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タツキリョウ先生(仮)の予言 消費税二〇パーセントの沈黙

作者: otu

【冒頭注記】

※この物語は完全なフィクションです。

登場する人物、政党、災害、法律、思想、表現、日付などは、すべて創作上のものであり、

実在の人物・団体・出来事とは一切関係ありません。


とくに「タツキリョウ」という名前は、ある社会現象を象徴する仮構の人物像であり、

現実の人物に対するいかなる主張・責任追及・評価・非難の意図もありません。


本作の主題は、「予知」ではなく「空気によって社会がどう動くか」を描いた社会風刺です

二〇パーセントの沈黙


10月、秋雨が始まる少し前。

国会の静けさとは裏腹に、スピーカーからは重々しい音声が流れていた。


「本日、消費税率を20%に引き上げる『復興財源確保特別措置法』が可決・成立しました」


それは、あまりにも自然な口調だった。

災害復興のための国民的協力。わかりやすく、耳障りが良い。


3か月前の7月5日、東海・首都圏直下型地震が連動し、東京湾岸と中部工業圏を直撃した。

死者は5,800人。インフラと物流が一時停止し、首都機能が約2週間にわたって麻痺した。

電力の分断とサーバ障害が重なり、全国的に通信と金融取引も混乱した。

選挙は「一部遅延」とされながらも強行的に実施され、「非常時の安定」を掲げた与党(仮名:ジミントウ)が圧勝した。


そして10月。

「災害復旧」「国民の結束」「痛みを伴う選択」――その名のもとに、増税法案が通された。


給付金は凍結された。

年金支給額も見直し。

食料品への軽減税率は廃止。

地方の中小企業は補助金の“選別”で弾かれ始めた。


――その月、自殺者数は「1万6,882人」と推定された。


だが、新聞の一面は違った。


「20%でも、日本は持ちこたえる」

「未来志向の改革、始まる」

「“痛みを伴う選択”を評価する声も」


SNSでは「黙って従え」「みんなで乗り越えよう」という言葉が並んだ。

異論を唱えた政治家は、「非国民」「復興の妨げ」と叩かれ、メディアから消えた。


ある山間の町。

そこに、かつて“予言者”と呼ばれた男がいた。

名は、タツキリョウ(カタカナ表記)。漫画家だった。

十数年前、偶然描いた日付が震災と一致し、「未来を見た人」として持ち上げられた。


「見えてなんかいなかった」


そうつぶやく彼は、すでにSNSもやめ、アシスタントも去り、ただ一人、ブログを細々と続けていた。


その夜、彼は再びブログを開いた。

炎上も、バズりも、もはや望んでいない。たった一人にでも伝われば、それでいい。


タイトルはこうだった。


「これは予知ではない」


本文には、こう記された。


「あの7月5日、また“当たった”と言われた。

でも、僕が描いたのは未来なんかじゃない。不安だった。ただの空気の震え。

起きた出来事を、まるで“予言”のせいにするのは間違ってる。

僕は、ただの観察者だ。――いや、もはや“観察された側”に過ぎないんだ。

災害を“使った”のは、予知でも天意でもない。人間だ。

復興の名の下に、誰かの声が削られ、命が折られていく。

本当に必要なのは、20%の税率ではなく、20%の“違和感”を、誰かが言葉にすることだった。」


アップロード。

アクセス数:0。


彼は画面を閉じて、静かにコーヒーを淹れた。

テレビからは、政治家たちが笑顔で握手する映像が流れていた。


雨が降り出した。

彼は思う。


未来を変えるのは、予知でも予言でもない。

空気に黙らず、生きた人の“ひとこと”なのだと。


その“ひとこと”が、いま最も失われている。



あとがき

この物語は完全なフィクションです。

登場する人物、政党、災害、政策、思想、表現、日付など、すべて創作上の設定に基づいています。

特定の個人や団体を賞賛・批判・揶揄・中傷する意図は一切ありません。


とくに「タツキリョウ」という人物像は、

「予知」と「空気」という社会現象を象徴的に描くために創作されたキャラクターです。

現実に存在する人物の言動や主張に対する評価ではありません。


本作の主題は、「災害や非常時がどのように政治に利用され」「空気がいかに人々を沈黙させるか」です。

予言の正否を問うものでもなく、誰かの功罪を論じるものでもありません。


そして――

もし本当に、災害が起きたとしたら。

選挙が延期され、非常時の名のもとに「空気」が社会を支配し、

誰もが「今は仕方ない」と呟く。

そして気がつけば、消費税20%という重みが、日常にすべり込んでいる。


そんな未来が、完全に荒唐無稽だと言い切れる人は、どれだけいるでしょうか。


予知は不要です。

空気の中で沈黙している自分自身に、気づくこと――

それが、この物語の中で唯一、本当に伝えたかったことです。




――私は、自分もまたタツキリョウ先生(仮)の言葉に惑わされ、翻弄されてきた一人だ。

しかし、どうして彼は、東日本大震災よりも多くの命を奪ったかもしれない、

コロナワクチンの被害について、はっきりと伝えなかったのかという疑問が消えない。


もし、あの大災害よりもコロナワクチン被害のほうが甚大で、

それが全世代に伝わってしまったなら、数字は膨大になるだろう。


その重大な問題を語らなかった彼の予言を信じても、

災害的被害としては、ワクチン被害者のほうが遥かに大きいかもしれないと、

私はどうしても考えてしまう。


――それでも彼は、一人の人間であり、沈黙せざるを得なかった何かに囚われていたのかもしれない。

批判は免れないだろうが、その沈黙の裏にあったものを、私は想像し続けたい。


彼も神ではない。だからこそ、どのような形であれ、

これまで彼がしてきたことを、胸を張って誇ってほしい――

それが、私のささやかな願いである。



 この予知は外れた・・という安心感があるだろうが、作者の思いから言えばあと4日という思いの方が強い。

 選挙結果が出るまでは、素直に喜べない・・・、大災害によって自民党が勝利する可能性がある、すこしでもあるから・・・。


 もしそれが現実として、0%でないなら、消費税20%の未来がきても、不思議ではない・・、石破総理の勝利宣言として、増税します、自民党が大敗しなければ、それが許されるように思える・・・


 消費税によって、日本の景況感が悪いときに限って、消費税が増税される・・・。それは日本の歴史が証明している。それを繰り返すだけだけど、あと4日で日本が変わる可能性が少しでもあるなら・・・、それまで、災害は起きてほしくない・・・、

 

 せめて、もう少し、もう少しだけでも・・・、それで多くの人が自殺しない世の中に・・・


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