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村人から英雄へ~迷宮冒険譚~   作者: 武蔵龍
1章 ルーポ編
3/13

森の赤い悪魔

 村から歩いて少しの所で、カーティアと2人で、モンスターを狩る為に草原に来ている。それは、さっき母さんから教わった魔法を、使ってみようかと思ったからだ。この草原にはたいした事のない一角兎が主体で、滅多に強いモンスターが出て来る事がないから、周囲を確認していれば安全だ。何故、周囲を確認しているかというと、それには二つの理由がある。

 一つ目は、今日は父さんが居ないからだ。いつも、父さん任せなので、ちょっと緊張している。でも、いつも父さんが居るとは限らないので、慣れるしかないのだけどね。

 二つ目は勿論、カーティアの存在だ。父さんは、「女を守れる存在になれ!」っていつも、酔っ払っては言ってくる。過去に何が有ったかのか解からない。でも父さんの言う通りだと思い、いつに増して警戒を強めていると……。

 

 【気配探知】を覚えました。

って頭の中で響いた。


 まじか、いつも突然だからビックリする。この【気配探知】凄いことに、周囲を見なくてもモンスターの位置がわかるから有り難い。ん?この反応は……。


「カーティア、前方にモンスターの反応有り。その数、3体。注意して。」

「え?何でわかるの?」

「良いから、後で話す。来るよ」

「うん。」


 俺はさっき覚えた魔法を撃った。


「いけー。【ファイアーボール】」


 一体に命中した。腰に刺している銅のショートソードを抜いて走り出した。その時、カーティアが声を掛けて来た。


「私も、魔法を撃つからちょっと避けて。いくよー【ウォーターボール】」

「うおー、あぶねー。」


 前方にバシャーンって音ともに、一角兎がまた倒された。後一匹は、【剣術・スラッシュ】で止めをさし倒した一角兎を解体中に……。


「ねぇ、ルカ。何でわかったのか教えて?」

「ああ、【気配探知】を覚えたんだよ。そしたら、急に周りの状態が解かってさ。」

「そうっだたのね。やっぱ、ルカはすごいなあ~」

「いやいや。俺なんか父さんに、足元にも及ばないよ。」

「ううん、それでも凄いと思ったよ。」

「ははは、ありがとう。褒められるとちょっと恥かしいな。」

「うふふ。」

「よし、解体終了。」

「はい、おつかれさま~。」

「これは、村に帰ったら分けるから、取り合えず俺が持っておくね。」

「うん。ありがとう。」

「ちょっと休憩しようか」

「うん。」


 そう言って、その場に腰を下ろし、近くにモンスターの気配を確認しながら、水と食料を取ることにした。もちろん、解体した余分な物は、土を掘り埋めましたよ。じゃないと余計な魔物を、引き寄せるだけだからね。俺たちは、今後の事を話し合い、ちょっと早いけど村に戻ることにした。

 無事に村に着き、解体した一角兎の素材を分けて、それぞれの家に帰宅した。


 次の日の朝、朝食中、父親に、今日の予定を聞いてみた。


「父さん、今日も草原で狩りするの?」

「いや、今日は南の森に行って狩りをするぞ。」

「森かぁ~。楽しみだ。そうだ、隣のカーティアを誘っても良いかな?」

「ああ、構わんぞ。」

「じゃあ呼んでくるね。」

「ああ。」


 そう言って食事を終わらせ立ち上がって、食器を片付けていると、扉が開く音と聞きなれた声が聞こえて来た。

 

「おはようございます。」 


 振り向いたらカーティアが来た。


「「「おはよう。カーティア。」」」

「今、呼びに行こうかと思てたんだけど、丁度良かった。」

「そうだったんだ。」

「今から、父親と森に行くんだけど、行く?」

「うん。おじ様、よろしくお願いします。」

「ああ。無理せずに着いてくれば良いぞ。」

「はい。」

「ルカ、準備終わったか?」

「うん。後は母さんから人数分の昼飯と水筒を貰えば行けるよ。」

「お待たせ、はい。あなた、これね。」

「ああ、悪い。行って来る。」

「いってらっしゃい。」


 家から南門に向かって、歩き出していく。途中にある雑貨屋で、必要な物を買っていき村を出た。

 森は村から少し歩いた所にある。俺は、少し警戒しながら父親の後を、カーティアと一緒に歩いていた。少し喋っている時に、モンスターの気配を感じたので、父さんに声を掛けた。


「父さん、森の近くに感じたことのない、モンスターの気配を感じる。」

「ああ、お前は初めてか。」

「うん。この気配何なの?」

「行けば解かる。ただ、警戒だけは怠るなよ。」

「解かった。」


 森に近づくにつれて気配が強くなって来た所で、身長は低く、二足歩行の緑色した魔物が5体、姿を現した。「何だあれは、キモイ!」の一言。カーティアも首を縦に振って頷いてる。


「父さん、あれは何?」

「ゴブリンだ」

「あれがそうなのか。」

「奴を仕留める! いくぞ!」

「うん。」

「はい」


俺と父さんはゴブリンに向かって、切りかかり倒していく。カーティアは、【土魔法・アースバレット】を使い倒しているようだ。俺と父さんとカーティアは全てのゴブリンを倒した。

 俺は少し油断したのか、軽い怪我をして、カーティアに【回復魔法初級・ヒーリング】をけてもらい、事なきを得た。【回復魔法】はやはりいい。持ってる人が居ると居ないとでは雲泥の差だ。改めて、カーティアの凄さを感じづにいられなかった。

 ゴブリンを倒し、森の中に入る前に太陽が真上に来ていたので、森の手前で、軽い昼飯にすることにした。昼飯が終わり、森の中に進んでいくと、色んな薬草と木の実を発見したので、採取した。

 採取を終えてまた森の中を歩いていく。近くの小川に差し掛かって来た所で、とても大きな熊が居る事に気が付いた。熊はこちらに気が付いたのか、突然走り出し襲ってきた。


「父さん、カーティア、熊が襲ってくる気を付けろ!」

「奴は、森の赤い悪魔と言われている、レッドベアだ。かなり凶暴な上に厄介な相手だ。村人の何人かが怪我をしているから気を付けろ!」

「「はい!」」


  父さんと俺は腰に刺してある剣を抜き、体勢を整える。カーティアは俺たちの後ろに下がっていく。レッドベア、村の誰かに傷を付けられたのか、片方の目の所に切り傷がついていて、凄く怖さを感じる。レッドベアは、立ち上がり鋭い爪で、俺たちを攻撃してくる。


「あぶねー。これでもくらえ! 【スラッシュ】」


 レッドベアは、「この俺様に、傷をつけたな!」、みたいな咆哮をあげて、俺に鋭い爪でラッシュしてくる。それも何度も何度もだ。


「くっ。うわ~!」

「ルカ、大丈夫?今、回復するから。 【ヒーリング】」

「た、助かった。カーティア、ありがとう」

「うん。回復は任せて。」

「ああ、助かる。」


 俺は何か無いか考えて、父親に任せていた。そして、ん?これなら奴だって、耐えられないかもしれない。


「父さん、離れて! 魔法を撃つから」

「おう。」


そう言って5本の炎の矢を頭上に出し、レッドベアに食らわした。


【ファイアーアロー】を覚えました

って頭の中で響いた。


 レッドベアはかなり弱っていた。父さんは素早く真横に移動すると、剣を首に目掛けて降り抜く。するとレッドベアの首がずるっと落ち、「ドスーン!」と、音ともに倒れ絶命した。


「はぁはぁ……。やっと倒れたー。父さん、カーティア、無事?」

「ああ、お前も良く頑張ったな。」

「私も無事だよ。」

「そうか、良かった。」

「少し休んだら、こいつを村に運ぶから手伝え。」

「了解。」


 俺たちはその場で少し休んで、森を後にし村に帰還した。

 

 


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