買い物。
週末。
土日。
休日。
寝れるー♪
ぶー。
あれ、携帯が鳴ってる。
『駅で待ち合わせね』
ああ……光と買い物に行くんだっけ。
寝れなかった。
◇◆◇◆◇
「というわけで血をください」
「朝っぱらかなんだよ」
買い物に行く前に、一馬成分を補給に来ました。
「これから、光と買い物に行くんだけど……」
「そうなのか」
「うん。それで、心が男の僕に女子とお買いものってのはハードすぎると思うんだよね。だから、今日を乗り切るために血をください」
「まあいいけど……」
カプッ。
チューー。
やっぱり美味しい……。
◇◆◇◆◇
「遅い」
「メールに時間までは書いてなかったよ?」
「う……それもそうね。今回は不問にするわ」
さて……憂鬱なお買いものの始まりです。
「まずは服だっけ」
「ええ。ルナって服地味だから、バッチリコーデしてあげるわよ」
嫌だ……しなくてもいいよ……。
「取り敢えず、オススメの服飾店を
五つ
くらいピックアップしておいたから」
……え?
数がおかしくナイカナ?
「何言ってるの。店ごとに取り揃えてある服の雰囲気とか違うんだから、幾つか回らなきゃ分からないわよ。さ、行くよ」
いーやーだーっ!
一馬助けてあばばばばっ
◇◆◇◆◇
つ、疲れた……。
これは、一馬に血をもらわないと餓死するよ。
……え、買い物パート飛ばすな?
勘弁してよ、思い出したくもない……男なのに女性用の下着買わされたんだよ?
どんな拷問だって話だよね。
ああ、もちろん買ったのは下着類だけじゃない。普通に私服も買った。何故かズボン系統が一つもないんだけど。
光の趣味かな?
ちなみに今は買った服の一つである白のワンピースを着ている。銀髪だから似合うんじゃないかって言われて買ったんだ。
夕方に一馬に自慢しに行こう。
「お疲れ、ルナ。ちょっと遅くなっちゃったけだどお昼にしよっか」
「……うん……」
吸血鬼の僕に、日が中天に昇るこの時間は一番辛い。そこに買い物の疲れも加わって……グロッキー寸前だよ……。
「ごめんごめん。お詫びになんか甘いもの奢るから」
「許す」
「早っ」
煩いよ。
スイーツ♪ スイーツ♪
甘いものに勝てるのなんて、一馬の血くらいなものだよ。
光一押しのカフェに入って休憩。
「光の奢りなんだよね?」
「ぅ……お手柔らかにね」
「店員さーん! 注文お願いしますっ」
やってきた店員さんに一言。
「えっとねー。メニューの〜、ここから、ここまで!」
「えっ……」
僕が指差したのは、プレミアムパフェっていう、お一つ1800円〜というお高いところ。やっぱり全種類制覇は基本だよね!
「ちょっ、ルナ!? プレミアムパフェ頼むのはいいから、一つにしてっ。この通りっ」
「やだ〜」
いいじゃん別に!
精々、全部で2万円ちょいだよ?
「お願いだからぁ……」
あ……光が泣きそう。
「ご、ごめん。そんなつもりじゃないから! 一つでいいから! ……あ、店員さん。このプレミアムストロベリーパフェっての一つください」
「この流れで一番高いの頼むの!?」
ちなみに僕が頼んだのは一つ2200円。
なんでも、採れたてのイチゴを贅沢に使った一品で、季節ごとにフルーツが変わるんだとか。今は春だからストロベリーというわけだ。
しかもこのイチゴ、専属契約した農家から直接卸しているらしい。
高いわけだね。
「へー。そんなこと言っていいの?」
「え……」
「確かに、今日僕が買ったのって僕の服だよ? でもさ、買うものを選んだのは光で、僕の意見なんて聞いてくれなかったよね。当然、お金払ったのも僕だよ。たくさん買ったから全部で3万円くらいだったっけ。あれだけの服を買ったにしては安く収まったと思うよ。そこは光のお陰だよ。でもさ? 光は僕に、3万円もの出費を強要しておいて、たった2200円のパフェも奢れないのかな?」
誰かを脅すとき用の口調。一馬をして、『そのモードのお前ちょー怖い』と言わしめた、無表情で淡々とした理屈攻めだよ。
これで落ちないなんて人間じゃない。
「……ご、ごめん……。なんでも頼んで……」
「わーい♪」
では遠慮なくー。
あっ、店員さん引かないでー!