綺麗な男の人
今日は土曜日。テスト明けで久しぶりのデート!
テスト期間中は勉強しなきゃいけないから電話もデートも控えて、テストが終わったらめいいっぱい遊ぼうと話してた。
12時に駅のホームで待ち合わせして5分前に着いた。
夏希はどこにいるか探すけどすぐに見つかった。
学校のアイドルだもん、かっこいいから特に女性からの視線が集まってる所に大体夏希はいる。
今日もかっこいいなぁ〜って思って見つめてたら、私に気づいたみたいで手を振ってくれてる。
振り返しながら夏希の所に向かって「ごめんね?待った?」って声をかける。
「ううん、今来たところ。ご飯行こっか?」
「うん!」
さり気なく手を繋いでくる所がまたかっこいい。
ご飯何食べようか話しながら手をぎゅっと握りしめたら、目の前が真っ暗になって意識がプツンと切れた。
夜寝て自然と朝起きるみたいな目が覚める感覚があり、まぶたを開けてみると目の前には知らない美男美女軍団がこちらを興味深そうに見ている。
「「え?」」
声が重なり横を見てると夏希がいた。
手も握られたままで少し安堵したが、何がどうなってるのかわからない気持ちから逃げるようにぎゅっと強く握った。
「ここ…どこ…?私達外を歩いてたよね?」
「うん。多分、最近アニメや漫画とかで人気な異世界召喚ってやつじゃないかな」
「そんなこと本当にあるの…!?どうして私達なの…」
「僕もこんなこと初めてだからわからない。あそこにいる王様ぽい人が教えてくれるんじゃないかな」
そう言って夏希は後ろの階段の先を見つめていた。
私もその視線を辿ってみたらその人はいた。
黒髪に青い瞳、鼻筋は綺麗に通っていて唇も厚すぎず薄すぎず肌も白い。
こんなに綺麗な人初めて見た。
男の人に綺麗って言葉も変なのかもしないけど、私は綺麗って言いたい。
私と夏希からの視線に気付いたのかゆっくりと口を開いて言葉を紡いだ。
「お前らは今日から、この国の勇者と聖女だ」