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物語詩

孤独を愛する少女

作者: 紅葉カナ

雨、雨、いつも雨

私の心の中

通り過ぎる人が私を見下す

「孤児が!」

ずっとひとりで生きてきた

愛なんていらない

だって私は、

孤独を愛する少女


傷だらけの腕

擦り切れた服

止むことのない雨が降りしきるなか

今日もひとりで泣いていた

皆が私を軽蔑の眼差しで見つめる

助けて欲しいなんて思わない

だって私は、

無価値な存在


たくさんの男の人が来て

ニヤニヤと私を見下ろした

服はビリビリに破かれて

何度も何度も

犯された

心なんて痛まない

だって私は、

空っぽの人形


病気の娘を助けたい

ピカピカの太ったおじさんはそう言って

私の手を無理やり引っ張っていった

盲目のお嬢様は全てを手に入れて

何も持たない私は光を失った

利用されたって構わない

だって私は、

いらない子


母の夢を見た

話しかけると

怒られて

部屋を汚すと

殴られた

生まれてきてごめんなさい

だから、もう私を打たないで

私はあなたを

愛していたい


私は孤独を愛する少女

母親に捨てられた

可哀想な子

ゴミと一緒に捨てられた

惨めな子

愛してくれとは言わない

ただ、

側にいて欲しかった


私は期待しない

何も望まない

だって私は

孤独を愛する少女

そんな資格私にはない

だけど、

私は望んでしまった

愛してくれと


母が迎えに来てくれた

ゴメンねと言って

私を抱きしめてくれた

お母さん

何度だって

許してあげる

だって私は、

あなたを愛してるのだから


「あなたの心臓が必要なの」

お母さんが困ってる

私にできることならなんでもするわ

でもね、一つだけ聞きたいことがあるの

あなたは私を愛してる?

「もちろんよ」

母は笑って答えてくれた

なら、私は死んでもいいよ



あなたの願いは私のすべて

穢されて

目を抉られて

体をばらばらにされたとしても

あなたが愛してると言ってくれるのならば

傷ついた心には蓋をして

ちゃんと笑顔で笑ってみせる

だから、愛することを許してほしい

想い出だけを持っていくから


私は孤独を愛する少女

愛の中では生きられない

だから、

小さな光となって消えていく


深い深い穴の底へと沈んでいく




ここは暗くて冷たい所




愛してくれてありがとう


嘘でも嬉しかった

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