初めての感情
「シュタンホードとは学生時代からの知り合いでね。伯爵令嬢なのに店開くと聞いた時には驚いたけど、作る物は良い品が多いし、貴族をターゲットにしてるから人も少なくてこうして一休みしに来るのに丁度いいんだ」
「ちょっとー?人のお店を休憩所にしないでくれるかしら?」
「知らない仲じゃないんだからいいだろ」
「あら。それなら今日来ること事前に教えてくれてもよかったんじゃない?」
「それは悪かったよ」
ウィルとシュタンホードさん知り合いだったんだ。
それに軽口叩いていてとっても仲がいい。
2人ともすごく綺麗だから、並んで立っているとより輝きが増して見える。
なんだか私浮いてない…?お邪魔じゃない…?
「そうだ、雪音さんはウィリアムが死神と言われてる理由知ってる?」
「えっ、知らないです」
「ふーん、雪音さんには言ってないんだ…?」
ニマニマとしながら面白いものでも見つけたかのような顔をしているシュタンホードさん。
名前呼び捨てで呼んでるんだ…
そういえば死神ってさっきも言ってたよね、ウィルが死神だなんて全然見えないけど。
「シュタンホード、分かってるよな?」
「はいはい。私からは言わないわ」
主語がないから私には何の話しているのかさっぱり分からない。
仲間外れされているみたいで少しモヤモヤする。
いや、違うか。
私はこの世界で生きていたわけじゃないから元々仲間でもないんだ。
分かっていたのに分かってなかったその事実になぜだか心臓がきゅうっとなった。
「今日は少し寄り道しただけだからもう行く。また来るよ」
「もう少しゆっくりして行けばいいのに。またね、ウィリアム、雪音さん。今度は女の子2人だけでお話しましょ」
「はい、ぜひ!」
最後に音符が付きそうなくらいのテンションで挨拶をしてくれた。
モヤモヤする気持ちを胸に隠して、純粋に2人だけでと言うお誘いが嬉しくて笑顔になる。




