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第17話 木漏れ日


ヴェツェの案内で天音、妖梨、そして、謎の少年羚真の下に向かう。

辺りは竹藪(たけやぶ)で爽やかな風が突き抜ける。

そんな場所を抜けると空けた場所に出た。

色とりどりの藤の花に包まれた華やかな場所。

そこに響くのは風景に似つかわしくない金属音。

少女と少年の声。

「ハァっ!」

「…遅い。回り込むなら一度地面を蹴れ。」

「…」

その姿を見つけた鎌架が二人の少女の名を呼ぶ。

「天音ちゃんっ!妖梨ちゃん!」

その声に反応し、少年と天音は止まった。

「鎌、銀、双にヴェツェ…」

3人とヴェツェが天音、妖梨、少年―羚真のもとに近寄る。

「何してたの?」

先ほどの行為を尋ねた。

「羚がね、武器を扱うなら基本的な動きと速さを覚えた方がいいって言ってたから、羚に教えてもらってたの。」

「……」

金属音は鉄扇と、羚真の持っていた殺傷力のない鉄製の槍だった。

銀架は羚真に歩み寄った。

羚真はじっと銀架を見つめる。

「…羚真、で合ってるっけ?

僕は雪風 銀架。」

「…蒼月 羚真だ。……銀架、それが新たな゛コア "を持つ者の名か…。」

「…詳しいんだね。」

銀架はスッと目を細め

「…アンタが゛コア "のいう゛blood(ブラッド) master(マスター) "?」意味深げな言葉を投げかける。

羚真は一瞬反応を示す。

肯定の意味を現している。

一方、鎌架、双士、天音はうまく状況を理解していなかった。

「銀架、゛blood master "って何?」

鎌架が尋ねた。

銀架は目だけを鎌架に向けて

「そのまま訳して゛血の主 "。…゛コア "がさ…多分、これはヴェツェの記憶かな?とにかく、羚真は゛blood master "だって言ってる。血を操る者だってね。」

銀架は羚真の真紅の瞳を見つめる。

眼鏡の奥で静かに鋭い光を放つ血のような目。

羚真は自分の目に触れた。

「…この目は、゛blood master "の証…血の眼だ。6年前に覚醒した。」

『…羚真は特異体質によって゛blood master "になったんだ。てか、銀架は正直゛blood master "には興味ないでしょ?

羚真の戦闘力に興味あるでしょ?』

クスクスと楽しそうに笑うヴェツェ。

銀架はフッと表情を緩めた。

「そーいうこと。てことで、いろいろよろしく、羚真。」

手を差し出す。

羚真は少し目を見開いたが、フッと苦笑した。

「…よろしくたのむ、銀架。」銀架の手を握った。

銀架と羚真は相性がいいのかもしれない。

「…皆さん、そろそろお昼を食べましょう。銀架さん、も何か食べなければ?」

ふと妖梨が全員に話しかける。

銀架と羚真は手を離して妖梨をみた。

鎌架はそういえば…と呟く。

「お腹…すいたね…。もうお昼なんだ…」

苦笑して腹に手を当てる。

天音も苦笑して頷く。

「…だね」

「今日は…炊き込みご飯と豚汁、煮物にします…」

「…僕も手伝うよ」

銀架が妖梨のもとに近寄る。

2人は、触れられそうで触れられない距離を取り、見つめ会っていた。

「………久しぶりね…羅那…」

「「「「!?」」」」

最初に口を開いたのは、いつもとは違う口調の銀架だった。

柔らかく、おっとりとした、銀架とは思えない声だ。

妖梨は一瞬目を見開いたが、静かに微笑んだ。

まるで、再会を喜んでいるような瞳で…。

「音亜…お姉様…」

「…どういうことだ…ヴェツェ…?」

双士がヴェツェに尋ねた。

ヴェツェは小さな声で答えた。

『音亜と羅那には強い姉妹の絆があってね…。

多分、その絆が銀架と妖梨の中にある2人の魂の共鳴に繋がったんだよ…。』

そういう本人は、どこか懐かしそうに笑っていた。

いつものふざけた笑顔ではなく、嬉しそうな笑顔だ。

『羅那は…、音亜が゛コア "になっても、命が尽きるまで側にいた優しい女の子だったよ…。』

「………そう、なの…」

鎌架たちは静かに2人を見つめた。

「…今は…妖梨、だっけ?」

「…はい、銀架さん。初めまして、妃斗崎 妖梨です。」

「僕は雪風 銀架だよ。はじめまして。」

口調が戻り、お互いに挨拶をした。

もしかしたら、前世とのケジメをつけていたのかもしれない。

2人は静かに微笑み合った。



――前世は前世、今は今。でも…、銀架と妖梨は、音亜と羅那の絆のような日溜まりを持ったよ…――

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