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うちの子のお話01


 晶哉、英霊、蓮


 が登場します




 なぜこんなことになっている。

 いや、悪くはないことだ。子供がのびのびと外で遊ぶ。いいだろう。子供が自分で食事を作って計画を立てる。喜ばしいことだ。

 なぜ、その引率がおれなんだ。


 子供その一。落葉蓮。十六歳。食事を作ってくるほうの子供。

 子供その二。西野英霊。六歳。外で遊ぶのが仕事の子供。


 この二人の引率改め、おもりならキセトが適任だと思う。おれだけの意見じゃないだろうに。

 そのキセトが仕事でどうしてもいけないことになった。それは仕方が無い。だが、次に名前があがるのがおれということはどういうことだ。なぜおれだ。


 「しょーやさん。おなかへった」


 「あー、シートひけー。飯は?」


 「ちゃーんと準備してありますよ!」


 あぁ、もう。子供その一が自信満々に開いた弁当箱の中身は、……たぶん食べ物。卵とか原型が伺える気もする。

 頼まれた。それはもう、キセトから強烈に。外に出ると害になる菌が多いから手洗いうがいをさせるように、遊びに夢中にさせて怪我をさせないように。小学校の先生がよくいうような台詞を嫌というほど聞かされた。

 あぁもう。キセトから頼まれてなかったら帰るっていうのにな。


 「コンビニ行くわー」


 三人分のご飯をコンビニで調達するとなると、それなりに金がかかる。これは絶対にキセトに請求しなければ。おれの財布が泣くわ。

 おにぎりの安売り。いや安くてでかい弁当買って三人で分けたほうがいいのか。二つ買うか。飲み物?どういう飲み物が健康にいいんだ?ここは野菜ジュースなのか?


 「………」


 明らかに一人分ではない食べ物を勝って。子供二人が待つシートに直行。

 なんだこれ。おれはなんでこうなってるんだ。何回同じことを疑問に思えばいいんだ。


 「美味しいのに…」


 「食うな。それうまいとかどんな飯食ってるんだって話になるだろ!コンビニ弁当でも食え」


 「見た目だけですよ、悪いの」


 「食べる気が起こらないものは駄目だ」


 あぁ。頼むから健康体のまま帰ってくれ。健康体なら何だっていいから。


 「しょーやさん。ぱぱにおはなつみたい!」


 「そんなんあと。まず食え」


 「やーだぁ!おはなー!」


 ほんと、子供の相手をしなきゃいけない理由が欲しい。なんでキセトはこんな日に仕事を入れたんだろうなぁ。まさか、わざとじゃないのか、あいつ。

 とりあえず食わせないと、ギルドに帰ってからおなか減ったなんてキセトの前で言われたらどんなことになるやら。


 「えーれー。膝の上こい。座って、口開けてろ」


 「うー!」


 「ちゃんと食べたら花だろうがなんだろうが手伝ってやるから」


 「ほんと!?」


 「あぁ本当本当。だから食え」


 「うん!」


 こういうすぐ言い丸められるところとかは子供相手でもいいんだけどなぁ。

 おれが言ったとおり、口を開けて待ってる英霊に食べやすいものを食わせてやって、おれはおれで買った弁当の余っていくおかず(明らかに避けられて残っている)を食べていく。好き嫌いは基本ないし、誰かが好き嫌いで残したおかずをこうやって処理するのも昔からよくあったことだ。


 「食べた!食べた!」


 「はいはい。おい、人見知り。おれはこいつ連れてその当たりまわってくるから、ついてくるか、ここに残ってるかどっちかだ」


 「残ってます。もうちょっと食べたいですし」


 「勝手に動くなよ。トイレ行くときは貴重品持って動け。特に金な」


 「わかりました」


 あぁ、今こっちと話してるんだから手を引っ張るな子供その二。そんな急いで行っても花は逃げないだろ。むしろ咲いてない花が増えるだけだって。あ、遅すぎても枯れてる花が増えるだけか。


 「きれい!きれい!」


 「あーはいはい。綺麗な花を茎長めで取って来い。茎ってのは、ここ。地面から花までの間の草な」


 「パパの?パパの!?」


 「そうそう。取れたら持って来い」


 「うん!」


 ん?花冠でも作ってやろうと思ったけど、キセトが任務から帰ってくるの明日じゃないっけ。花枯れるか。まぁ作り方を教えてやったほうがあとでも作れるしいいか。


 「もってきたー!」


 「あー、花冠っての作ってやるから見とけ」


 「うーん」


 「こーやってー」


 「うん?」


 あ、わかってないな。まぁ実際にやらせればいいか。


 「わかんないよー」


 「だーから、ここはこの隙間に…」


 いつの間にかまたおれの膝の上を陣取ってるし。子供その二の背中越しで花冠を作るが、英霊の手を借りているせいで上手くいかない。でも本人は楽しそうなのでいいか。


 ギルドに帰ったら、英霊が枯れていく花冠を握り締めているのを見て、流石に悪い子としたなぁと思った。

 あぁ、キセト。一瞬でも早く帰ってきてくれ。流石に申し訳ない。




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