第七話 噂
四日、五日とフラウはイベントに立て続けに参加していた。
最終日近くなると順位表でも上位のプレイヤーは固定されてきている。
そして、イベント開始からずっと一位を独占していたのはランキングで常に一位を陣取る"カナト"だった。
一方、フラウはこの五日間でコインを四万まで集めていた。
「これだけあれば中級スキルぐらいは手に入るかなあ? でも、イベントもあと少しあるし、もうちょっと集まるかな」
フラウはそう言って、今日も狼の姿でフィールドを走り回った。
今、フラウが走っているフィールドは、砂漠地帯の奥にある湿地地帯だった。
森林の他に沼地が存在する場所だ。
初めてここにきた時は沼に足を取られたが、今は軽々沼の上を走り去ることができるようになった。
木々をかき分け走っていると、たまに出会うプレーヤーにモンスターと間違えられるが、このイベントによりレベルが上がったフラウは、ステータスポイントを速さにも大きく振り分けた。
さらに"ウルフメイク"により、常にバフがかかった状態で走り続けるフラウに、そう簡単にプレーヤーは追いつかなかった。
一度だけ、上級者風のプレーヤーに攻撃を放たれて死ぬかと思ったのだが、運良くカウンターが発動したらしく攻撃は跳ね返って行った。
その時に気づいたのだが、どうやらプレーヤー同士でも攻撃が通るエリアが多々存在するようだった。
そして、歩き回った結果、初心者が多いイベント入口近くでは、プレーヤーに攻撃は当たらないが、少し奥に行けばこうして攻撃が当たるようになる、と言うことを知った。
しかし、攻撃を避けたり、カウンターの発動によりそれらを無効化できる術をもつフラウは、特にそれが障害には感じられなかった。
そのため、奥地にある湿地地帯まで足を踏み入れていたのだ。
「いい感じ! 足は速いし、攻撃力も上がったし、モンスターを倒せば経験値も溜まるし! それに魔法も新しく覚えたし!」
フラウはそうして調子よく進むイベントに気分が良くなっていた。
そうして走り続けるフラウに新たな称号も与えられた。"湿地の覇者"という称号だ。
これにより、フラウのスピードはさらに上昇し、あまりにも早いスピードにフラウ自身が耐えきれず叫び声を上げていた。
〇
1名無しのプレーヤー
やっぱりカナトすげぇよなあ!!
2名無しのプレーヤー
ライラが追いつこうとしてるみたいだけど
3名無しのプレーヤー
あ、知ってるか? ここ数日、砂漠地帯〜湿地地帯で逃げ足の早いモンスターが出てるんだってさ
4名無しのプレーヤー
なにそれ?
5名無しのプレーヤー
狼みたいな見た目で、上級者が攻撃しても攻撃がはね返るとか
6名無しのプレーヤー
カウンター持ちのモンスターかな? 中級レベルじゃ良くあることだろ
7名無しのプレーヤー
でもさ、あっちから攻撃してくることは無いらしい。それどころかモンスターがモンスターを喰ってたとか
8名無しのプレーヤー
なんだそれ? まぁ襲ってこないなら相手にする必要ないだろ
9名無しのプレーヤー
でもさ、特殊スキルとかアイテムを持ってる可能性があるからって上級プレーヤーの中には探してる奴らもいるらしいぜ
10名無しのプレーヤー
あいつもそうだろ輪ノ華会のリーダーのお鈴
11名無しのプレーヤー
六位の?
12名無しのプレーヤー
まぁコインが十分に集まってるやつなら余裕もあるし、最終日辺りに狙うプレーヤーも多くなりそうだな
13名無しのプレーヤー
お鈴ちゃんすこ(´д` )hshs
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