腐ったが、とんでもない話題を会社中に提供した事になる。

(達磨の耳にでも入ったら、大うけするに違いない)

救いは、この状況をスタッフ全員が回避させようと頑張ってくれた事である。

優子が来店したとき、状況を悟った全てのスタッフが、優子を取り囲み、

質問責めにし、しばらく動けないようにしたとの事。

良くできた、スタッフ達である。

ヤマさんが、

「男ってみんなそういうモノよ」

と吐き捨てるように話したそうである。


会社の面接を終えて二週間が過ぎた頃、又ミーティングの知らせがあった。

人事異動と言う事だった。

新しい会社になってから、やり方が違って来ていた。

人事など当人に伝えるべきもので、ミーティングの席上やるものではない。

新しい会社はどうなっているんだと、達磨にTELを入れてみたら、

達磨が笑いながら教えてくれた。

OO店の板前にXX店に移ってくれないかと会社の担当者が頼んだらしい。

それを聞いた板前は、

「それは命令ですか?」

と、その会社の人事担当に聞いたそうだ。

担当者もその、意外な質問に困惑しながら、

「イヤ、これはお願いなんですが・・・」

と言った所、

「お断りします」と、

言ったとの事。

裕二は首を言い渡すが、会社は人事を撤回すると、達磨は笑った。

裕二も釣られて大いに笑った。

外国にたむろするこの野犬の群れには、日本の会社の常識が通じない

ばかりか、会社もどう対応していいか分からず、

ミーティングばかり提案してくる。


実際、日本での板前の世界はそうとうな封建社会の流れを今も脈々と

受け継がれており、調理長がキッチンの全ての権利(人事から給料、仕事の配分まで)

を受け持っている。

調理長が店を移る場合は、調理長一人と言う事は無く、調理長はキッチンの

全てのスタッフを連れて出る。

調理長は自分自身の部下を束ねている訳で、当然レストラン内に

二つの勢力(店長を中心とするホールと調理長が中心のキッチン)

が存在する事になる。

店長と調理長がお互いその人格、経験、能力を認めている場合は、店も

おだやかだが、この二人か反目しだしたら悲劇である。

そこで、多くの場合、店長ではなく、調理長の方の顔色をうかがったり、

意見を聞く事が多くなる。

しかし、外国ではこのシステムが機能しなくなる。

なぜなら、全ての外国人には、就労許可証が必要で、調理長も自分の部下を

連れて外国に赴任すると言う事が出来ないためである。

かくして、寄せ集めキッチンスタッフ=(野犬の群れ)が出来上がる。

これをさらに混乱させるのは、腕も経験もある調理師は、食材ですら

入手困難な国での仕事を希望しない者が多く、

希望するのは、スネにキズ持つ人物か、或いは野心的な若者が多くなる。


この野犬の群れに、商社の人間が、当然と思える要求をしたところ、

噛みつかれた事になった。

これでは人事すらも会社が、会社自身で行えない。


裕二は愉快になった。

秩序が有り、頭もよく、優秀な商社の人間が、困惑している。

彼らの常識が通じないのだ。

(どう出るか)

裕二は興味津々、会社の様子を伺っていたが、特に変わった事もなく、

また、ミーティングの知らせが来たと言う訳である。


今回は店長だけの集まりである。

店長同士、仕事の内容は皆同じで、それとなく親近感さえ感じる。

「富士の店長は、給料も多いだろう」

と、他店の店長が裕二に聞いて来た。

「何でよ?」

「イヤ、キッチンでも働いているから・・・」

と、からかった。

「少し位は不満でも言わないと、俺らもキッチンで働らかされるぞ」

又誰かが、

「キッチンで働くには、先に、言う事を聞かない者の首を切らなきゃ」

と、誰かが言ったので、大笑いになった。


そこに、社長の加藤大輔が着席した。

かた通りの挨拶の後、

「前社長の身内である本店のマネージャー他、数名が退職し、店長が

いないと言う不測の事態のままの営業となっていましたが、今回以下の通り、

人事異動を発表したいと思います。

その前に・・・。」

と言って、全員を見渡した。

移動と言っても、裕二が働く富士レストランへの移動は難しいのではないかと

裕二は考えている。

調理長のいない店への、移動と言う事は、それは裕二同様、表とホールとキッチン

の仕事を同時に受け持つ事で、そんな仕事は誰にも出来る事でもなく、

又誰も望まないだろうと考えたからだ。

移動と言っても・・・

(俺はこのまま)

と裕二は、他の店の人事を眺める余裕があった。

「誰か、この人事を何かの理由で受けられない人がいますか?」

と社長が聞いた。

ヤケに低姿勢である。

日本では人事移動など殆ど通達で済む話と、裕二は聞いている。

勿論、特殊な事情などで、事前に相談 打ち合わせ等、会社によって

大きく変わって来るとは考えられるが・・・・。


(苦労しているらしい)

裕二は、一人おかしくなり、あやうく声を上げて笑い出しそうに

なった。


そして発表である。

一つ一つの店の名前と新しく就任する店長の名前が次々と読み上げられた。

「富士レストラン」

裕二は当然、裕二の名前を呼ばれると思っていた。

「新しい店長は、高木マネージャー」

高木、あの裕二の一番の親友の達磨である。

(エッ、じゃ俺はどこに?)

裕二は急に不安になった。

(では・・・、又新しい店か・・・)

(まあ、今までの実績が、実績だし・・・。)

受け入れるしかないか・・・と、覚悟しながら社長の発表を聞いていた。


他店の人事をはたから眺める余裕なんかすっかり無くなり、

裕二の名前が富士レストランから外されたのは、何か、新会社の経営陣に

意に添わない人物と映ってしまったんだろうか・・・。

他店の店長の補佐にでも回されるのか、又新しい店でも開店するのか・・・

いずれにしても、いい話ではないだろう。

そんな事を考えていたら、

「最後に本店ですが、」

社長は、ちらっと裕二を見て続けた。

「本店のマネージャーは、山崎マネージャー」

と新社長が声を発した時、

裕二は、この人事が、誰か他人事のように聞こえた。

他の先輩達を抑えて、一番新米のそして一番年若の・・・それだけではない。

一番売り上げの少ない・・・まだある、そして一番トラブルの多い、

その上、自分の彼女を自分の働く店に呼び寄せ?

食事を振る舞うような裕二が、本店の店長に任命されたのである。


裕二は直ぐ裏を探った。

裕二にしてみれば、この人事はそれ程、想像もできない大抜擢の人事である。

が、思い当たる事が無かった。

裕二は、咄嗟に手を上げた。

「どうぞ」

と社長は裕二に向って声を上げた。

「何で、私ですか?」と

裕二は不思議な事を聞いた。

社長は、微笑みながら、

「一番元気のある様子だし、我々総員の同意です」

「それと、語学力(英語を話す)も参考にしました」

と社長は、バランス良く、答えた。


裕二が四苦八苦して、ヘレンとの会話を頑張ったのも、何かのプラスにはなったらしい。

達磨が手を上げて質問している。

達磨は、自分はキッチンの仕事はできないと言っていた。

「新しく、調理長を任命します」

この社長の一言に、何も反論の理由も見当たらない、達磨も沈黙した。

その他、各店長達が色々な質問をする中、裕二は未だ、この話の裏を探っていた。

どう考えても、裕二は自分が本店の店長の器ではないと思った。

本店は、客席百二十。テーブル席の他、個室、座敷があり、ウエイトレスも三十人

キッチンも十五人程いて、総勢スタッフだけでも五十人にもなる。

二階に資材庫と事務所を有し、三階、四階はスタッフの寮となっており、

このビル全てが、レストラングループの総本殿となっている感じの所である。


さらに社長の話は続いた。

「今回から新しく、各店には、数字の提出をお願いします。

調理長とも協力しあい、毎月の数字を提出するようにしていただきます。」

数字=これは総売り上げ、それに伴うコスト、経費を書き出し、

粗利、純利を算出し、個々の店舗、の いわば、健康状態を視る物である。

毎月提出するようにしていただきます・・・と言う。


どんな会社も経理がいて、当然、この数字の把握はやっている。

裕二の会社でも今までは、事務所でやっていた。

裕二達は、売り上げ他すべての伝票、書類は週一で事務所に届けるだけで、

その総売り上げ、営業状態は、月に一回自動的に事務所から知らせて来ていた。

今から、この計算を各店でヤレと言う・・・・。

当然、反対?意見が出る。

「事務所があるのに、何で又我々がやらなければならないのか」

時間が無い。やり方が分からない。

計算が、間違っていたらどうするのか。

この新たな仕事のオーバータイム(時間外手当)はあるのか。

この数字、損益Oの設定は、誰が決めるのか。

設定された数字をクリアー(達成)したら、何かボーナスでも出るのか。

達成出来なかったら、・・・・。

意見百出である。

全員が、店長の移動どころの話では無くなっていた。

裕二はそんな事より、未だこの本店勤務の人事の事を考えていた。

(何で私を持って来たか・・・)

裕二はこのキャンキャンと、意見百出の“野犬の群れ達”の様子を側から眺めながら、

(そうか・・・解った)と

裕二はひとり、納得した。

人(人物)がいないのである。

(そうか、この野犬の群れの中から、誰を・・・と考えたら、

何とかなりそう(言う事を聞きそうな者とでも言うか)

裕二しかいなかった

そう言う事か・・・。

裕二はそう考え納得したら、急に気が楽になった。

裕二も未だ利益の算出を自分でやった事はない。

しかし、

本店の二階は事務所だし、分からなければ聞きに行けばいいと思えば、

この新たに加わった仕事も、裕二にしたら、たいした事ではないと思えた。


「数字は事務所でも勿論やりますが、せめて店長くらいは、自分の店がどんな状態か・・・

くらい、把握しておくべき事ですし、把握することで、何が無駄で、何をどう

改善すべきかが、見えてきます」


何と言ってもこれはやってもらう・・・とでも言うような社長の強い口調で、

このミーティングはお開きとなった。



   野犬の群れ  終わり














































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