表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スピリッツ!! ~おちこぼれ勇者の大冒険~  作者: ルナ
男の正体を知る勇者たち
21/30

決意する勇者たち

 ルーク=ウレイアは、ビショップ=ルクウィッド、

カストルとは離れた位置にある巨石に腰かけていた。

 いろいろなことを知って頭がパンクしそうだった。

カストルもビショップもショックが大きいらしく、

口を利かずに座り込んでいる。

 アンジェもまた黙り込んで離れたところにいた。

とても帰るような気分ではなかったのだろう。

 と、キッとルークが顔を上げた。

決意に満ちた目がその場を見渡す。

「俺、エレナを助けたい。お前らはどうなんだ?

 びくっ、とビショップたちは身をすくませた。

迷うように目が泳ぐ。

「嫌なら帰ればいいよ。俺だけはエレナを助ける」

「ルーク……。決意したのですね」

 アンジェが感動したようにルークを見つめる。

その目をしっかり見つめて彼は頷いた。

「何言ってるの、僕も行くよ!!

 エレナお姉ちゃんは、僕の姉なんだよ!?」

「あたしも行く!! エレナも、お姉ちゃんも……

精霊王だって救いたい……」

 二人の目にも迷いが消えた。

危険な目にあうかもしれない。

 だが、それでも大事な人を助けたいと思う

気持ちの方が強かった。

「なあ、アンジェ。お願いがあるんだ」

「ええ。何でもおっしゃってください」

 アンジェが真剣な顔で尋ねた。

ルークもまた真剣な顔で語る。

「精霊を貸してほしい。俺たちも、

ビショップもカストルも、まだ認められて

いない精霊がいる」

「構いませんが、どうするのですか?」

「戦う」

 アンジェが息をのんだ。

精霊と戦う。それは、並大抵の気持ちではできない

ものだった。命の危険だってある。

「精霊と戦う……?」

「俺達には時間がないんだ。エレナがいつ犠牲に

なるか分からない。だから、気まぐれな精霊が

認めるのなんて待っていられない」

「お願い、アンジェ!!」

「僕からもお願いするよ!! 精霊を貸して!!」

 アンジェはかなりの間黙っていた。

やがて、静かに口を開く。

「分かりました。精霊を貸しましょう。

ですが、どんな目にあおうとも私は責任を取れません」

「そんなの自己責任だ。アンジェを責めたりしないぜ!!」

 ルークたちの決意が揺るがないのを見て、アンジェは手を

高く上げて精霊を召喚した。

 まだルークを認めていない、バランス、ヴィエルジュ、

リオン、カンセール、トロー、ポワソン、スコルピオンが現れた。

 その中には、ビショップたちを認めた精霊たちもいる。

「けけけ、アンジェ様? おいらたちに何か用か?」

 その場を代表してリオンが口を利いた。

ルークを見るや、全員が睨むように見る。

「あなたたちには、ここにいる三人と戦ってもらいます」

『はあ!?」

 精霊たちは驚いたように三人を見た。冗談でしょう、と

言わんばかりにアンジェを見つめる。

 アンジェが首を振ると、小馬鹿にしたようにルークを

けなし始めた。

「こんな小僧に何ができるって言うんですか、アンジェ様。

身の程を知らぬ小僧に道理を教えてやらねばな」

 バランスの目がぎらりと輝く。と、いきなり現れた

カプルコルヌが土の塊を彼にぶつけ始めた。

「おい貴様~、あんまりルークを馬鹿にするんじゃねえぜ~」

「生意気な!!」

 バランスが攻撃を全てよけ、力の塊を投げつけようとする。

アンジェはキッとなると、二人の精霊の攻撃を止めた。

「やめなさい、二人とも。あなた方は両方悪いですよ。

特に、バランス。精霊の勇者はかなりのものが認めています。

それを馬鹿にするのは、わたくしも、そのものたちも

侮辱したのと同じですよ」

 バランスは悔しげな顔をしたが、ルークに謝る気は

もっとうないらしく顔をそむけてしまった。

 ジェモー姉妹、ベリエ、サジテール、ヴェルソーも

姿を現し、睨むようにバランスを見つめていた。

 トローたちも彼らを睨み、ばちばちと火花のような

ものが散る。大人しいベリエでさえ火花を散らしていた。

「さあ、誰と戦いますか、ルーク?」

 ルークは吟味するように精霊たちを見つめていた。

その様子が初期とは違うことを驚きながらも、

精霊たちはルークをまだ認める気がないらしい。

「リオンと戦う」

 闇の精霊はおかしそうに笑うと、ルークの方に

近づいてきた。ビショップたちの鋭い視線にも

ひるまず、口を開く。

「おい、精霊の勇者だからっていばるなよ」

「いばっているのは、そっちだろ」

 あくまでルークは冷静だった。カッとなり、

リオンが攻撃を放とうとする。

 アンジェの叱責が飛んだ。

「リオン、まだ勝負を始めるとも言わないのに、

攻撃をしてはいけません。それは卑怯ですよ」

 チッとリオンが舌打ちして力をおさめた。

ルークの挑発するような声音に腹が立っていた。

 最初はあんなに不安そうな顔をしていた小僧が!!

リオンはそう思っていたが、アンジェには逆らえないので

黙っていた。顔が怒りでひどく紅い。

「アンジェ様、早く開始を告げてくれ!!

 この小僧をボコボコにのしてやる!!」

「それはこっちのセリフだ、リオン!!」

 ルークもいきなりの攻撃に腹が立ったらしく、

鋭くリオンを睨みつけていた。

「僕たちだって負けないよ、ね、カストル?」

「もちろんよ、こんな奴に負けるもんか!!」

 全員のやる気を確認した後、アンジェは

静かに試合開始の合図を告げたーー。

ルークたちが精霊と戦います。

三人対一体。有利なようで、

有利ではないのが精霊の強さです。

次回もよろしくお願いします。

しばらく主人公はルークに移ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ