聖女について②
「そもそもなぜ異世界召喚を行うことになったのか、ですが…きっかけは初代国王が精霊を呼び出す時の魔法陣を間違えて作ってしまったのです」
初っ端からえ?とツッコミたくなったが、ギリギリのところで我慢した。
「私も過去の記録を見ただけなので本当にそうだったのかは分からないのですがそう伝わってます。本来発動するはずないのですがなぜか作動してしまい、この世界で見た事のない服を着ている男女、後の初代勇者様と聖女様がその場に現れたそうです。元の世界に戻す方法も分からず、初代国王は責任を感じ王宮で面倒を見ることになりました。話していくうちにわだかまりもなくなり、友と呼べる仲になったそうです。魔法についてもお2人に教え練習をさせたら上手い下手あれど使えることがわかりました。勇者様は前衛で魔物を撃退。聖女様は後方で怪我人の手当を行ってくださっていたのですが、魔物の攻撃が聖女様のいる所にいきなり向かい、動けなかった聖女様を庇った初代国王を見て涙を流していたら傷が段々と塞がっていったそうです。聖女様はそれから聖魔法を練習し多くの人を助けてくださいました。聖魔法は実に有能で、魔物にも効くし怪我も治せました。そもそも魔物が国に入らなければ良いのでは?という思いつきから結界を作るに至ったそうです」
1度言葉を区切り、喉を潤すためにモニカがいれた紅茶を飲んだ。
「ただ召喚魔法は人の運命を変えてしまっている事実があることから、初代国王はルールを作りました。''召喚魔法は滅多なことがない限り使用しないこと''。」