王族専用寮
ティアは実は自分で思っているより可愛い
ご機嫌よう。エフティーア・ドゥロパロスです。あれから、王太子妃教育が始まりました。一応、伯爵令嬢として恥ずかしくない程度の教養はありましたので今のところは順調ですわ。…でも、やっぱり辛くなる時もありますわ。そんな時には我が家のアイドル、キメラの幼体アルファに癒してもらいますの。
アルファは私の番犬として、ギア様がプレゼントしてくれた聖獣ですわ。人懐こくて可愛いんですの。
さて、私とギア様はいよいよ学園に入学となりました。入学式も恙無く終わり、両親や兄にお祝いの言葉をもらって、暫しの別れを惜しみつつ寮に入りましたわ。もちろんアルファも一緒にですわ。
王族の寮は応接室、バスルーム、食堂、勉強室、寝室などなどがあります。勉強室はシンプルなものですが、それ以外はみんな私のようなしがない伯爵令嬢にとっては規格外です。特に寝室は私の実家の私室の二倍はある広さです。ベッドも広くてふかふかで、カーテンや天蓋は翡翠色にプラチナブロンドの刺繍の入ったもの。ギア様ったら独占欲の塊ですのね…。
「ティア。俺の設えたお前専用の寝室はどうだ?気に入ったか?」
「はい、もちろんですわ。…むしろ、私には過ぎたものですわ」
「…ティア」
「ギア様…」
ギア様は私を抱きしめます。
「ティアはもう俺の婚約者だ。遠慮なんて必要ない。この国の全ては、お前のためにある」
「ギア様、今の言葉はさすがに言い過ぎですわ。私、傾国なんてするつもりはありませんもの」
「なら、せめて素直に受け取ってくれ」
「…わかりましたわ。ありがとうございます、ギア様」
私がお礼を述べると、ふわっと花が咲くような笑みを浮かべるギア様。
「愛してるよ、俺のティア」
「ありがとうございます、ギア様」
ここまで愛されると悪い気はしません。少しでも、ギア様のお気持ちに応えられればいいのですが。
ギアは無自覚なティアが心配でアルファを贈ってたり