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第8話 †ヴェツェ†

ヴェツェの過去の話です。



昔私は未北村、絹川村(きぬがわむら)、藤ヶ谷村(ふじかだにむら)紅山村(もみやまむら)碧野村(あおのむら)を支える守護神のようなものだった。

でも、私は子供の姿をしているから、行き届いた守護ができなかった。

空が不気味なほど青いある日、藤ヶ谷村でおかしなことが起きた。

それは、ある家族の父親が鎌を自分の家族に刺していた、ということ。

私は、ただ単に家族喧嘩がエスカレートして起こったことだと、誤った判断をしてしまった。

次の日に、その父親の様子を見に行った。そこで見たのは、狂った笑い声をあげ、狂ったように近所の人間を殺していたあの父親だった。

思わず目を背けた時、背けた方向でも同じようなことが起きていた。数人だけではなく、何十人も。

私はその時、自分と同じように5つの村を守護する者の話を思い出したの。

『―ここからずっと行った西の村で狂ったことが起きた。そこを守護する者はある鍛冶士にそれを払う刃を作らせ、ある特別な人間に゛コア″を与え、その刃をも与えた。他にも、゛コア″を与えられた人間を守る者、癒やしを与える者、盾となる者、そして、支える者を付けた。その人間たちや守護する者の力で狂いを鎮めた。』

それの記憶を頼りに、私はある鍛冶士に刃を作るよう頼んだ。

鍛冶士は『村々の平穏の為なら』と、刃を作ってくれた。

その刃は狂いを滅するという名を持つの。故に狂滅。

狂滅が出来上がると、急いで゛コア″ふさわしいものを探した。

至る所を探すと、ある女性をみつけた。

狂った者の攻撃をヒラリと羽根のようにかわし、人々を安全な所に避難させていた強く華麗で優しい女性だった。

私はこの者なら、と思い、彼女の前に姿を現したの。普通の人間なら、驚き、警戒するか逃げ出すハズなのに…彼女は不思議そうに私に尋ねてきた。

「あなたは誰かしら?」

と。

心から強い女性だと思った。

私は応えた。

『この村の守護者よ。』

って。

彼女は優しく微笑んで、

「守護者様は私になんのご用事なのでしょうか?」

とまた尋ねてきた。

『この村々を守護しきれなかった私のかわりに助けてほしい。』

その答えに彼女は少し驚いていた。でも、力強く頷いてくれた。

彼女の名は瑠璃風(るりかぜ) 音亜(ねあ)

音亜は藤ヶ谷村の村長の孫娘で、私のことを聞かされていたから驚かなかったらしいの。

彼女に私は゛コア″と狂滅を与えた。

仲間が必要だと思い、音亜に伝えた。でも、彼女は首を横に振ったの。

「自分以外を危険に遭わすなんてできない。」

と言って断ったの。

彼女はその気でないのに無理矢理仲間をつけるワケにいかなかったから、仲間をつけなかった。

音亜と私は狂った者を滅していった。

他の4つの村々にも、狂った者が出てきて、私たちはそこへもいった。

でも、仲間のいない音亜は限界を迎えていた。いくら狂った者だとしても、元々は彼女の大切な村人たちや、知り合いの村人たちなのだから、精神的にも肉体的にも疲れ果てていた。

私は最終手段として、村々の狂った者を鎮める術を使った。

でも、それと引き換えに私の体力をほぼ使い、深い眠りにつき、村々の守護力をひどく弱めてしまう。

それでも、今の悪夢を鎮めるために私は地下の世界に行き、使った。

村人たちに言葉を残して。

その後は眠りについていたけど、゛コア″の保持者であった音亜を通じてずっと世界を見つめていた。

その時に、ある女の子がいた。音亜には見えていなかったけど、確かにいたの。あの子の雰囲気は普通と違い、禍々しいものだった。

あの子はクスクスと笑っていた。

『また、ワタシの可愛い子たちと遊ばせてあげる。』

そう言い残して、少女は消えた。

私はそれを聞いて、彼女が根元なのだとわかった。でも、眠りについているから、何もできなかった。



―これが歴史、終わりであって始まりに近いこと。その少女は何だったか、きっとそのうちわかるハズ―

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