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タネ
怖い童話「タネ」
ママとお風呂に入っていると、
おヘソが膨らんでいた。
僕は不思議に思い、おヘソを触ってみた。
ポロン、
おヘソから、タネが出てきた。
「これは、なあに?」
「何でしょう」
ママは、そのタネを庭に埋めた。
毎日、水をあげていると
小さな芽が出てきた。
「これは、何の芽?」
「何でしょう」
芽はすくすくと伸び、どんどん大きくなり、
僕の身長より大きくなった。
「大きくなったね」
「大きくなったわね」
枝の先には実がなっていた。
「あれは、何の実?」
「何でしょう」
ある日、
膨らんだ実が地面に落ちた。
ポト、
オンギャーーー
実の中には、僕そっくりな赤ちゃんが入っていた。
「ご苦労様」
ママは言った。
気がつくと僕は、
すっかり年老いて、枯れていた……




