第五話 イベント二日目
イベント二日目、フラウは"池の辺"エリアに来ていた。
一日目に手に入れたコインは、あの宝箱のモンスターを含めても二百枚。
イベントの景品を見てみたが、低レアリティの景品でも最低千枚必要だった。
そして、フラウは景品の中にあるスキルを気に入っていた。
それは"狂鬼"と言うスキルで、ステータスが一時的にランダムに数倍アップする優れものだ。
狼になった時に発動すれば、上級モンスターでも対等に渡り合うことが出来るかもしれないと考えたのだ。
しかし、それを手に入れるにはコインが五十万も必要で、フラウのペースでは到底集められない。
「うーん……とりあえず、できる所までやってみよーっと」
フラウは、今日はモンスターが沢山犇めく池の辺エリアで、派手に狩りを進めるつもりだった。
だが、フラウはまだ広範囲攻撃を取得しておらず、そのため、作戦を考えなければならなかった。
会場に入る前、フラウはスタットのアイテムショップを覗いてみた。
そこにあったアイテムに、トラップアイテムが売られているのを見つける。
その中でも、広範囲に網を張ることができるアイテムを手に入れ、攻撃用アイテムの水晶も買い込んだ。
そのアイテムをこの"池の辺"エリア付近で仕掛け、モンスターを一網打尽にしようという算段だ。
「でも、派手に網を張ってたら、別の人に横取りされるかもしれないからどうしよう?」
実際、フラウがここに辿り着く前に、同じようにトラップアイテムを使用してモンスターを捕まえている人を見かけた。
その人のトラップを逆手に取り、中級プレーヤーがモンスターを横取りして攻撃をしているのを見つけたのだ。
「あ、そうだ!!」
フラウはじっと眺めていた池の中に目をつけた。
「水の中なら誰にも見つからないかも!!」
そう言ってフラウはさっそく程よい池を探した。
丁度良い大きさを見つけると網を一面に貼り付け、水中へと沈めた。
さっそく、水の中で静かに潜んでいたモンスターが網に捕らわれ絡め取られる。
「今だ!!」
フラウは"痺れ玉"と表記されていたアイテムを、大量に水面へ投げ込んだ。
これは下級モンスターが麻痺状態になるアイテムで、フラウの思惑通り、モンスターはビリビリと電流のエフェクトを纏い始める。
「サンダーボール!!」
フラウは水面に向かって雷の魔法を何度も落とす。
網に捕まった上に、麻痺の状態異常にかかっているモンスターは簡単にフラウの魔法を受けてHPを減らした。
「やったあ!!」
フラウはアイテム欄で数字が増えていくコインを見て、作戦の成功を実感した。
「これでコインは千と五百! この調子でどんどんやるぞー!」
フラウはそう言って別の池を探して同じようにトラップを仕掛けた。
少し強いモンスターがいると網が食い破られそうになったが、今度は五百枚のコインを手に入れることが出来た。
まだ時間はあるため、フラウは同じ調子で狩りを続けることとした。