第四十八話 開かれた扉
目を覚ましたリリィ。
しばらく唖然としていたら、リーリアが声をかける。
「しっかりしてください」
「あ、あぁごめん。ありがとう」
リリィは慌てて立ち上がり、象のモンスターを見据える。
「あれをやっつけたらいいんだな!!」
リリィの言葉にリーリアは頷いた。
だが、象のモンスターは両手をあげて戦う意欲を見せない。
「もうワシの負けでいいわい。つまらんやつらじゃのぉ」
フンと鼻息を吐き出して影に消える。
「なんなんでしょう」
「煙に巻かれた感じ?」
「振り回しといて、ムカつきます」
リーリアの言葉にリリィは訳が分からないといった様子だ。
ふと周りを見渡すと真っ暗な洞窟の中、出口が輝いている。
そちらに向かうと元の拝殿に戻された。
そこにフラウがキョロキョロと周りを見渡しているのが見える。
「おーいフラウ!」
「あっ! いた!」
「最後の宝石見つからなくてさ」
「そうなの? とりあえず他のアイテムおいてみようよ。何か起きるかもしれないし」
「だなー」
リリィがそう言ってリーリアを見る。
リーリアも同意したようで早速一番初めのダンジョンに向かった。
リリィとフラウは慣れたのか、最初より衝撃はなかったが、初めて見たリーリアは悲鳴を上げずにはいられない様子だった。
やっと辿り着いた扉の前は以前と変わらず固く閉ざされている。
「じゃあ乗せるぞ」
「こっちものせるよー」
一つ目の墓にルビーの宝石を、二つ目の墓に煌めく夜空から落ちた星をのせる。
墓は輝き本来の綺麗な姿となった。
残る三つ目に変化はない。
「なんなんだよー!」
リリィが怒って地団駄を踏んだ。
リーリアはそんなリリィを傍目に、唸る。
「どうしたの?」
フラウが尋ねるとリーリアは「それが、」と話し始めた。
「一つ目と二つ目はネットで流れてた情報と同じなんですが、三つ目が見たことなくて……もしかして、プレイヤーに併せて変化するのかな、と思いまして」
「どういうこと?」
「お二人は何かお宝を手に入れました?」
「うーん? あ! リリィ!! リリィが黄金の聖杯持ってるよ! 海で海賊と戦って手に入れたんだ〜」
「ちょっとお借りしてもいいでしょうか?」
リーリアの言葉にリリィは二つ返事で聖杯を手渡す。
それを墓の上に載せると、墓は輝き本来の姿に戻った。
それと同時に固く閉じていた石の扉が大きな音を響かせて開いた。
「おお!! ランダムだったのかあ」
「凄いねリーリアちゃん!!」
二人は喜び勇んで扉をくぐる。
リーリアもそれに続いた。




