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セミ見たいねー。

作者: たのし


 寒いねー。寒いねー。僕を支える身体君重くないかい?どうやら僕達を作ってくれた女の子は顔を大きく作りすぎたみたいだ。


 寒いねー。寒いねー。バケツの帽子とマフラーをつけてもらったから顔の僕達は暖かいけど身体君は枝の手に手袋じゃ身体君は寒いだろう?


 寒いねー。寒いねー。身体君は夏って知っているかい?僕は夏を体験するのを夢みているんだ。身体君はセミって知っているかい?そこの木に止まってミンミンって鳴くみたいなんだ。聞いてみたいなー。うるさいらしいよ。


 寒いねー。寒いねー。身体君少し痩せたんじゃないかい?僕の顔が落っこちそうだよ。それに君の自慢のスーツのボタンが外れて地面に落ちているよ?女の子が来たらつけてもらおう。


 寒いねー。寒いねー。身体君お願いがあるんだ。僕の立派な鼻が落ちたみたいだ。ちょっと拾ってつけてくれないかい?おーい。随分小さくなったけど大丈夫かい?


 寒いねー。寒いねー。おや!僕が上にいたのに君が正面に見えるぞ!それに随分僕達は小さくなったみたいだね。僕達の周りのやつらもみんな地面に落っこちてら。


 寒いねー。寒いねー。ん?そんなに寒くないぞ!それに身体君君は随分とビチャビチャになったなー。あっそっか!そろそろ地面と空に別れる頃なんだ。僕も多分すぐそうなると思うよ。そーだ。僕達空に行かないかい?空に行ったら雲ってやつになれて雨ってのになって降れるらしいよ。そしたら夏を体験できるかもしれない。


 涼しいねー。涼しいねー。身体君何処にいるのかなー。一緒に雲になれたのはいいけど渋滞に巻き込まれて押し出される様に雨になって降っちゃったけど、約束覚えているかなー?


 暑いねー。暑いねー。あっ!身体君やっと会えたね。凄く暑いね。これが夏ってやつらしいよ。さっき近くにいる雨が言ってた。じゃー冬に約束したあの公園のセミってやつを一緒に見に行こうよ。じゃー行くよ。せーのっ。



ザー。


ミーン。ミーン。


おしまい。

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