表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/38

33話:黒いシュウ2


「よし、ついて行くぞ」


 とシュウは小さな声で言った。


「あぁ……な、なるほど……」

「はぁー、考えたなー」とカケル。


 後をついていく。階段を1階上がると、小部屋に入っていった。どうやら職員専用の個室みたいだ。

 ドアを開けると、もう見慣れてしまった美人の女医とチビ助が居た。

 

「ん!? あらー、もしかしてばれちゃった?」

「レイカさんが上司かい……」


 関係者だとはわかっていたけど、まさか上司とは思わなかった。


「やはり……」


 シュウは眉間にしわを寄せて言った。どうも生理的ににあわないらしい。


「お姉様、相変わらずお美しい!!」


 もうこいつは知らん。


「な、なんで3人がここにいるんだ!?」


 チビ助は動揺しまくりだった。


「いいよいいよ、リルリル。何時かはバレる感じだったからねー。にしても……このポインター具現化ってのは興味深いねぇ……これは私でも判断つかないよー。さらに私の上に報告だねぇー」


 珍しい思慮している顔で、ポインター具現化について今書いたっぽいレポートを見ていた。

 

「綾ちゃん、リールちゃんに、お姉さん、次はどんな美人が……」


 とカケルが言った。……確かに興味はなくはない。


「残念ながら、これ以上は言えないし、姿現さないと思うよー。とりあえずまた対応決まったら教えてあげるわー。判断が出るまで、今まで通り使っててOKよー」

「はい。……ん、ってことは、レイカさんが色々と俺のことを何かしようとしてたのは、このこと繋がり?」

「まぁそうだねー。後は純粋に興味持っただけかなー? あははー」

「……まだ何かあるな」


 とシュウが呟く。


「あははー……」


 と目線を逸らしながら苦笑いするレイカさん。まだ何かあるのかと思うと、ついため息が出てしまう。


 と、微妙な空気をチビ助の声で断ち切られ、支配された。チビ助が大泣きし出したのだ。


「3人が裏切ったぁぁぁー!! 友達になったと思ったのにぃぃー!!」

「シュ、シュウ、お前が追跡しようなんて言うから……」

「う……くっ……こういうことは門外漢だぞ俺は……」


 シュウが動揺するという、珍しい姿が見れた。


「リリリリールちゃんっ!? ……シュウのせいだー!!」


 と言いながらもカケルは手をカメラの形をして、撮るようなそぶりを見せ始めた。いや、しかし泣いてる姿も可愛い……などと言いながら。もうこいつは消えたほうが世の為のように思える。


「お、お前達2人して…………こ、ここは和手だろ!! そ、そうだ!! 朱利で慣れているだろ!!」

「え、ちょっと待てっ! 慣れてないっ! 朱利がそんなに泣くたまか!」


 小さい時は覚えてないが、最近朱利が大泣きしたのは数年前の一度きり、慣れているわけがない。


「あらまー……あんた達3人で何とかしなさいよー! 私、あんた達のせいで仕事増えたんだから。しーらなーいッ!!」


 レイカさんはそう言うと、レポートを持って飛び出していった。

 それがこの場の流れを決めてしまった……。


「俺は無理だ……。あー、消灯時間がもうすぐだな。うん。面会はここまでだな。すまんな和手……頑張れ!!」

「ちょ、ちょっとシュウ!?」

「和手! 俺はシュウと違って手伝うぞ!」

「お、おお、カケル……助かる……」


 下心が見え隠れしたが、そんなことは気にしてられない。すでに何事かと周りを取り囲む群衆が出来始めていたのだ。

 そこで本当に消灯時間だったようで、一気に暗闇となった。


「はいはいはいー!! お開きですよー。ほら、皆さん部屋に戻って戻って。面会者は早く帰りなさい!」


 恰幅の良い婦長らしき人が場を制覇した。


「ああ……嫌だー! そうだ! 俺はここに泊まる!!」


 しかし、カケルが勇敢に立ち向かってくれた。が、婦長は甘くなかった。


「駄目です。下までお送りします」

「そういうことだ。俺もここに残りたかったが……」


 何て心にもないことをシュウが言い、カケルは担がれて連れ去られてしまった。


「リールちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんーーーー………………」

「よし、伝記に書く面白事件が増えそうだ……明日の報告が楽しみだな……クックック……」


 カケルの叫び声が響く中、シュウは誰にも聞こえない小さな声で呟いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ