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第五十九話 私が考えた最強のチーム その2

 数分歩き続けてようやく人の少ないところまでやってきた。

そこはオーシャンに続く船乗り場の近くで、背中に海が見える場所だった。


「ふぅ、やっと抜け出せたよ~」


そう言って木陰に腰を下ろすフラウ。

そんなフラウの周りを双子が呆然と立ち尽くしていた。


「あ、ご、ごめんね、手痛くなかった?」


フラウがそう声をかけて二人を見上げる。

すると二人はじっとフラウを見て警戒しているのがわかった。

双子はフラウより年齢が低く見えた。

中学生ぐらいだろうか、片方は髪が長く乙女な雰囲気だが、もう片方は髪が短くボーイッシュな雰囲気だった。

しかし顔は全く同じつくりをしており、同じような服を着れば見間違えるほどだろうとわかる。


そんな警戒する双子にフラウは申し訳なさそうに姿勢を正した。


「ごめんね、えっと、お名前は?」


フラウの質問に二人はボソボソと呟くように名前を告げる。


「アテナ」

「アレス」


フラウは二人のうち、髪の長いほうがアテナ、短いほうがアレスだと分かった。

そしてアテナの方が姉だと紹介される。

「そうなんだ」と何気なしにフラウがアテナを見ると、アテナはアレスの後ろに隠れてこちらを見ていた。


「その、私はフラウ。えっと今ギルドメンバー募集中であそこにいたんだけど」

「知ってる」

「……だよね、えっとアテナちゃんはギルド興味ない?」

「興味あるからあそこにいた。と言うか、お姉ちゃんのことも知ってる。悪魔とか怪物とか言われるでしょ」

「うっ、なぜそれを」

「だって」


アテナはそう言って言い淀んでまたアレスの後ろに戻る。

アレスはそんなアテナを見てからフラウの前に座る。

急に同じ視線になったフラウは目をパチクリさせてアレスを見たが、アレスは気にせず続けた。


「僕たちお姉さんのギルドに入れてほしいんだ。だって、僕たちお姉さんの戦ってるのを見てカッコいいと思ったからこのゲーム始めたんだ。まだよくわかってないところも多いけど」


フラウはそう言ってにこっと笑うアテナに「そうなの!?」と驚きの声を上げた。


「僕と、アテナをお姉さんの配下にしてよ。魔王軍つくるんだよね」

「はぇ?」

「だってお姉さん悪魔でしょ? 魔王様もいるんでしょ?」

「いや、えぇっと……普通のギルドじゃダメ……?」


純粋な二人の瞳にフラウは「うっ」と声を漏らす。


「で、私たちを入れてくれる……?」

「と、とりあえずギルドに来てみて、いやだったら抜けていいよ。うん、そうしよう」

「やったぁ! アレス、やったね!!」


アテナはそう言ってアレスに飛びつく。アレスは微笑んでアテナを見返した。

少し不思議な双子だがフラウは「そうだ」と声を上げる。


「二人の職業は?」


その質問に二人は声を揃えて答えた。


「ガンナー」


その答えにフラウは「おぉ!」と思わず声を上げていた。


「私もなりたかったやつだ!」

「そうなの?」

「そうだよ~あ、そうだ、いいの持ってるからギルドに着いたらあげる! リリィももうすぐ合流するはずだから」


不思議そうに顔を見合わせた双子を傍にフラウは周りを確認する。

そしてリリィの姿ともう一人の大きな姿を捉えて手を振る。


「こっちだよー!!」

「フラウ、見つかったか?」

「うん、みて、かわいい」

「かわいいって……?」


リリィがフラウの背中を覗き込むと双子がフラウの腰のあたりで隠れていた。


「ちょっと人見知りだけど、ガンナーだって!」

「そうか、よろしく。私リリィ」


人懐っこい笑顔を向けるリリィ。

アテナとアレスはちらっと覗き込んで、リリィの後ろにいる大きなプレーヤーに驚きフラウを盾にする。


「あ、この人、重騎士で、めちゃくちゃ強いんだよ!」


リリィがそう言って手招きすると呼ばれた男がのしのしと近づいてくる。

近くで見るとかなり大きい。二メートルはあるだろうか、筋骨隆々でいかにも重騎士だった。


「よろしくお願いします」


フラウがそう言うとその重騎士はじっとフラウを見る。


「やだ、かわいい子じゃない!!」

「へ?」

「よろしく、アタシ、ガーネットよ」

「ガーネットさん?」

「そうそう、アタシこう見えても心は乙女なの~」


うふふと笑うガーネット。

フラウは強い印象にたじろいだが「なるほど」と受け入れる。


「フラウちゃん、ちゃんと知ってるわ。この前の動画すごかったわね、狼になるんでしょう? かわいい~」

「他にもいろいろ手に入れたんですよ~」

「あ、敬語なんていいわよ~。アナタがギルドマスターでしょ? アタシのがちょっと年上だけど遠慮しないで」


そう言ったガーネットはフラウの後ろの二人もちらりと見る。


「かわいい子、多いわねぇ! テンション上がっちゃう!!」


そんなガーネットに怯えている双子はフラウの傍を離れず、じっと後ろから観察していた。


「とりあえず、ギルドに戻ろうか。ね、リリィ」

「おう、リーリアにも伝えなきゃだしな!」


二人がそう言って三人をギルドに招待した。

メンバーに名前が入ったのを確認し、二人はメインのギルドハウスを紹介するためひとまず移動する。

三人もそれに従った。

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