終わり
終わりっていうタイトルですが物語は終わりではありません!
「そうか、それは助かる。なら気が変わらぬうちに、パーティーメンバーと合流してもらってすぐ旅に出てもらおう。詳しいことはキールが教えてやれ」
「承知しました。それでは勇者様行きましょうか」
あの金髪の方、キールさんが夏希連れていこうとしている。
夏希は夏希でお願いしますなんて言ってるしどうして!?
「待ってよ!私は!?行かないでよ」
「雪音もしたいようにしたらいいよ。僕は僕の使命を全うする。僕にしか出来ない事なんだ。じゃあ、僕は行くよ。今までありがとう、ばいばい」
早口でそう言ってキールさんとどんどん歩いていってしまった。
私が口を挟む隙を与えてくれなかった。
しかもばいばいってどういう意味?別れるってこと?
私捨てられたの?
こんなにあっさり終わるものなの…?
夏希が出ていった方向を見つめたまま10分くらい呆然としていたら、気まずそうに「お前はどうする?」と聞かれた。
「こっちは今彼氏に振られたところなんですけど!いきなり異世界連れてこられるし、聖女?勇者?わけわからないよ。こっちの気持ちも考えてよ!ばか!」
私が感情のまま言葉を紡ぐと、周りにいた人たちがざわざわとし始めた。
やばいよあの子、国王様お怒りになるのではなど焦っている声が主に聞こえてくる。
私に聞こえるまでに焦る理由はあったのだが、この時の私は知る由もなかった。
一方で(周りの声で確信を得た)国王様は、私の方を見たまま固まっていた。
きっとばか呼ばわりされた事も、逆ギレされる事もないんだろうな。