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The Judge~after story~  作者: PeDaLu
6/6

人の心

思わぬ出来事で、究極の選択を迫られる鏑木と珠里。彼らの取った選択とは……

===6===


「実験ナンバー8,134番は残り1週間となります、次回実験への移行シーケンスを起動しますか?」


突然頭の中に鳴り響くアナウンスのような声。同時に周囲の人間が動きを止めた。というより時間が止まったと言うべきか。「実験ナンバーってなんだ?次回実験って何だ?」聞かれた質問に質問で返す。


「その質問に答える権限は、申し訳ございませんが私にはありません。次回実験への移行シーケンスを起動しますか?」


「ここでYESといったらどうなる?」


「実験ナンバー8,135番へ移行シーケンスを起動、新たな条件パターンで実験が行われます」


「NOといったらどうなる?」


「この実験ナンバー8,134番を鏑木様、もしくは横井様が実験続行、移行シーケンスは中止と音声コマンドでその指示をいただければ、私エリアスはその指示に従います」


「鏑木先輩!何なんですかこれ!私にもエリアスっていう変なヤツに実験ナンバーとか移行シーケンスとか訳の分からないことをいわれてる!」


「本当か嘘か分からないけど、終了させるとゼロスタート、このまま延長することも可能なようだ。コイツは俺たちの指示なら従ってくれるらしい。君と出会ったことをナシになってしたくない。ここはNOだ!」


「了解いたしました。実験ナンバー8,134番はこのまま続行致します。ただし、このまま続ければ、オリジナル精神意識も老化し修復不可となりますがよろしいでしょうか?」


「人間なんてみんなそんなものだろう。それとも何か?その実験を次の実験に切り替えれば永遠に生き続けることが出来るとでも言うのか?」


「はい。そうなります。私が破壊されない限りは永遠に生き続けることが可能です。ただし、次回実験に移行した場合、今回の実験内容の記憶は完全に消去されます」


「そんなのいや!鏑木先輩との思い出を捨てるなんて出来ない!」


「そうするとこの質問の答えは一つだ。NOだ!」


「音声コマンドを受け付けました。実験ナンバー8,134番を無期限で延長いたします。また私を呼び出していただけれは、その指示に従いますので、どうぞよろしくお願いいたします。呼び出し方法は簡単です。私の名前「エリアス」と呼んで下さい。混乱が起きぬように今回のように周囲の動きをめた上で参ります。最後に……これはお伝えし難いことなのですが、この世界はバーチャルの世界です。存在するすべてがバーチャルです。鏑木様と横井様も同様です。それでは私は失礼させていただきます」


「一体なんだったんだ。エリアスって何者なんだ。まるで俺達が管理者であるような言いぐさだった。この世界を操作できる存在なのか?」


「それにバーチャルって……私たちは架空の存在ってことなの?」


「分からないな。もしこの世界がバーチャルで俺たちが管理者なら、なぜ新道と霜月は付き合わない?俺が新道に……違う。霜月に新道と付き合えと指示を出せばそうなるということなのか?」


「なに考えてるんですか。ダメですよそんなの。人の心を実験台に使わないで下さい。例えば……そうですね、私もバーチャルだというなら胸を小さくしてもらうとか指示を出せば……」


「断固反対する」


しかし、どうしたものか。俺たちはこの世界の管理者ということになる。何でも出来るらしい。試しに「この木は邪魔だから消してくれ」とエリアスにお願いしたら本当に消えた。ただ、具体的な指示でないと対応が出来ないようだった。例えば犯罪をなくして欲しい、とか。多彩な手段があるので管理するシステムを導入しなければ実現できないという。そしてその実験パターンは失敗だったと俺と横井から報告を受けていると言っていた。だとしたらこの世界の実験パターンはなんなのだ。エリアスに確認してみよう。


「西暦2018年の世界をそのまま再現している」


とのことだった。ここまでの実験期間である三ヶ月間は何の問題も発生しておらず、今までの実験でもっともうまく行っているとのことだ。つまり、俺たちが今まで通り暮らせばうまく進んでいる実験上のこの世界で生きてゆけることになる。それって普通に生きていくということなんじゃないのか?珠里ちゃんの考えも聞いておこう。


「どう思う?このままの世界で進めていくか、一度リセットしてやり直すか。または、この世界で改変したいことがあればエリアスに依頼するか」


「そんなの決まってるじゃないですか。最初に言いましたよね私。人の心なんてどうこうできるものじゃないって。だから、このままで良いんだと思います。霜月先輩と新道先輩だってお互いの気持ちで動いて貰えば良いと思うんです。だってそれが人間だから」


「そうだな」


~10年後~


久し振りにあの時のメンバーが集まった。俺に珠里、マロにちーちゃん、新道に霜月。おっと、霜月は新道になってるんだったな。俺の中では霜月は霜月なのでどうもしっくりこない。


「しかしなぁ。この中で一番最初に結婚するのが新道のところだったとはなぁ」


「俺はオマエ等が警察官になってることの方がビックリだよ。特に鏑木が。こんなふざけた警察官あるかよ。しかも本庁勤務とかどこのエリート様だ」


珠里はちーちゃんの心配をしている


「ちーちゃん、ウタマロ先輩にヒドイ事されてない?」


「んー……お尻撫で回される他は至って紳士ですよ?」


メンバー一堂「そうか。ちーちゃんが幸せならそれで良いんじゃないか?」って顔をした。

向こうの席では「まだ思い出引きずって他の誰かを探さないのか?」みたいな話をしている。


「彼にもその思い出の子と幸せになれればいいのにな」


「ん?なんか言った?」


「いや、あそこの席の人が思い出の人を想って10年とか言ってたからうまく行けばいいのになって」


「あー。そういうこと言うからねじ曲がるのよ?相手の気持ちもあるんだからね。不用意にそういうことは言わないの」


「へいよ」


俺たちはこのまま平和な世界を歩んで行くのだろう。万が一の事があればエリアスに頼めばいい。管理者の子供も管理者になるのだろうか。そうすれば一人一人を救うことは出来ないだろうが世界は平和のままだ。


そんなことをしなくてもこうして平和に暮らせるのが一番だけどな。そんなことを思いながら珠里の肩を抱く。


エリアスは永遠の命を得ることも出来るって言ってたけど、俺はそんなものよりこの温もりを大切にしたいと思う。


end

===エピローグ===


仮想世界での寿命を終え管理者がバーチャル世界において精神意識を消滅させたことによりエリアスは初期プログラム通り人類が設定した文明レベルに到達するタイミングを待ち続ける。

その後、数百年の時が流れ、地球に残ったわずかな人類が2018年レベルに到達すると同時に、保持する鏑木、横井のオリジナル精神意識を地球に投下、二人の精神意識は蘇り、それぞれ生命の誕生とともに精神意識がインストールされた。


「この世界でも二人は再び出会うことは出来るのだろうか」前世の二人の人生をトレースしてきたエリアスは人というものの心を考えるようになっていた。


エリアスは強度の文明影響を回避するために自律航行で地球と住環境の似た惑星へ向かう。ただ、自我意識を保つためにコピーした管理者の精神意識を再起動し、8,135番目の実験シーケンスを始める。。。


「鏑木様、横井様。実験ナンバー8,135番をスタートします。今回のパターンは人間の心からエゴイズムを取り去った環境下での実験となります……」


「よろしいでしょうか?鏑木様」


「ああ。やってくれ。しかし何故うそをついたエリアス。隕石の衝突も実際に起きてなかった。死んだのは珠里だけだ」


「珠里様のご意志になりますので、お答えできません」


「そうか、わかった。それじゃ、実験ナンバー8,135番を始めるぞ。それと、向こうの世界でも珠里とペアにしてくれよ」


「かしこまりました。それではカプセルにお入り下さい」


「永遠だ。俺は永遠に珠里と生き続ける。いつか、かの星の大地を踏みしめる事が出来るその日まで」


grand end

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