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膝枕

完全にキャパオーバーした私をウィルは外に連れて馬車に乗った。

少し経ってガタッと揺れたことで意識が戻り目に映ったのはウィルの顔、そして頭の後ろには少し硬い感触もあり''膝枕''をされてることに気付いた。


「あ、気付いた?今町に向かっていてもうすぐで着くからね」

「そうなんだ…じゃなくて!え?なんで私膝枕されてるの?」

「声掛けても反応無かったから、連れてきちゃった」

「きちゃった、じゃないよ!あの、そろそろ起きてもいい?」

「だめ、着くまでこのままね」


ええーーー。

起き上がろうとしても額に手をあてられて押し返され、また起き上がろうとしても押し返されるの繰り返しで起き上がることを諦めた。


会話はなく馬車の動く音や外の喧騒しか聞こえない。

下からウィルの顔を眺めていようと思ってみていたが、変わらずウィルも私の顔を見つめたまま時間が過ぎる。


「なんでそんなに見てくるの…?」

「雪音の視線を独り占めしてるんだと思ったら嬉しくて、この目に焼き付けようかと」


いや何言ってるんだこの人。

私の視線独り占めしたからといって何も無いのに。

私の顔を見ていても何も得ないのに。


「その呆れたような顔も可愛いね。どんな表情でも俺だけに見せて」

「私可愛くないよ、眼科に行った方がいいんじゃない?」

「眼科…?って?」

「目のお医者さんだよ」

「そうなんだね、でも視力いいから行く必要ないし、雪音は可愛い」


首を傾げて聞いてきたけど、そんな仕草をしているあんたの方が何万倍も可愛いよ!!!!

と叫びたくなったけど我慢した、偉い、自分。

そして何を言っても可愛いと言ってきそうなため、またしても私は諦めた。


そうこうしているうちに馬車が止まった。

「着いたみたいだね、ほら、行こうか」と起き上がらせてくれた。

ありがとうと言いながら意識はもう完全に馬車の外に向いていた。

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