狐の尻尾
倒された敵の女悪魔は奪われたマサキの尻尾一本をもっていた。
ペチペチと誰かがユリウスの顔を叩く。
「う~ん」
ユリウスは目を開いた。
「あれ?何してたんだっけ?」
「よかった目を覚ましたね」
目の前にゼピュロスが居てユリウスの顔をのぞき込んでいた。
「いったい何が?」
「君は悪魔に襲われてソウルを吸収されて死にかけてたんだ」
「え?じゃあ、何でボクは生きてるんですか」
「運がいいとこに、たまたま女神様が通りかかってね、そこのサキュバスのソウルを吸い取って、君に注入したんだ」
ユリウスが横を見ると、そこには体はクマのヌイグルミ、頭から上は頭に二つのシニオンをつけた幼女が立っていた。
「おっす!オラ女神!」
幼女がユリウスに向かって手をふった」
ユリウスはハッと気づく。
「でも、それって、ボクの心に悪魔の魂が混じってしまったってことじゃないですか!」
「でも、君の魂にエネルギーを注入しなければ君はすでに死んでた。女神様も聖なる矢でできるかぎりサキュバスの魂を浄化してから注入したそうだからね」
「それで、すべての邪悪は取り除けたんですか?」
「そんな器用なことできるかボケ!」
体がクマのヌイグルミの幼女が叫んだ。
「お前のソウルはかなり浸食されていたから、サキュバスの女の魂を入れたところでお前の魂の深い部分とメルト(融合)しちまってる。どうしても、邪悪を排除したいなら、お前の魂の浸食された部分も切り取って捨てなきゃだめだ」
「え?それってどこの部分ですか?」
「お前のじいちゃんに対する誇りとこだわりと、楽しい思い出だな。あと名門の家に対するプライドとかな」
「そんな!何をやっても中途半端なボクがそれでもがんばれるのは、名門のプライドがあるらじゃないですか!」
「じゃあ、一生、邪悪な部分も持ちながら生きていくんだな。なあに、邪悪と共存すればいいだけさ」
こともなげに幼女は言った。
「ふ……ふんがああ……」
倒れていたカルビンが目を覚ました。
「あ!カルビン!」
ユリウスはカルビンに駆け寄って抱き起こした。
「ふんがあ♪」
カルビンは顔を赤らめてユリウスに抱きつく。
カルビンの柔らかい胸がユリウスの腕あたる。
「うあああああああ!」
ユリウスは顔を真っ赤にして飛び退く。
ドキドキと心臓の鼓動が高鳴り、胸の奥からなにやらムラムラとしたものがこみ上げてくる。
「ツーッ、くそお」
マサキが起き上がる。
「マサキ、大丈夫か!」
ユリウスがマサキに駆け寄る。
マサキと目が合う。マサキはカッと顔を赤らめる。
「な、何だよ!」
「え?何って?」
「何私の胸を凝視してんだよ!」
「あ!ごめん!」
ユリウスは顔を背けた。そんなつもりはなかった。
しかし、無意識にマサキの豊満な胸を凝視していたのだ。
「おい、ユリウス、こいつ、こいつ」
幼女が血だらけのサキュバスの尻をゲシゲシ蹴る。
「何やってんだよ」
「これこれ」
そう言うとクマ幼女はサキュバスのパンツをずらす。
「何やってんだよ!」
ユリウスは顔をそらす。
「これだって言ってんだろ!」
クマ幼女が少し怒って声をあらげた。
ユリウスがゆっくりと振り返ると、死んだサキュバスの尻の根元から狐のフサフサの尻尾が生えていた。
「あ!これ私の尻尾!」
マサキが叫んだ。
「そうでよ。これお前の尻尾だお!」
クマ幼女が言った。
「この!私の尻尾を!」
マサキは死んだサキュバスに走り寄り、尾っぽを抜こうとしたが、どうしても抜けない。
「カルビン、この尻尾を抜いてくれ!」
ユリウスがカルビンに頼む。
「ふんがあ!」
カルビンが力任せに尻尾を引き抜くとビチッと音がして鮮血とともに尻尾が抜けた。
そこにはサーモンピンクの肉の芯棒がついていて、まだドクドクと脈打って生きていた。
「お、おい、ユリウス、悪いけどこれ、私のお尻の尻尾が抜けた痕に差し込んでくれないか」
「やだよ、自分でやれよ」
「尻尾ってすごくデリケートで、こそばゆくて自分で入れられないんだよ!」
マサキが顔を真っ赤にして叫んだ。
「しかたないなあ」
ユリウスはカルビンから尻尾を受け取る。マサキは少しだけパンツをずらして、お尻の付け根を露出させる。
そこには六個の穴が開いていた。フロラに引き抜かれた穴だ。
「いくよ」
「お、おう」
マサキはユリウスの肩口を掴む。
ユリウスはゆっくりと元尻尾があった穴に尻尾の芯棒を入れる。
「くうっ、デリケートだから、もっと優しく、あはっ、あうっ、だめ、だめ、だめ、ああああ、あああああー、ああああああー」
マサキは顔を紅潮させてユリウスに抱きつく。
マサキの大きな胸がユリウスの胸にこすりつけられる。
あせったユリウスは一気に尻尾を穴に突っ込んだ。
「はうううううううーっ!」
マサキが大声を上げてユリウスにしがみつく。
「ふんがあー!」
カルビンが激怒して駆け寄り、ユリウスからマサキを引きはがす。
「ふんがあ!ふんがあ!」
カルビンは目にいっぱい涙をうかべてユリウスに何かを訴えていた。
「だめだよ、カルビン、そんな事をしちゃ!」
「ふんがあ!ふんがあ!」
カルビンは目からボロポロと涙を流す。
「ごめん!お前もボクを心配してくれていたんだね」
そう言ってユリウスはカルビンを抱きしめた。
「ふ……ふんがあ」
カルビンは顔を真っ赤にしてその場に直立不動になった。
ユリウスはマサキを抱き起こす。
「ごめん、大丈夫だった?」
ユリウスはマサキが転けて体についた土ホコリを払ってあげた。
「う、うん、ありがとう……」
マサキは少し鼻の頭を赤らめて顔をそむけた。
「ふんがあああ!」
またカルビンがピョンピョン飛び跳ねて怒った。
「あ……クマちゃん」
サエが正気に戻る。
「おっす!オラクマたん!オラ、なんだかわくわくしてきたど!」
そう言いながらクマ幼女はサエに走り寄ってとびついた。
「よかった、クマちゃん!無事でよかった」
サエは目からボロボロと涙を流しながらクマ幼女を抱きしめた。
クマたん復活!