表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/38

10話:銀行員到来

 訓練のゲートをくぐった。

 すると一面に広がる砂地、周りには何もない。人もいない。


ブウンッ


 音と共に目の前にスキンヘッドの体格の良い男の軍人が現れた。――お姉さまゲームの終焉。お姉さんが居ない訓練なんてオアシスの無い砂漠と同じだ。帰ろう。


 和手はVRに終わりを告げた。





 


 次回からは朱利の物語の始まりである。










「そんな終わり方あってたまるかああああああああ!!!!!!!!!!!!」







 神々の


 遊び






《手が動いたと思ったら止まらなかった。反省はしていない》




 時は巻き戻る。




 和手は訓練のゲートをくぐった。

 すると一面に広がる砂地、周りには何もない。人もいない。


ブウンッ


 音と共に目の前にスキンヘッドの体格の良い男の軍人が現れた。



「おう! 新入りか!? 良く来たな! 俺はここの教官をしている者だ」

「は、はぁ、よろしくお願いします」


 つい、返事を返してしまった。どうにも慣れない。


「早速訓練の説明を始めるぞ」


 勝手にウィンドウが開かれた。


訓練

・拳銃

・AR

・手榴弾

・ナイフ

・基本動作

・応用


≪AR=アサルトライフル=突撃銃≫


「大きく分けて6つある、まずは拳銃を見てみよう」


 すると、拳銃の下にさらに9個のメニューが出てきた。


拳銃

・おまけ1

・おまけ2

・おまけ3

・直立

・モグラ撃ち

・横移動

・縦移動

・円移動

・空間移動



「拳銃一つでこれだけある。訓練のしがいがあるだろ! がははははは!」


 唾が飛んできた。ハゲ教官から三歩距離を開けた。


「しかし、これは予想以上……一つか二つ程度と思っていた……」

「各訓練毎に得点が出て、そしてランキングがある。まずは得点順、同点の場合は早く終わらせた者が上に来るようになっている。TOP10のみが表示される。

しかしそれは"ポインターなし"でやった場合のみだ。"ポインターあり"でやった場合はランキングとは関係ないからな」


(ポインター?)

 思わず首を傾げ、何のことかと考えてると、心を読んだように教官が話し出した。


「まず、そのポインターについて説明しよう。拳銃を出してみろ」


 ホルスターから拳銃を出すと、銃口から赤い線が伸びていた。その線は滑らかに下に放物線を描いてた。


「この赤い線が射線だ。ポインターありはこれが出る。ありで訓練するのは感覚を掴むためだと思ってくれ。

ポインターは装備屋で買えるが、勧めない。命中率は物凄い上昇するだろう。しかしポインターは誰にでも見えるからな。

戦場で『俺はここに居ます!』と叫びながら歩いているようなもんだ」

「あーなるほど……メリットもあるけど、デメリットもあるということか……」


 どうやら奥が深そうである。


「得点は100点満点だ。全ての訓練で100点になれるように頑張ってくれ。それでやっと一人前だ」


 拳銃『直立』のランキングを見ると、TOP10はすでに100点で埋め尽くされていた。


「んー、簡単なのかな?」

「あと、各最後のおまけをクリアーすると一度限りだが商品も出るぞ」

「おおー!! わかってるねー飴と鞭! 楽しめそうだ!」

「これで説明は以上だ。頑張れよ」

「ありがとうございますー、あぁ、どうもNPCとは思えないなぁ……」


≪NPCとはノンプレイヤーキャラクターのことで、村人A、みたいな感じの、人が操作していないキャラクターのことです≫


「まぁとりあえず、上から順にやっていこうかな」


 ボタンを押した。



「訓練、『拳銃おまけ1』を始めるぞ! 玉入れだ! 拳銃を投げて入れろ!」

「えええええ……? 撃たないの!? こ、これは……予想外だ……」

「制限時間はない。五丁ならぬ、五玉入れろ。それではスタート」


ブウンッ


 すると地面に拳銃五丁と、四メートルほどの高さのカゴが姿を現した。


「た、高い……」


 とりあえず、一丁拾って投げる。――届かずに、手前で落ちた。

 もう一度拳銃を拾い、今度はゆっくり狙いを定め、下投げした。

 金属と金属がぶつかる音。籠のフレーム部分に当たり、はじかれた。


「いや、これ、難しいぞ」


 もう一度拳銃を拾い、狙いを定め、再び下投げした。

 今度は吸い込まれて行く様に入った。コツを掴み、後は楽々投げ入れることができた。小学生の競技だが、不覚にも面白かった。


『Congratulation!!』


 とても発音の良い声がどこからともなく聞こえた。


「…………予想以上に楽しい。まるでテーマパーク。VSを侮っていた」


 ウィンドウをみると、『おまけ1』の横に100点と表示されていた。他はまだ空白である。それを見ると全て100で埋め尽くしたいという野望が燃えてきた。

 ランキングは欄外。ランキング上位は三十秒以内のタイムだった。自分は……。皆のレベルは高そうだ。


 そして次の『拳銃おまけ2』を押した。


ブウンッ


「訓練、『拳銃のおまけ2』を始めるぞ! 拳銃ストラックアウトだ! 拳銃を投げて的をぶち抜け!」

「また投げるかいっ! …………おまけ…………あなどん」


 どうやら、このVSというゲームは買って損はなかったように思えた。ただの戦争ゲームかと思ったら非常に奥が深い? のだ。 


「玉は5球だ。時間は無制限。ではスタート!」


 と言うと、目の前に拳銃5丁、いや5球と、10M程離れたところに的が現れた。


―――――――

│1 2 3│

│ −−− │

│4│5│6│

│ −−− │

│7 8 9│

―――――――


≪汚いですが、これが作者の限界です……orz≫


 全体の周りに囲いと、5の周りに囲い、外枠と内枠があった。ようするに5以外、1球で2枚以上をぶち抜かないと全部ぶち抜けない計算だ。

 一球目、激しい金属音と共に、外枠に当たり弾かれた。――クリアーの望みが消えた。


「……うぬぅ」


 二級目、1と2をぶち抜いた。


「よし、コツがわかったぞ、伊達にシューティングはやってないからな!」


 三球目、4をぶち抜いた。


「よし……」


 四球目、5をぶち抜いた


「やった!」


 五球目、

「残るは36789。逆L字だ。どうせ普通に投げても無理だ。なら……可能性のあるこれだ!」

 

 狙いを定めて大きく上に、玉入れの時の様に投げた。そして的の上に振ってくるように落ちてきた。


ガンッ!!!!!


 大きな音がして恐る恐る見てみると――的は全て落ちていた。


『Congratulation!!』


「きたー!!!」


 上から落ちてきた銃は縦に369を落とすと、9の下枠に当たり、そのまま左に横っ飛びし、87を落としたのだ。

 思わずガッツポーズをしてしまったが、すぐに苦笑した。


「1月分の運を全て使い果した気がする……」


 得点は100点だったが。ランキングを見ると、三球で全て落とした猛者が居たりして、またしても欄外だった。

 そして次の『拳銃おまけ3』を押した。


ブウンッ


「訓練、『拳銃のおまけ3』を始めるぞ! 銀行強盗が発生した! 人ごみの中逃げていく犯人! 銃は使えない。なら投げろ!」

「……また投げるのかい……開発者遊びすぎ! ……だが! 面白そうだ! ナイスセンス!!」

「これは犯人を捕まえれば銀行から"お礼"がくれるからな! 頑張れ! その分難易度は高くなっている。何度でも挑戦するといい。拳銃は一つだけ。それではスタート!」


ブウンッ


 すると急に砂地だった場所から、大通りの人ごみの中になった。


「うわ、な、なんだ? ……ああそうか」


 突然風景が変わり、非常に焦るが、すぐに冷静になった。心臓に悪い


「銀行強盗よー! 誰か捕まえてー!」


 左前方にあった銀行から黒尽くめの男が人ごみを押しのけ走って逃げている。

 銀行強盗はそのままこちらの大通りに入り、奥の方へ去っていった。その間三秒。


「…………」


ブウンッ


 砂地に戻った。


「え、終わり? あの一瞬? うそ? 犯人、短距離ランナー?」


 現実は砂地に戻っているのである。周りに人ごみもない。


「……うおぉぉぉぉーーー!! 難易度が高いと燃えてきたー!!」


 和手はマゾ体質なのかもしれない。


『拳銃おまけ3』を押した。


ブウンッ


 拳銃を振りかぶるように持ち、待つ。


「銀行強盗よー! 誰か捕まえてー!」


「来た!」


 さっきの犯人の通った道を思い返した。銀行前から大通りに、大通りから奥に去っていく、その大通りから奥に去っていく一瞬、直線移動になった瞬間を狙って思いっきり投げた。


――通行人の女性の頭に当たった。


「な、な、くそー! 次だ次だー! …………あれ? 砂地に戻らない」


 と思っていると、人ごみを掻き分けて目の前に女性がやってきた。


「何すんのよ!!!!」


バチンッ!


 良い音のする、"思いっきりビンタ"を食らった。


「え、え?」


ブウンッ


「…………? 今のシステム必要なの……?」


 頬を押さえ、涙目になりつつ再び『拳銃おまけ3』を押した。


ブウンッ


「銀行強盗よー! 誰か捕まえてー!」


「……………………」


ブウンッ


 砂地に戻った。

 今回はただ観察することにしたのだ。もう一度ビンタはもう嫌だ。

 おかげで、光明が見えた。

 大通りから前方に去っていく時に狙うのはあっていそうだ。問題はタイミングだ。

 人が多すぎて壁になっている。しかし最後の見えなくなる一瞬、頭全体が見える時がある。


『拳銃おまけ3』を押した。


ブウンッ


「銀行強盗よー! 誰か捕まえてー!」


 拳銃を構え、"一瞬"を待つ。

 犯人が大通りに来た。


「……いまだ!」


 滑らかな放物線を描いて誰も居ない空間に、すぐに犯人の頭が現れる空間に飛んでいった。


ガンッ


 狙い通り犯人の頭が現れ、見事に直撃し、犯人は倒れた。

 その場に向かうと、犯人は警察に取り押さえられていた。

 そしてスーツを着込んだ男性が声をかけてきた。


「ありがとう! 本当にありがとうございます! 命の恩人といっても過言じゃありません! 貴方のおかげで無事お金が帰ってきました。あ、あのほんのお気持ちですがこれを受け取ってください!!!」


 男性の手にはお札が何枚か握られていた。封筒などに入っていなく、文字通り"しっかり"握られたしわくちゃのお札だった。渡され方に難はあったが受け取った。


「……ど、どうもありがとうございます」


 千ゼニーと書かれた札三枚だった。大金なのか紙クズなのか、こちらの価値はよくわからないので、とりあえず貰っておいた。しかし手に取って少しすると消えてなくなった。


「はっは! この意地汚い愚民がっ!」


――何このデレツン。


『Congratulation!!』


ブウンッ


 砂地に戻った。


「…………」


……怒りを覚えつつも、考えると頭が痛くなってくるので必死に忘れることにした。訓練を再開しようとウィンドウを開き『直立』ボタンを押そうとしたところで声が聞こえた


『残り時間5分です』


 そういえばそうだった。三時間限定なのだった。

 5分あれば最後に一つぐらい出来るかな? と思いやることにした。

 まずはポインターありにした。

 取り合えずウィンドウのヘルプ機能から拳銃の使い方を一通り軽く見た。飛び出る3D写真等があり、かなり分かり易かった。


ブウンッ


「訓練、『拳銃の直立』を始めるぞ! 的を撃つ。それだけだ。時間制限なし、中央の赤い部分に五発当たればクリアー。ではスタート」


 10Mはなれた所に全身黒尽くめが立っていた。頭と胴体に円の、的のマークが書かれていた。外から緑色、黄色、そして中心が赤色をしていた。赤色の直径は10センチといったところか。

 拳銃をさっき見たお手本通りに両手でしっかり持ち、狙いを定めた。ポインターがあったので手のブレを修正するだけでよかった。


パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!


 五発撃ったが、五発とも中心の赤色から外すことなく撃てた。ここにきてやっとシューティングの才能が出てきた。


『Congratulation!!』


ブウンッ


 砂地に戻った。


『ログアウト1分前です』


 ほっといても勝手に強制ログアウトされるが、ウィンドウを開き自分ですることにした――そして意識が離れていく。



――朝、自然と目が覚めた。起きた時間は朝の八時、ヘルムによる目覚ましをセットしていた時間だ。

 『ジリリリリリ』といった音はなかった。脳への何かで目を覚ましてくれるのだろう。

 目覚めがよかったので、高性能の目覚まし時計がゲームと一緒について来た気がして、得した気分だった。

 夜まで特にすることもなかった。なのでパソコンで情報を調べることにした。

 掲示板には色んな情報があった。一部タイトルや情報を抜粋すると


 『階によってNPCが違う』

 『教官の名前はジャクソン』

 『全ての受付お姉さんを網羅するぞ!』

 『拳銃:おまけ3の攻略方法と銀行員への怒りはここで』

 『戦場での動き方』

 『銃の使い方』

 『訓練攻略』

 『ポインターについて』


 などで、下四つは参考になった。

 『戦場の動き方』は、まだ行く予定はないので適当に読んだ。

 『銃の使い方』を参考にシャドートレーニングをしておいた。

 『訓練攻略』では、訓練始めの方は簡単だけど、進めば進む程、難易度がどんどん上がっていくことが書かれていた。

 『ポインターについて』は、訓練のオッサンはああ言ったが、使わないと無理。との意見が大半だった。銃口を下げておけば撃つ時以外に見られる心配はない上に値段は安いみたいだ。そしてポインター装備しただけでKILL数が倍になった。などと書かれてあった。拳銃の訓練でもポインターがあったから全て的中したけど、なかったらどうなるかわからない。


 『拳銃:おまけ3の攻略法』では、銀行員から手渡しされた報償のお金は、ウィンドウの持ち物の所に自動的に入ったようだ。

 三時間戦闘して、平均二千ゼニー程度の収入らしい。時給約七百ゼニー……

 となると三千ゼニーは……高いような安いような微妙、中途半端――余計に腹が立った。

 

 そして1日中PCに張り付いて情報をひたすら集めた。

 アサルトライフルは見た目はM16という物だったみたいだ。実際の性能とは違ってたりするみたい。

 拳銃はGLOCK-という物らしかった。アサルトライフルと同じく、性能は違うみたいだった。

 

 夜になり、待ちに待ったログインした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ