スキル
読んで、頂いた方感動して泣きそうになりました。
まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。
村を出て、父親と二人で草原にやって来た。周りにはモンスターも居ない、比較的村に近い場所だ。なぜ来たかというと、今朝、父親と訓練中に、スキルを教えてくれるという。楽しみなのだが、何をやるのかわからない。
「よし、ここなら良いだろ。」
「ここで何をすれば良いの?」
「先ずは基本的なスキル【身体強化】と【魔力コントロール】を身に付ける事から始めるぞ」
「はい。何すれば良いの?」
「先ずは目を閉じて、身体の中にある魔力を、感じるように集中してみろ」
え~と、目を閉じて身体中にある魔力と……ん?これかな。おへその辺りから身体中の隅々まで通すように張り巡らす。
【魔力コントロール】を覚えました。
って頭の中に声が聞こえて来た。
「え?頭の中で【魔力コントロール】を覚えましたって言ってきたけど……。」
「おお、中々早いな。その魔力を体内でコントロールすると、【身体強化】を覚えるぞ。やってみろ」
「うん。」
父親に言われた通りに、さっき覚えた【魔力コントロール】を使って体内を、コントロールするイメージでやってみた。
【身体強化】を覚えました。
まただ、頭の中で声がある聞こえて来た。
「父さん、覚えたよ」
「うむ、そのまま【身体強化】を維持したままでいろ」
「うん。」
体感でどの位維持してたか解らないけど、切れてしまった。
「はぁはぁ……。切れてだるいよ。」
「まぁ、そんなものだな。後は、今までやって来た訓練にそいつを組み込み、精進しろ。」
「……はい。」
「少し休んだら、狩りに行くぞ。取り合えずこれでも飲んどけ」
父親から渡された水筒を、少しずつ飲んで軽く食事をとって、その場で休憩した。休憩後、その場を後にして草原に向けて歩き進めて、今日の獲物を探していく。一角兎を見つけては戦い、それを繰り返しているその時……。
【剣術・スラッシュ】を覚えました。
って頭の中で響いた。
「父さん、【剣術・スラッシュ】を覚えたみたいだけど、見ていて解かった?」
「おう、さっきのあの切り方忘れるなよ。しかし、【スラッシュ】まで覚えるとはな。」
「うん。自分でも驚き。あの感覚を忘れないために、もう少し狩りをしたいんだけど、良いかな?」
「かまわんぞ。」
「よっしゃー!」
草原を歩いて一角兎を倒していった結果、一角兎を25匹も倒していたので、家に帰還した。
村に着き家に帰る途中、不意に誰かが声を掛けてきた。
「ルカ、今帰り?」
「うん。」
突然に声を掛けてきたのは、隣に住んでいる幼馴染のカーティア・バローニだ。年は俺と一緒の10才で村に唯一ある教会で彼女は、修道女の手伝いをしている。主に小さい子供達の面倒だ。
「カーティアも帰りか?」
「うん。それで、今日はどうだったの?あ、おじ様こんばんは。」
「おう、こんばんは。」
「今日は大量だった。一角兎だけど25匹討伐したよ。」
「わわわ、すごーい。」
「だろー。後で肉持っていくから楽しみにしてて。」
「うん。解かった」
他愛のない会話を三人で楽しみながら家に着くのだった。
家に着いて一角兎を解体して、素材ををいつもの雑貨屋に売り、肉を幼馴染の家に持って行って、家に帰って体を拭いて、ベットに横たわったら次の日の朝だった。
朝の日課、剣の素振りと筋トレ、昨日教わった【魔力コントロール】をしてる最中に母さんが……。
「【魔力コントロール】を出来る様になったのね。」
「うん。昨日、父さんに教わったんだ。それで今、やってたんだけど、母さんどうしたの?」
「これなら、大丈夫そうね。」
「え?何が?」
「今、流れてる魔力を体外にコントロールすると、魔法を覚えらるのよ」
「そうなんだ~。」
「うん。それでね、魔法を撃つのに必要なんだけど、自分にあった属性があってね、全部の属性が出来る訳でもないの。母さんは、【火、水、光】が得意で冒険者の頃、良く使ってたわね。」
「そうなんだ。でも、【属性魔法】なんて、どうやったら解かるの?」
「それはね、属性が解かる魔道具があるのよ。今から、持ってくるからちょっと待ってなさい。」
「はーい」
そう言って、その場を離れていった母さんが、道具を持って、戻って来た。母さんが準備を終えるのを待っていると、聞きなれた声が聞こえて来た。
「おはようございます。」
「あら~、カーティアちゃん、おはよう。」
「おっす」
「二人して何してるんですか~?」
「これからね、ルカの魔法属性を調べるのよ♪」
「へぇ~。遂にルカも魔法を覚えるのね」
「ああ、カーティアは覚えてるんだっけ?」
「うん。一応ね。【水、土、風】と【回復】ね。」
「さすが、カーティアだな。」
「そ、そんなことないよ。」
顔を赤らめながら答えてて、ちょっとドッキっとしたのは内緒だ。準備が終わったのか、母さんが声を掛けて来た。
「ルカ、終わったからこっちに来なさい。」
「うん。今いくよ。」
母さんの所に行くと、台の上に布が引いてあった。布を見てみるとそこには、六芒星が書かれていた。六芒星の上に、小さい色のついた石が置いてあって、石は上から右回りで、【黄 青 赤 緑 白 黒】の綺麗な石が、並べてあった。
「母さん、この綺麗な石は何?」
「これはね、魔石よ。」
「へぇ~これがそうなのか。」
「さぁ~試して貰うから、布の上に手を浮かせた状態で、魔力を流してみなさい。」
「はーい」
母さんに言われた様に、布の上に手をかざして、魔力を流してみた。そしたら【赤と白】が輝きだした。
「ルカの【属性】は【火と光】ね」
「おお~そうなんだ」
「そうよ。【属性】ごとに色分けが有って、上から右回りに、【土 水 火 風 光 闇】ってなってるのよ。」
「なるほど。そういう事なんだね。」
「うんうん。だからルカは、【火と光】の魔法が使えるってわけ。」
そんな説明を母さんから聞いた。
「それで、魔法を覚えるにはどうしたら良いの?」
「さっきも言ったけど、【魔力コントロール】を体外にコントロールして、出したいと思う物をイメージしてなさい。ルカの場合は【火と光】ね。やってみなさい」
「うん。」
母さんが言ってた通りに、【魔力コントロール】を体外にコントロールして、火のイメージをしてみた。すると、手から火の玉が出ていって壁にぶち当たって消えた。
【火魔法・ファイアーボール】を覚えました。
って頭の中で響いた。
「母さん、【ファイアーボール】を覚えたよ」
「うん。良かったわ~。」
「ルカ、おめでとう♪」
「二人とも、ありがとう」
「ルカ、【火と光】を使えば魔力を向上させられるから、頑張りなさいね。」
「うん。解かったよ母さん。」
遂に俺は魔法を、覚えることが出来た。こんな嬉しいことはない。今までやって来たけど「何で出来ないんだ」と、悩んだ事があるけど、順序があったのか。これで俺も、魔法が撃てるし、母さんの言う通り、精進していこうと思う。
「なぁ、カーティア。これから草原に行くけど、一緒に行くか?」
「え?良いの?」
「ああ。もちろん。」
「やった。準備するから、ちょっと待ってね♪」
「オッケー。待ち合わせは、近くの雑貨屋にしよう。」
「うん。準備したら行くから。また。後でね」
そう言うとカーティアは出ていった。さてと、俺も準備しますかね。いつも持ち歩いてる、銅のショートソードを腰に刺して、リュックを背負い雑貨屋に向かった。雑貨屋に行くと、もう既にカーティアがいて、雑貨屋で買い物していたので声を掛けた。
「カーティア、お待たせ。」
「あ、ルカ、ちょっと待っててね。」
「オッケー。」
「お待たせ」
「それじゃあ、行こうか。」
「うん。」
俺たちは草原に向けて歩き出した。俺は魔法をモンスターに撃ちたくて、ウズウズしていたのは言うまでもなく、今日は二人きりという事を、すっかり忘れていたのだった。