異世界を初めて覗いてみました
うにゅ、うけなさそうですにゃ;-;
目を覚ますとそこは、何もない草原、というお約束を引き当てる事もなく、何故か落下しつつ見えている先には、戦っている騎士と魔物の姿が見える。私は自分自身の格好とステータスを急ぎ確認する。
ミオリ・アマノ
種族) 人族 女
職業) クレリック
Lv 178
HP 25800/25800
MP 58000/58000
スキル
回復魔法(最上級)
補助魔法(最上級)
特殊魔法(最上級)
言語自動翻訳(最上級)
称号
神々に見守られし者
世界の理に入らぬ者
ステイタスには思う処があるのですが、私の中では最上位の癒し手の職業で飛ばされたのは不幸中の幸いと、覚悟を決めると、落下先を見てみる、先程のステータス確認前から余り落ちていないので、あれ、重力は? などと考えていると、背中より羽ばたきながら風を切る音が聞こえてきた。なのでそっと背後を見ると、六枚の翼がはためいていて、これ、この世界だと本物の翼なのですね、などと感心していると、下よりざわめきを感じて、もう一度下を見てみる。すると戦闘をしつつ、魔物も騎士もこちらを警戒しているのが見て取れたので、すぐに、羽を使い地に降りつつ、
「サンクチュアリ、それと補助魔法七連掛けです」
聖なる結界で味方を守る最上級特殊魔法と、攻撃速度、攻撃力、防御力、命中力、移動速度、知力、持久力を最前列で戦う盾役の騎士に掛けてあげるのだった。本来なら最上級職といえど個別に掛ける必要のある補助魔法が、この壊れ性能の熾天使の翼が同時詠唱を可能にしていた。この翼の最たる力が習得した補助魔法を全種類一度に一つの魔法として唱えられる、という癒し手には喉から手が出るほど欲しい能力だったのです。まぁ魔力はその分もちゃんと消費するのですが、それでもいままでも個別にかけ続けていたので、消費量が変わるわけでもなく、時間短縮でき、いい事ずくめの性能なのでした。で、魔法をかけ終えると、騎士たちに向け、
「お手伝いをさせて頂きますので、皆さん頑張るのですよ」
唖然としている騎士たちに向けそう話しかけると、先頭に居た騎士が、
「天使様が降臨なされて、手助けして下さるのだ。負けはない。モラッド、ファロス、行くぞ」
他の騎士たちに声を掛けると、その騎士達も、
「判ったケイオン、もうひと頑張り馬車を守るぞ」
膝をついていた状態から立ち上がり何とか構えを取ろうとしている。そこへ待つ事なく醜い豚の化け物が襲い掛かって来る。ケイオンという騎士が庇いに走ろうとしたが間に合わず、振り下ろされる武器がモラッドと呼ばれた騎士の頭に向けて振り下ろされたのだが、当たる事なく、ガツンという音と共に目の前で止まっていた。
「彼の者に癒しの光を」
騎士に向け回復魔法を掛けてあげると、目を見開き、
「な、なんとすばらしい。防御魔法も回復魔法も流石は人ならざる天使様です」
こちらに向けそう呟いていたが、私の目には攻撃されそうになった味方の騎士を身を挺して庇おうとしたその光景しか見えておらず、いい、いいですね、これは二人はとてもお似合いの掛け算相手です。最高ですね。二人を見つつそんな事を考えていると、最後の騎士が、
「無事か、二人とも」
駆け寄りつつ、そう声を掛けてきた。なので、三角までくるのですか? う、鼻血がでそうです、などと考えていると、
「グギャー」
雄たけびを上げつつ、全ての敵が総力戦とばかりに押し寄せてきた。そんな様子に、
「うるさいのです、私の活動の邪魔はしないで欲しいのです、ホーリーレイン」
癒し系の職業でも使える光の矢を雨の如く降らせる、最上級魔法を放ち、魔物達を殲滅すると、落ち着いて騎士たちを見つめ、
「騎士の皆様、大丈夫ですか?」
妄想パワー全開の瞳で確認する、息も絶え絶えの様子ですが、逸れもまたよし、などと考えていると、今度は騎士の方から、
「天使様、我らの為にご助成かたじけない。お陰様で主人を守る事も出来ました」
私に向かいそう言ってくるので、ご主人様キター、などと心で叫んでいると、馬車より、凄い美少年が降りて来る。な、何者? キャラ濃すぎでは、などと心の中で新たなる叫びをあげると、騎士たちが、
「王子、まだ安全確認が済んでおりません、馬車にお戻りを」
慌てたようにそう告げると、
「馬車の中より、皆の戦いを見ていたのだが、天使様が降臨されたのを見たのです。もう安心でしょう」
さわやかな笑顔で騎士たちにそう告げる。その様子にご主人様どころか王子様とは、GJです。そう考えて、皆を見つつ、あ~誰と誰を掛けても似合いそうなのが素晴らしいです、と、恍惚の表情を浮かべていると、
「慈愛に満ちたその笑顔、さぞかし位の高い天使様とお見受けしますが、地上へは何用で」
王子が騎士たちを労わりつつもこちらに向けそう聞いてくるので、
「私の信じる教え<”ふ”>の道を見つめ続ける為にこの地にきました」
堂々とそう言い放つと、
「その様な立派な宗派があったのですか? 良ければ是非お名前を」
私にそう問いかけてきたので、ゲーム時代のクレリックの信仰していた神の、
「私が仕えるのはマリーツァレ様で、私はミオリなのです」
王子にそう答えると、この世界に来たばかりで、迂闊なことは言えないと気が付いて、慌てて、
「時間なので行かせてもらうのです、貴方たちに加護のあらんことを、なのです~」
全員に聞こえるようそう言い放つと、先程かけた補助魔法を自分へと掛けて、羽をはばたかせ、急ぎ騎士たちの視界の外へと離れていったのでした。
暇が出来たらカキコするですにゃ;-;読んで貰えないかもなのですがにゃ;-;